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ミレニアル世代の学び直し ~東大院を受験しようと思ったが、太田プロの養成所に入学した話~

プロローグ:焦り

約3か月没頭した1つの大仕事が一段落し、少し時間ができた。
すると急に危機感に襲われた。

「早く次のstepに進まなければ」

若くして起業した私には常に焦りに似たコンプレックスがある。

会社にいれば、上司から学び、優秀な同僚の中でもまれ、定期的に研修を受け、フィードバックによって自分の今のレベルを知り、周囲に今後の成長の方向性を相談できる。

しかし、私は、かなわないと思う同僚達にもまれることも、きつい上司からのフィードバックをもらうこともなく、20代後半から30代前半を過ごした。

だから、「私は視野が狭くなっていないだろうか」「自分は成長しているだろうか」を絶えず自問自答している。

「新しいものを作る」を仕事にしている私にとって、新しい体験や学びをし続けることこそが価値を生み出す源泉なので、新しいものに触れる機会がなくなると怖くなるのだ。

とにかく「すごい人たちにもまれて、新しいことを学びたい」
その気持ちが沸き起こった瞬間に、私は学びの場を調べ始めた。

起:3秒で散った東京大学大学院

どんな学びの場を求めているのか考えてみたところ、学びたい分野はなく、「すごい人たちと議論やディスカッションをしてコテンパンにやられたい。」ということだった。

一番初めに思い浮かんだのは、東京大学公共政策大学院。
「日本で一番優秀な人が集まる学びの場でディスカッションいっぱいして、成長するぞ!!」と意気込んで、東京大学大学院のHPを見た。

3秒であきらめた。

TOEICか。。。
英語か。。
英語が必要なのか。。。
そっか、、、
そりゃそうだよね。論文とか英語だもんね。

大学院を受けるためには、人生で避け続けてきた英語を学ばねばならぬ。

大学院に行くために英語が必要なら2か月RAIZAPの英語に通うか、と1瞬考えた。

とはいえ、付け焼刃の英語力で東大の大学院にいけるわけがない。
調べてみると私が行きたい大学院はほぼ英語が必要。

なるほど。

数秒考えた結果、「私は学びによって弱みを克服したいのではなく、強みを伸ばしたい」ということで自分自身を納得させ、開始10分で大学院という選択肢を消した。

承:私にとって「すごい人」とは誰か?

次にビジネススクールを考えた「MBAを学びに行ったら意識高い人たちの中でもまれて、成長できるかも!」と。

しかし、ふと「私がMBAとって面白いのか?」という疑問が頭に浮かんだ。
経営者がMBAとるのは「エリート」で「王道」。
本気で経営を学び実践している方々がたくさんいる。
そんな場所に生半可な自分が行っても頭も心もついていけない気がする。
それに、私がMBAをとったからといって唯一無二の面白い存在になれるわけじゃない。

この辺りから、自分が何がしたいのか分からなくなったので、もう一度「なぜ学びたいのか?」を整理することにした。

■私の学びたい欲求の始まりは
「頭の後ろからスコーンとスリッパではたかれるような衝撃を与えてくれるすごい人にもまれたい」
■何のためにか?
「自分の強みを活かし、面白くて新しいものを作り続けるため」
■では、私がもまれたいすごい人とはだれか?
「その発想面白い!!と思える人」
■面白い人がたくさんいるのはどこか?
「お笑い養成所か!よしもとか!!」

という事で、よしもとの芸人養成所を調べ、話を聞きに行った。

転:私が本当に得たかったもの

HPや資料を見るに吉本には毎年600人も入学し、まず相方探しから始める。
イベントや舞台など超実践型。

当然ながら、冷静になると考える。「私が漫才をするのか?」と。
面白くないことで有名なこと私が、人前でスベるのか?
芸人になりたいわけでもないのに、すべりつづけることに耐えられるのか?
本気でお笑い目指している人たちの中でついていけるとは思えない。

漫才のネタや設定、ストーリーつくり、オチの作り方には興味があった。
日常の一コマを面白い角度から切り取る力はめちゃくちゃほしい。
しかし、やはりお笑い芸人養成所は違う気がする。

芸人養成講座を諦め、よしもとのページを閉じようとした時、もう一つスクールがあることを知った。
よしもとクリエイティブカレッジ。

テレビ業界やエンターテイメント業界の裏方について学ぶスクールだ。
その中に構成作家コースを見つけた。

お!!OHHHHHHH!!!!
まさか!
私が尊敬して止まないNHKのEテレの子ども番組「シャキーン」を作っているのも放送作家なのか?!
1コンテンツ20秒から1分以内と非常に短いのだが、「その角度から切るのか!?」と驚きの連続なのだ。
あれを作っているの放送作家なのか!?そうなのか?!
めちゃめちゃ学びたい!!
企画会議とかめちゃやりたい!!

