簿記初心者が4ヶ月で簿記2級に合格した勉強法

こんにちは。wadaです。

先日、日商簿記2級のネット試験を受験し無事合格することができました。

今回、私がどのように勉強をしてきたか簡単に紹介したいと思います。

1.簿記3級

2級をめざすのであれば簿記3級の知識は必須となります。3級はネット試験が受験できるので早めに取得してしまうことをオススメします。勉強期間は短い人で2週間程度、じっくりやりたい方は1ヶ月~2ヶ月を見ておくと良いと思います。私は約2週間、1日2h時間程度の勉強時間でした。ただ、ここで詰め込みすぎると後でまた復習することになるのでここで腰を据えてしっかり学習しておくのも手だと思いました。

1-1. テキスト

簿記においてテキストと問題集の両方を準備するのは不可欠です。私が使用したのはTACの「みんなが欲しかった」シリーズです。

このテキストはこの本だけで独学するには少し不向きかなと思いました。情報量が多く、どこが重要なのかがパッと見でわかりにくいです。ただ、後述するYouTube講義と組み合わせることでその問題点は解消されるかなと思います。また、必ず問題集もやるようにしてください。簿記の試験はテキストの練習問題と試験問題で難易度にギャップがあります。実戦形式の問題の問われ方を知り、しっかり練習を積んでおくことが合格には不可欠です。

後述する2級対策にはパブロフシリーズを使用しました。好みによってテキストを選びましょう。3級であればどの出版社の本もそんなに大きくは変わらないなと思います。

1-2. YouTubeを活用する

簿記3級の独学にはぜひYouTubeを活用しましょう。僕はたぬきちさんのYouTube動画を見ながら勉強しました。

3級の講義はすべて無料で視聴できます。また1動画10分程度に収まっているものが多いため気軽に視聴できます。丸暗記に頼らず「なぜそうなるのか?」を重視した説明となっているため理解が深まりやすいです。動画を見たあとにテキストを読むといった勉強の仕方が良いかなと思います。

1-3. 演習

テキストが一通り終わったら問題集をガンガン進めていきましょう。この際、1周目だと歯が立たない問題も結構あると思います。わからなければすぐに答えを見て解き方を理解しながら紙に書き写しましょう。理解が不十分な点はテキストや動画に戻って復習しておきましょう。2周目は何も見ずに問題を解きましょう。ここで解けなかった問題に印をつけておき再度解き直しましょう。試験直前期にはネット試験形式の模擬問題も解いておきましょう。本番と同じように紙とボールペンを用意して練習しましょう。

2. 簿記2級

2-1. 3級の復習

もし3級を取得して時間が経過している場合3級の内容を復習しておいたほうがスムーズです。特に売上原価の決算整理仕訳(しーくりくりしー)、総勘定元帳の記入、精算表の書き方、経過勘定(未払費用など)は重要です。

2-2. テキスト (1ヶ月~1ヶ月半)

私は2級の勉強にはパブロフを使用しました。

2級からは科目が増えて商業簿記と工業簿記の2科目になります。そのためテキストと問題集で計4冊やる必要があります。

このテキストの特徴は独学者に優しい点です。以下のリンクで中身を少し見ることもできます。

4コママンガがついていると聞くと内容が薄いのでは?と心配する方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際は合格に必要な情報は漏れなく掲載されていると思います。各ページに★が3段階でついており重要論点かそうでもない論点かが一目わかるのも良い点です。文字も大きめで読みやすいです。

また、本書の特徴として解説動画が無料で見られるという点が結構大きいです。テキストの各単元の後ろに簡単な練習問題がついているのですが難しめの問題には解説動画がついています。私自身、この解説動画にかなり助けられました。個人的に連結精算表の埋め方、タイムテーブルの書き方みたいなものは本を読むより説明を聞くほうがすんなり理解できてよかったです。話す速度がゆっくり目なので1.5倍くらいにしてもいいと思います。

テキストの取り組み方としてはじっくり読む→練習問題を解いてみるの繰り返しでOKです。練習問題は必ず手を動かして解きましょう。

僕は商業簿記から勉強始めましたがどちらから始めてもいいです。商業簿記から始めるメリットとデメリットは以下のとおりです。

メリット:商業簿記は3級の続きなのでとっつきやすい

デメリット:覚える量が多く学習に時間がかかる。

日々の学習時間にもよりますが3~4週間を目安に商業テキスト1周を心がけましょう。完璧にしなくてもOKです。全体像を掴むのが大事です。

続いて工業簿記です。工業簿記は商業簿記と比べると学ぶ量は少なめでそこまでテキストを通読するのに時間はかかりません。こちらは1週間~2週間が目安です。中には工業簿記で出てくる新しい用語に苦手意識を持ってしまう人もいるかも知れませんがまずはどんどん進めてみることが大事です。だんだん慣れてきます。

