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13、 ”気付いたら混ざっていた”、老いも若きも、ダンス!ダンス!ダンス! #arts4dementia @RoyalOperaHouse

英国では、ケアの現場がいかに、要介護者の表現を引き出しているのか。続けては、arts4dementia というNPOのワークショップに参加してきました。

認知症の初期症状が表れ始めた本人と、その家族やケアスタッフを対象に、アートでアプローチを試みている団体です。そしてロンドン近郊のこうしたアート的なアプローチのプラットフォームとしてウエブサイトが機能しています。

2018年11月、ワークショップ会場は、ここ、ロイヤルオペラハウスのスタジオで行なわれました。

参加したワークショップの内容は、先日のdrawinflifeとはうって違って、ダンスワークショップです。これがもう、すごい内容でした。すっかり中に入ってしまったので、手元に写真がありません。その様子は、arts4dementiaのインスタグラムからお借りします。

写真左のダンサーが、Danielさん。ロイヤルバレエスクールのダンサー、先生でもあります。このロイヤルオペラハウスで行なわれているワークショップは、10週、毎週あるプログラムです。

ダンスワークショップの参加者は、合わせて30名ほど。先生を囲むように、円になって座るところからスタートします。スタジオにはピアノがあり、即興でDanielさんとリズムを合わせ、プログラムが進行されていきます。

最初は、雨の音、太陽の光、などを全身で表現します。そこから、今日の気持ちを表現しつつ・・
椅子から立ち上がり、ピアノにのって身体表現が始まります。Danielさんが参加者1人1人から出た表現をつなげて、大きなダンスの流れをつくっていきます。(これって、少し前に体験した、9、 教わる”体操”から、自らを”表現”する動きへ #ダンスワークショップ  !と一人で大興奮。世界の表現の流れをなんとなく体験してこれているように思います。)

そこからは、円の内側と外側に分かれてそれぞれが周り歩きあい、見よう見まねでDanielさんや他のダンサーの動きを思い思いに踊ります。

ダンス内でペアになった方と簡単に話すと、ケアスタッフだったり、認知症本人だったり、ダンサーだったり。気付いたら混ざっていた、踊っていた、ともに笑い合っていた。そんな空間でした。

11時過ぎから12時過ぎまで、たっぷりとダンスをしたあとは、参加者と一緒にテイータイム。ロイヤルオペラハウスからの景観は最高に気持ちがよいです。

紅茶、お菓子をご一緒しながら、少しインタビューをしました。

Danielさん:
— 普段から認知症のケアに関わっているのですか?

いえ、私は認知症専門のケアスタッフではありませんから、あくまでダンスを教えているという気持ちで向き合っています。継続したプログラムですから、お互いに信頼も生まれますし、とにかく楽しかったと感じて帰ってもらうのが大切だと思っています。本人にも、その家族、パートナーにも。
Harryさん(認知症ご本人)・Anneteeさん(Harryさんの奥さん):
— 今日の感想を教えてください。今日まで参加してきてどんな変化がご自身やHarryさんにうまれてきていますか?

(Anneteeさん)今日も楽しかったですね、すごくよかったです。夫の付き添いでと、arts4dementiaのプログラムに通い続けて2年ほどになりますね。他にも陶芸のワークショップにも参加していますよ。とにかく楽しいです。まずは、家族以外の人、他者との交流ができること。気持ちが塞がず、私も夫もいい影響をもらっています。プログラムもいくつもあって選べる。アート的な活動ってすごくよいでしょう?それから、開催される場所も、私たちにとってはとても特別です。今回のダンスワークショップは、あのロイヤルオペラハウス!ここでダンスができるなんて特別感が味わえて最高です。こうした介護の場所って、なんだかうつうつとしていて地味でしょう?そうしたことがないから、すごくいいなって、思っています。

全身で楽しみ体験したプログラム。まさに、”気付いたら混ざっていた”。この感覚は、これからの福祉の環境においてなくてはならない視点だと思っています。
つい参加したくなる、興味をひくフックがいくつも暮らしの中にある。これこそ豊かな老いの道だなと感じています。

藤岡聡子
株式会社ReDo 代表取締役/福祉環境設計士
info(@)redo.co.jp
http://redo.co.jp/

私、藤岡聡子については、下記記事を読んでみてください。
・灯台もと暮らし
【子育てと仕事を学ぶ #1 】藤岡聡子「いろんなことを手放すと、生死と向き合う勇気と覚悟がわいてきた
月刊ソトコト 巻頭インタビュー
・soar
「私、生ききった!」と思える場所を作りたかった。多世代で暮らしの知恵を学び合う豊島区の「長崎二丁目家庭科室」

おまけに:
読み物:人の流れを再構築する、小さな実践について|藤岡聡子
人の流れはどのようにして新しく、懐かしく再構築できるのだろうか?その大きな問いに対して、小さな実践を綴っているマガジンもあります(本音たっぷりで書いています。)