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いつもポケットに「KNIFE」を

夜中に目が覚めて枕元のケータイを見たら
かつて英語を教えていた学生で
今は芸大の大学院で学んでいる男の子から
メッセージが入っていた。

「芸大生からオススメの本を聞かれたんで
俺の英語の師匠が小説出してるって紹介したんですけど
今日、本返してくれたんですけど、女の子なんですけどね
なんか自分と重ね合わせてボロ泣きしたって言ってました。
とてつもない感動だったらしく、飲んでる間ずっとその話してましたよ!」
「文章がスッと心に入ってきたって言ってました」

私のバブル時代の青春記「KNIFE」のことである。
過激な内容なので大学の仕事で関わっている学生には(汗)
小説を出版したことは伏せてあるのだが
卒業した子にはこっそり教えて読んでもらってる子もいる。
(何しろ老いた両親や姉には一切知らせていない笑)

そもそもこの本を本気で小説に書き上げようと思った動機には
仕事で学生と接するようになったこともある。
いわゆるZ世代と呼ばれる若者たち。
バーチャルでのやり取りに慣れ過ぎて
リアルで人間同士が関わることに過敏で臆病になりがちで
しかもパンデミックでますますリアルとのギャップが大きくなったようだ。
推しとかフィギュアとかホスト狂いとか色んな現象が飛び交ってるし。

80年代バブル最盛期の荒唐無稽で3密どころの騒ぎじゃない
暑苦しい青春群像を思い出しては
今の若者たちにこんな青春も悪くないかも!と伝えたくなった。
インターネットもケータイもなかった時代に
コミュニケーションは文才がなく手紙が書けなかったら
体当たりしかなく待ち伏せや夜這いまがいの奇襲もあった。

本気で愛し合っては深く傷付け合う。
まるでナイフをいつもポケットに隠し持って生傷が絶えない。
そんな恋愛しか出来ないのが若さではないか?
傷付け合うのは怖いけれど
それでしか築けない人間関係もあるし
胸に残る傷があるからこそ人生は美しいのだ。
そんなまるで時代錯誤なメッセージを込めて書いた。
(クビになりたくないので生憎周囲の学生には読んでもらえん笑)

だからその芸大生の女の子の話はとてもありがたかった。
Z世代も捨てたもんじゃないやん!
やっぱり時代なんて関係なく
若さは愚かしく暑苦しく悲しく、そして甘美なのだ。




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