商業と工業のテキスト1週に1ヶ月~1ヶ月半かけたとします。続いて僕は商業簿記だけもう1周することで知識を定着させました。この段階は復習なので2週間くらいでサクッと終わらせるのがいいと思います。工業簿記は問題演習をしたほうが理解が深まるためテキストを何度もやらなくていいと感じました。

2-3. 総仕上げ問題集 (1~2ヶ月程度)

テキストの内容がかなり仕上がってきたら総仕上げ問題集で試験問題に対応できる解答力を養成する機関に入ります。総仕上げ問題集は過去問60回分と最近のネット試験を分析して問題が選定されているため無駄なく頻出問題を学ぶことができます。1周目は初見で解けない問題が多いと思います。また制限時間も気にしなくてOKです。少し考えてわからないものは答えを見て、下書きを書き写してみましょう。テキスト内容であやふやな所があれば適宜戻りましょう。2周目は何も見ず、時間制限内で解くことを心がけましょう。2回目で間違えたものは印をつけておき再度やっておきましょう。

2-4. YouTube

たぬきちさんの動画を3級で使用したのですが、2級商業簿記は有料コンテンツとなっています。(工業簿記は無料)そのため僕は工業簿記のみ使用しました。他にふくしままさゆきさんという方の動画も人気が高いみたいです。

2-5. 仕訳アプリ

仕訳アプリ(特に商業簿記)は非常におすすめです。僕はこの仕訳アプリを会社の昼休み、バスに乗っている間、定食屋で料理を待つ間などのちょっとした時間で進めていました。第1問は範囲がかなり膨大で山を張るのが難しいので、こちらのアプリを使用して様々な問題に対応できるようにしておきましょう。過去問を徹底分析して作られており1問ずつ解説がついています。僕はこのアプリを達成率9割を超えるまでやり込みました。例えばテキストで有価証券について勉強したらアプリで練習してみるといったようにテキストのアウトプットとしても使えます。

2-6. 重要分野

ネット試験を受ける方向けのちょっとしたアドバイスです。まずはパブロフ簿記のよせだ先生による傾向の変化について御覧ください。

簿記2級の出題傾向の変化
2020年度から2021年度の簿記2級の試験の出題内容の変化を見てみると、次の①~⑦の通りです。試験傾向の変化はテキスト2022年度版、総仕上げ問題集2022年度版に反映済みですので、ご安心ください。
①難問が出題されにくくなった。
→過去問に出題されていたような難問が出題されにくくなり、基本的な問題が出題されることがほとんどです。一方で受験生が合格に必要とされる能力は次の通りです。
・商業簿記の基本的な仕訳は漏れなく書けること(第1問)
・連結会計が解けること(第2問対策)
・株主資本等変動計算書が書けること(第2問対策)
・固定資産、有価証券、商品売買の総合問題が解けること(第2問対策)
・財務諸表の問題が解けること(第3問対策)
・本支店会計の財務諸表、本店の損益の問題が解けること(第3問対策)
・工業簿記の仕訳を書けること(第4問(1)対策)
・個別原価計算、部門別計算、総合原価計算が解けること(第4問(2)対策)
・標準原価計算の原価差異分析が解けること(第5問対策)
・CVP分析、直接原価計算の損益計算書が解けること(第5問対策)
・時間内に早く解くこと、正確に解くこと
簿記2級は問題を解くスピードと時間が重要で、全体90分のうち工業簿記20~30分、商業簿記60~70分が時間配分の目安です。
②仕訳問題の出題される範囲が広く、配点が大きくなった。
→仕訳問題は商業簿記で20点、工業簿記で12点の合計32点の配点があります。簡単な仕訳から細かい仕訳(賞与引当金や保証債務など)も出題されています。対策としてはテキストの仕訳(4コマ漫画の横に書いてある仕訳)や総仕上げ問題集の仕訳をバランスよく、漏れなく書けるようにしておくことが大切です。手軽に仕訳対策をしたい方には、仕訳の問題数が商業340問前後、工業90問前後入っているパブロフ簿記2級のアプリがオススメです。
③第2問は連結会計か株主資本等変動計算書が出題されることが多い。
→第2問では連結会計(連結精算表、連結財務諸表)か個別財務諸表の株主資本等変動計算書が出題されることが多いです。もちろん、固定資産、有価証券、商品売買の総合問題が出題されることもあります。第2問対策の優先順位としては、まずは連結会計と株主資本等変動計算書の問題を何度も解くことが重要です。
なお、2020年度以前の過去問集に収録されている連結会計の問題は超難問、奇問ですので、受験生の平均点が2点/20点程度で解いても参考になりません。連結会計は、2021年度以降に出題されている基本的な問題が出題される可能性が高いので、ご注意ください。
④第2問で理論問題がほぼ出題されなくなった。
→2020年度までは、たまに理論問題が出題されていましたが、2021年度以降は理論問題の出題されなくなっています。総仕上げ問題集には理論問題を収録していますが、重要度はかなり下がっています。
⑤第3問は本支店会計も出題される
→第3問対策で個別財務諸表の貸借対照表、損益計算書が非常によく出題されています。受験生の中には本支店会計は出題されないから対策をしていない、という声も聴きますが、2021年度の試験でも、出題頻度は高くはありませんが出題されています。本支店会計は出ない、と思っていたら出題された…ということがないように、総仕上げ問題集の本支店会計の問題を解いておきましょう。
⑥第5問工業簿記で見慣れない問題が出題される
→2021年度以降の試験では、標準原価計算の原価差異分析やCVP分析、直接原価計算の損益計算書の問題で、2020年度以前には出題されていなかった「見慣れない問題」が出題されています。問題文の与えられ方や形式が変わっただけですが、受験生にとっては難しく感じる問題です。この点については、2021年度のネット試験や統一試験で出題されている新作問題の類題を総仕上げ問題集2022年度版に収録していますので、事前対策がしやすくなっています。
⑦統一試験とネット試験の難易度の違い
簿記3級ほど差はありませんが、統一試験(紙の試験)よりネット試験の方が基本的な問題が出題されていると感じます。書籍やアプリの作成のため、統一試験もネット試験もかなりの回数受験していますが、現状ではネット試験の方が解きやすい問題が多いです。ネット試験に比べて統一試験は細かい内容が出題されることが多い印象を受けています。

