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マウナケアを守るために

みなさんは、今ハワイ島のマウナケア山で何が起こっているかご存知ですか?日本ではあまり報道されないようなので、知らない方も多いかもしれません。

ハワイ島マウナケア山には「すばる望遠鏡(ハワイ観測所)」としてみなさんもご存知な日本国立天文台の施設をはじめ、既に13基の天文関連施設があります。そこに30メートル級の望遠鏡を配した新施設(Thirty Meter Telescope:TMT)を建設する計画があり、これに対して長い間ハワイの人たちが反対運動を起こしています。先日7月15日に、ハワイ州の建設許可が下り建設機材搬入のためにマウナケアに入る工事車両を、反対グループの方々が座り込みによって阻止し、その後道路をふさぐ人々の数がどんどんと増えています。一度はお年寄りの方々など33名が拘束されるに至り、10日以上たった今でも緊張が続いてます。

ハワイ島マウナケア山だけではなく、ハワイの島々の各地、そしてアメリカ本土、ポリネシア各地、ヨーロッパでもマウナケアを守る活動をしている人たちKū kiaʻi mauna(クー・キーアイ・マウナ)を支持する人たちがマーチを行ったり署名をしたりしています。

今日はカウアイ島のリフエで、大きなMauna March(マウナ・マーチ)があったので参加してきました。ハワイ州の旗を逆さにして州に抗議する、ハワイ独立の旗を掲げる、チャンティングをする、歌を歌う・・・途中、雨がパラパラ降ってくると「恵みの雨だ、天からの合図だ」と言ってみんなで笑い合う、とても気持ちの良い時間でした。子供たちもたくさんいて、皆ハワイ島の色である赤いTシャツを着て歩いています。男性の中には、Malo(マロ)という古代ハワイの男性の正装ふんどしをしめている方もいます。抗議行動、というのとはちょっと違う、優しい波動を伝える楽しいウォークでした。

マウナケアの山頂は空気が澄んでいて、天候も安定しているために、天体観測には非常に恵まれた場所だと言われています。今回のTMT建設には、日本からも多額の予算がつぎ込まれますし、国立天文台のHPを見ると「ハワイ文化を尊重し環境に負担のない施設を作る」などと書いてあります。科学技術の発展のために、建設推進を唱える方もいます。でもハワイの人たちは、聖なる山に人間のエゴで建造物を作るのは嫌だ、と反対しているので、たぶん論点の次元が違うのではないかと思うのです。

マウナケアには女神ポリアフが住むと言われていて、日本人にとっての富士山と同じように、ハワイ島の人たちにとっては大切な山です。科学技術の発展は古代ハワイからの叡智を奪う理由になりません。未来に残したいのは、科学技術なのかあるがままの自然なのか。そこを守る地元の人たちを虐げてまで強行する権利が誰にあるのか。静かな対話が形を結んで、建設計画が中止になりますように。そしてマウナケアがこれから先何代もの間ハワイ島の聖地であり続けますように。そう願っています。

Waena

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