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3M株大暴騰‼遂に底打ちしたのか!??買うべきなのか??を解説します!!

今回は3M株について解説したいと思います。3Mは企業向け素材や消費者向け事務用品を製造販売する大手製造メーカーです。有名なところでいうとポスト・イットという物があります。また連続増配を65年以上も続けており高配当株としても有名で配当キングとも言われています。

そんな3M株ですが6月1日から2日にかけて約$94⇒$102と1日で約8.5%もの大暴騰を見せています。今回は何故3M株がここまで大きく値上がりしたのか、今後はどうなるのか、買うべきなのか、について解説したいと思います!!

①     3M株が何故値上がりしたのか?


IMAGE SOURCE: PIXABAY

まず何故3M株が値上がりしたのか、その理由を説明する前にそもそも何故3M株が長期間も値下がりを続けていたのかを解説します。実は3Mは2019年後半から41%も株価が後退しています。S&P500はこの間に20%の上昇を見せているので、どれだけ下がっているかが良く分かります。原因は複合的要因になります。まずはコロナ終了後による売上減少です。3Mはコロナパンデミック中にPPE(Personal Protective Equipment:ガウン、マスク、手袋、キャップ、エプロン等の個人防護具)による特需を受けていましたが、2022年に入った後はPPEの需要は落ち、サプライチェーンの混乱、高インフレ、ドル高、経済成長の鈍化により2022年は売上を3%落としています。2022年Q4の決算では$8.1billionの売上でしたがこれば前年対比6%の下落となり、市場予想の$8.2billionも下回ってしまいました。2023年度のガイダンスでは下落率が2%~6%となり、EPSは$8.50~$9.00と予想され、2022年に記録した$9.88を大きく下回る予定です。

問題は売上だけではありません。230,000人以上の退役軍人から耳栓による聴覚障害で訴訟もされています。3Mは子会社であるAearo Technologiesという会社(実際の耳栓の外注製造業者)を倒産させる事により問題解決を図りました。しかし、破産裁判所は、親会社に対する訴訟の中止を求める3M社の訴えを却下しました。更に、昨年末フロリダ州の裁判官は3Mが同社の欠陥とされる耳栓によって発生した負傷の責任を逃れようとすることを禁じました。
問題はまだあります。3MはPFAS(工業的に作られる有機フッ素化合物の総称)メーカーとしても有名です。このPFASは環境での分解が遅いことからForever chemicals(永久に残る化学物質)とも呼ばれています。3Mは汚染された土壌や飲料水が一部の地域の健康被害につながったという主張で訴訟に直面しています。3M社は2025年末までにPFASの全生産を停止すると発表しています。しかし、今後数年間は法的措置に直面することになりそうです。

これらの複合的な要因により株価が重い状況となってしまっていた訳です。
ではそんな悪条件の中何故3Mの株価が上がったのか、それは何故かと言うといくつかの州や自治体と先程の述べたPFASによる水質汚染に関する訴訟が$10Billionで解決するかもしれないと報じられた為です。この金額は一部の金融アナリストが予測していた$25Billionよりはるかに少額で抑える事ができます。本当に$10Billionで解決する事ができれば良いニュースかもしれませんが、この数字が最終決定している訳ではないため一部の町や都市、個人が更に多くの金額を要求する可能性があると複数のアナリストは見ています。いずれにしても不透明な状況が続く中、3Mは年初来で約20%下落、高値からは64%も下落していたため、好材料の可能性を感じて今回値上がりした訳です。

しかしこの$10Billionで訴訟が解決するという話はまだ噂のレベルの話であり更に高い金額を払う可能性は十分にあります。実はその損失を見込んで3Mはリストラ計画を発表しており、早ければ2024年にも資金調達の為にヘルスケア事業部を売却する意向を表明しています。

②     今後はどうなるのか?


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今後はどうなるかという所ですが、やはり先程のPFASの件があります。3Mは消火用フォームの製造などに使用されているPFASの世界最大のメーカーの1つです。PFASは別名”forever chemicals”「永久に残るの科学物質」と呼ばれており、一度使用してしまうと環境に留まり癌やその他の長期的な病気が発症するとも言われています。そのため、この化学物質が健康に影響を与えたと考える消防士などの救急隊員や、現場の清掃や水質浄化のための資金を求める自治体から訴訟を起こされるようになりました。訴訟の話が大きくなるにつれ投資家は3Mがどの程度この問題の責任を負うのかに関心を持つようになりました。先程のこの訴訟が$10Billionで解決するかもしれないと伝えましたが、これがもし本当ならば株価の更なる値上がりが期待できます。競合他社であるChemorusも同様な問題が解決した際には25%物株価暴騰を見せたそうです。

3Mは直近の四半期決算のバランスシートで$4Billionを所持している事が分かっており、借入能力もあります。しかし今回の和解により3Mの配当継続に新たな懸念を抱かせる事は確実であり、配当王とも言われている3Mにとっては重要な問題になります。また、もし解決できたとしてもChemorusや他のメーカーも受けておりますが、個人からの障害賠償請求が解決される訳ではないと考えられます。また米軍に販売した耳栓に対しての責任賠償請求等、そのほかにも訴訟に関する懸念を抱えています。

PFAS問題解決の兆しは見えており3Mにとって大きな前進ともなりますが、今後数年を楽観視するのはまだ早いかもしれません。5月に3Mは年間$700million~$900milllionの営業利益改善を目標に6000人の解雇とグローバル事業の合理化により再建を図ると発表しました。これにより3Mは粗利が2~3%改善すると見込んでいます。しかしこの計画発表したわずか数週間後に再建立役者の一人であるMichael Valeを個人の理由で解任せざる負えなくなってしまいました。

3MはPFASを除いてもまだまだ課題はありそうです。

③    3M株は買いなのか?


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そんな3M株ですが、買いなのかどうかというと、個人的には言うまでもなく買いません。もう先程説明させてもらった通り、PFASの訴訟、耳栓の訴訟等解決されていない案件が多すぎる。PFASの訴訟が$10Billionで解決という話もまだ確定はされていないし更に金額が上がるポテンシャルは全然あります。そして耳栓の問題については先程説明した通り、アメリカ/破産裁判所は3Mが子会社であるAearo Technologiesを倒産させることにより、230,000人からの難聴になったという訴えを解決しようとしたことを棄却しています。Aearo Technologiesは3Mの子会社であり、財政状況は悪くない、訴訟は倒産するまでのリスクを生じさせるものではないと判断されました。これで3Mの立場は益々悪くなり、訴訟は泥沼化してしまいそうです。

唯一前向きな話としてJohnson Controls International(建物の防火設備、冷暖房空調設備、セキュリティ設備を製造している会社)が、カナダの森林を襲った山火事の煙がアメリカに南下し、都市を濃い黄色の靄で覆った事により、米国北東部で空気清浄製品の需要が高まったと見ていると発表したそうです。いくつかの地域では100を「不健康」とするAirnow(環境データベース)で、150を超える地域も出ているそうです。この影響を防ぐためニューヨークではN95というマスク100万個手配しているそうですが、このマスクの製造者が3Mになります。只、こんなのも単発的な特需であり、株価を教え上げられる程の要因にはならないと思います。

これが私が3M株を買わない理由になります。


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