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IBM株が続騰!!その理由と今後の動向について解説します!!

今回はIBM株について解説したいと思います。IBMは言わずと知れた世界最大手規模のIT企業です。IT企業というと今年の株価は悪い結果に終わっている気がするかもしれませんが、実はIBMは今年あのS&P500をアウトパフォームしています。

具体的にはS&P500は年初来で-19%の結果となっておりますが、IBMは-5%で市場相場となるS&P500より好成績を残しています。特に直近10月19日から21日にかけて$122.5⇒$130と約6%上昇し一人だけ底抜けした感が否めません。今回はIBM株が何故直近上昇しているのか、今後はどうなるのか、IBM株は買いなのかどうなのかを解説したいと思います。

①     IMB株が何故値上がりしているのか?

CREDIT: REUTERS/SERGIO PEREZ

結論から言うとIBM株が直近値上がりしている理由は2022年Q3の決算発表の内容が良かったからです。具体的には売上が市場予想13.5Billionだったのに対して結果は14.1Billion、EPSについては市場予想$1.77に対して結果は$1.81、更に年間のガイダンス/予想についても上方修正しております。

IBMは主に3つの事業に分かれていますが、今回の決算ではSoftware部門の売上が14%上昇、コンサルティング部門の売上が16%上昇、そしてインフラストラクチャー部門が23%上昇しております。Z16メインフレームの売上が好調でした。これはIBMのメインフレームを使用している顧客が引き続きIBM製メインフレームを使用する事を意味しています。メインフレームの売上は約2倍近く成長し、インフラストラクチャー部門は21%年間で成長しています。Hybrid-Cloud部門は直近12カ月で売上が$22.2Billonを超え、前年対比20%もの成長になります。

但しこれはドル高による為替差損を考慮しなかった場合の成長率となります。今回のQ3の全体の売上成長率は6%でしたが、為替差損がなかった場合は15%成長していた事になります。IBMは引き続きドル高が続くと予想しており、この為替差損により7%のマイナス影響を受け今後も成長率は1桁台になると見込んでいます。しかしこれから来るであろうリセッションに対してもIBMは耐えられるという事が言われています。

理由は二つあり一つ目はIBMは消費者との接点がほとんど無いという事です。IBMの収益源及び多くの顧客が大企業であり、これらの大企業が倒産するという可能性は低いです。要はリセッションに入ったとしても、消費者に直接関わる会社は大きく影響を受ける可能性があるが、IBMの顧客はあくまで法人であり大企業が多い為、直ぐに収益が減少するといった事は考えにくいという事です。
2つ目にIBMのハードウェア製品及びソフトウェア製品はミッションクリティカル(それが欠けると業務の遂行に致命的な悪影響が出るほど重要である事)として扱われており、多くが効率や生産性の向上を目的として使用されており、景気が悪くなるほど売れる商品です。つまりリセッションにも売れるという事です。
これが今回IBM株が値上がりした理由になります。

②     今後はどうなるのか?


今後はどうなるかというところですが、IBMはデータレジリエンスソリューション事業の拡大を図っています。データレジリエンスとはサイバー攻撃、データの盗難、災害、障害、人為的ミスなどによるデータの破壊から保護し、迅速に回復する能力のことです。
IBMはDiamondback Tape Libraryというサービスを導入する事によりハイブリッドクラウドにおけるランサムウェアやその他のサイバー攻撃を保護するというサービスを提供します。このIBM Diamondbackは数百ペタバイトのデータを安全に保管する必要がある組織、つまり大規模な顧客データを集約しているグローバル企業が主な利用者です。IBM Diamondbackでは長期保管することができ、フラッシュまたはディスクストレージと比較して二酸化炭素の排出量を大幅に削減し、所有する上でのコストも減少できるように設計されています。具体的には期間は約30年間保存する事ができ、コストにおいてはディスクドライブ及びクラウドアーカイブサービスの総コストの約4分の1となります。

最近のIBMの調査では業界を問わず48%のCEOが今後2~3年間においてサステナビリティ(持続可能性)が最優先事項の一つと回答しています。しかし51%は最優先事項でもあるが、同時に最大の課題でもあると回答しています。IBMのサステナビリティ戦略(Diamondback Tape Library)は低炭素世界への貢献の一環として推奨されています。特にハイパースケールクラウド(AmazonのAWSやMicrosoftのAzure等)のプロバイダーは消費電力を抑える事により施設におけるエコロジカルフットプリントの削減(二酸化炭素の削減)に重きを置いています。IBM Diamondback Tape Libraryはエネルギー効率化におけるインフラとして貢献し、安全性も高め、スケーラビリティそしてIBM製という事で信頼性も高いです。

IBM Diamondbackはビッグデータの管理、アナリティクス、クラウドストレージサービス、IoT(Internet of Things)、ヘルスケア、生命科学等膨大なデータを必要とするものに大きな費用効果をもたらす事ができます。

③     IBM株は買いなのか?

Image source: Getty Images.

そんなIBM株は買いなのか?私としては買っても良いかと思います。只、買い方としては高配当という事からもキャピタルゲインを狙うというよりもガチホを続けインカムゲインを狙うという形です。

今回Q3の売上成長率は6%でしたがこれは現状のドル高という為替が反映されているからです。もしドル高でなければ売上成長率は15%になると言われています。今後の成長率は1桁台との事ですが、為替の影響がなければ更に+7%される試算であり今後も実質的には2桁台の成長が期待できます。現在のドル高の背景はFRBがインフレ退治の為に政策金利を上げているからであり、今年で金利の値上げは一旦落ち着く見込みで、来年前半は維持、来年後半で下げる可能性もあり、海外との金利差は小さくなるとドル安になると思われます。

只、一点気を付けなければならないのが、IBMはインフラストラクチャー部門を2021年11月に分社化しており、今はKyndrylという会社がその事業を担っています。今回のQ3での売上成長15%(為替を考慮しない)の内5%はこのKyndrylからであり、IBM本体としては10%だけの成長となります。

KyndrylとIBMは2年間のみの業務提携を行っており、Kyndryl からの収益が無くなるという訳ではないですが、IBMは高配当株である為、急激な利益/キャッシュフローの増加等は期待できないのでKyndrylの分を補えない可能性がという事は注意が必要です。要は本質であるIBMの収益を注視するべきという事です。
しかしIBMは先程のDiamondback Tape Libraryという新しい事業にも力を入れており、今後の成長は見込めると、と私は考えております。これが私がIBM株を買っても良いと考える理由です。

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