これをもとに少し補足いたします。

まず第2問ですがほぼ連結か株主資本等変動計算書が出ると考えてよいかと思います。よって連結を捨てるのは非常に危険です。むしろ、連結会計を得意分野にしておく必要があります。ただ、以前の過去問に出題されていた誰も解けないような超難問は上記の通り出ません。基本的な問題が解ければOKです。具体的には

①連結第二年度の開始仕訳が書けること(タイムテーブル)

②内部取引の相殺消去の仕訳が書けること

③商品、土地の未実現利益の消去の仕訳が書けること(開始仕訳ありのパターン含む)

④連結精算表、連結財務諸表が埋められること

以上になります。テキストに載っているけど複雑な内容(手形を借入金に振り返る、アップストリーム)は出題可能性は低めなのでサラッと学んでおけばいいと思います。また利益剰余金は他がすべてあってないと正解できないので時間がないときは捨てましょう。

連結会計はコツさえ掴んでしまえばやることが決まっているため得点源になりやすいです。テキストや問題集で何度も練習してマスターしましょう。

一方、株主資本等変動計算書はワンパターンです。何度か練習しておけば満点が狙えます。

工業簿記はまんべんなくいろいろな分野が出ますが、総合原価計算の問題は必須だと思います。ここはどんなパターンが来ても解けるように準備しましょう。

2-7. ネット試験練習

ある程度問題が解けるようになったら90分間でネット試験を解く練習をしましょう。僕はだいたい10回分解きました。パブロフの本やアプリに特典で模試がついてきます。実際に紙を用意して本番さながらに練習しておきましょう。問題を解く順番ですが第4問→5→1→2→3の順がおすすめです。第3問が一番時間がかかるはずです。ここは残り時間を使って部分点を取りに行くくらいでいいと思います。

3.電卓

最後に電卓について少し書きます。電卓は基本的には使い慣れているもので良いのですが、もしまだ持っていないのであれば少しいい電卓を買うことをオススメします。

簿記においてオススメな電卓はこちら

僕はCASIOのND-26Sを使っています。AZ-26Sというのも同じものみたいです。日数計算はできればついてたほうがいいです。端数利息の計算をするときに日数計算ができると計算がかなり楽になります。

また、電卓の機能ですが僕はGT機能、サインチェンジキー、定数計算、桁下げキーは使えるようにしておいたほうがいいと思います。

例えば利益を計算するときに売上原価10,000と電卓で計算したとします。ここでサインチェンジキーを押してマイナスにして、売上を足せば売上総利益を出すことができます。

定数計算は同じ数を繰り返し掛け算するときに知っておくと便利です。

2×5=, 2×8=、2×12=のように2にいろいろな数をかけていくときに役立ちます。







よろしければサポートお願いします! 記事の執筆の励みになります!