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1日目が終わる

8月29日 16時頃


呆然と立ち尽くしていると

「すごいな」

かつやまだ

「みんな優しいな」

なにマンガのキャラみたいな登場してんのよ

お前がトドメを刺してきたんだよ?




まぁでも

素直に嬉しいし、助かった。

正直どうすればいいかわからなかったし、

帰りの電車賃も無かったから


「俺からも、はい」

「ああ、ありがとう。すま…」

諭吉やん

「流石にそれは受け取れんよ」

そりゃそうでしょ一万は正直なぁ。
いくらお前の実家が金持ちだからって、それはお前の親が金持ってるだけだからなぁ
詳しくは僕たちのYouTubeを見てください。


「いーよいーよ。俺も落とした時貰いたいからさ」

もっと他に言い方あるだろ

なんだよ俺も貰いたいって、それじゃあ俺が貰いたくて落としてるみたいじゃねぇか

……。

「じゃあ、貸しで」

「おっけー!」ボトボトボト

かつやまが財布を逆さまに持っていたせいで、カード類が全部落ちる。

「やべやべ」

「すごいなお前」

すごすぎ。こんな締まらんことない。

せっかくかつやまもカッコつけたのに、台無しだ。

かつやまっぽいといえばかつやまっぽいのだが、

ここまで徹底できるもんかね。

めちゃくちゃ感心した。これは皮肉でもなんでもない。羨ましい限りです。





ありがとう。


というシーンを見ながら横からドンデコルテの小橋さんが来て

「頑張って!」

と言って千円札を握らせてきて、すぐどっか行く

なんとか写真は撮れた
(写真に写っている5000円札はさっきノリさんからくずしていただいたもの)

かつやまのおかげでスマホを出せていた。


まだカード拾ってる。

小橋さんありがとうございます。

ーーーーー

もうライブも終わったので帰ろうと思い、皆さんに挨拶をしていく。

「お疲れ様でした!ありがとうございました!」

皆さん頑張れよと言ってくれる。


そんな中1人だけ

「何帰ろうとしてんだよ!」

「え」

「え、じゃねぇ。素材撮りするって言っただろ」

「あぁ。あれガチだったんですね」

「ガチガチのガチだよ」

千葉さんはガチだった。ですよね。全然いいんですけどね。

ーーーーー


コーナーに使う音声を収録したいそうだ。

コーナーの内容は、どれが本当にケツバットを受けている千葉さんの声か当てるというもの

なんだそれ

おもしろそう


僕が手伝うのは千葉さんに思いっきりケツバットをするということ。

うん。

確かに1人ではできないけどな。

これを手伝いと公言できるのが芸人ですね。



あーでもない。こーでもないと言いながら撮り終えた。

そこにちょうどワラバランスの宮崎さんが来たので、実際にどれが本物のリアクションか当てて貰うことにした。

かなりこだわって嘘のリアクションも撮ったんだからそんな簡単にはわからないはず

一発で当てられた。



2人でちょっと落ち込んだ

すると宮崎さんが

「てか和田探してたんだよ」

「え、僕ですか?」

「そうよ。はいこれ」

なんとわざわざ探してもらってまで渡しに来てもらったことに恐縮した。

「ありがとうございます。大切に使わせていただきます。ほんとにすみませんわざわざ探してまでいただいて、こんな見つけにくい非常階段みたいなとこまで」

人がいないところを探しましたからね

「ほんとよ。挙げ句の果てに下らないクイズまで出されて」

「ん?なんか俺が悪いみたいになってない?」

「すいません。あれが限界なんです」

「もっといけるわ!勝手に限界決めんじゃねぇ!」




はぁ、凄く幸せです。

ーーーーー

あれからまたリアクションを撮り直して、素材撮りを終え

千葉さんと一緒に帰って、CoCo壱のカレーをご馳走になりました。


結局のところ対価なんて何も無かった。

素材撮りだって、ただただ楽しい時間だった。



お腹もいっぱいになって、千葉さんと別れた。









突然1人になった気がした。



別に1人なんか慣れてるし、あまり気にしたことなんかないのに。


こんなに人から善意を受けるのは初めての経験だった。


不思議な感覚のまま電車に乗り込み

理由とか色々考えた


でも俺なんか別に愛嬌がいいわけでもないし、

SNSも活発にする方ではない。

写真は撮るけどSNSにあげるかどうかなんてわからない。


何回考えても


ただの善意


皆別に余裕があるわけじゃないのに。

千円稼ぐのだってお笑いで稼ごうと思ったら大変です。

なのに

血と汗が詰まった千円なのに


これはどう思われたって構わない、とりあえず知って貰おうと思って今日のことをTwitterに書いた

葛藤はあった

みなさんそんなつもりで僕にくれたわけじゃない。
みんなそそくさと逃げる様にどっかに行ってたのもそういうところも少しあるだろう。



でも!とりあえず!

この日は自分の感情を優先した。

先輩はすごいぞ!みんな優しいんだ!芸人ってこんな時こうなるんだぞ!吉本でよかったぞ!

って


自己満足に浸りたかった


1円生活1日目とか書いたけど毎日書くつもりもなかった。

明日は芸人の仕事ないし、芸人に会うこともないだろうから。

こんなに後先考えないで書いたツイートは初めてだった。


なんかずっと目の奥と鼻の奥が痛くてムカついた。


ーーーーー

家に帰ってきて衣装のシャツを洗濯しようと思い、バッグを開けると

出かける時、奥底に沈めた財布が、1番上にありました。


つづく

あなたのサポートが僕の活力になります。続かない僕が続きます。お礼のメッセージは固定じゃありません。何書いてもいいです。悪口でもいいです。なんたってサポートしてるから