シャキーンの企画は放送作家の「倉本美津留」さんが行っているとのこと。
ダウンタウンなどのお笑い番組からNHKまで幅広く手掛けている。

放送作家で調べると「秋元康」さんも出てくる。
おおおおお!!!番組コンテンツだけでなく、放送作家のスキルはリアルコンテンツにも生かすことができ、ビジネスに直結するのではないか!!!!!

経営者×MBAではなく、経営者×エンターテイメントの方が私はワクワクする。

放送作家を学ぶことに決めた。

結:太田プロダクションを選んだ理由

ここで、私が参加できる(したい)条件を始めて考えてみた。
■すでに4月の入学時期を超えているが、すぐにスタートしたい。
■とはいえ、子育てがあるので、週1かギリギリ2が限界
■東京の山手線沿線くらいまで(西すぎるときつい)
■できれば定期的に勉強したいので1年間コース
■ディスカッションで構成されている授業
■たくさんの受講生よりも少ない人数
■急な欠席しても他の人に迷惑がかからない。
■多種多様な人材が来ている(就職目当ての学生ばかりではない)

よし、では、どこに行こうか。
放送作家になるための方法を調べた。
放送作家スクールには大きく3つあるようだ。
① 放送作家の団体が運営しているスクール
② テレビ局が運営しているスクール
③ プロダクションが運営しているスクール

その中で上記の条件を満たしているのは
太田プロダクション(有吉や土田、劇団ひとりやAKBの指原さんなどが所属する事務所)の運営する放送作家養成コースだった。

4月で今年度のスクールの募集は打ち切られていたが、枠が空いていれば入れるとのことで、即電話。即、見学申し込み。

太田プロダクションの放送作家養成コースは芸人コースを並行して学べるのだ。
芸人として自分は滑ることをせず、ネタの設定やらを学ぶことができ、笑いを知ったうえで、コンテンツ制作ができるなんて、いいとこどりではないか!?と意気揚々と見学に行った。

34年生きてきた中で初めて感じる空気に終始、胃が痛かった。
その場を逃げ出したいくらいの緊張感。
息を吸うことすら躊躇われるほどの空間。
芸を磨こうとする人達はこんなにもストイックなのか。。

こんな体験は他ではできない。
その場で入学を決めた。

秋元康さんに直接従事した放送作家の方が少人数で指導していただけることのも大きな魅力だった。

放送作家や業界で働くことを目指していない受講者は13年続く養成所の中で私が初めてらしい。
私は1年間かけて、物事を色んな角度からみて面白く切り取る「視点と伝え方」をここで養い、自分のビジネスに活かしていきたいと思う。

エピローグ:ミレニアル世代の学び直し

人生100年時代に突入。「働き方改革」「学び直し」がキーワードとして挙げられる中、私たち世代は何に時間やお金を投資するのか?
(※あくまで、私の例でまとめています。)

■スキルより、コミュニティ
「何を学ぶか?」ではなく「どんな人たちの中でもまれるか?」
スキルを得に行くよりもコミュニティに属しにいく、という感覚の方が強い。1つの会社に所属し続ける時代ではないので、私たちは自分が生きていくためにたくさんの「居場所」をつくる必要がある。学びの場=所属するコミュニティという感覚が強い。

■今の時代の「優秀な人=面白い人」である
優秀な人(会社の戦略を理解し、会社の目標を達成できる人)は社内にたくさんいる。しかし、社内外を巻き込んでイノベーションを起こせる人は少ない。
他人が自分のエネルギーや時間をかけたくなるプロジェクトを立ち上げられる人=面白い人 になることこそが、今後社会から求められる人材になることだと思う。

■何を掛け合わせると唯一無二になれるか
ミレニアル世代には今すでに頑張って獲得したスキルやブランドがある。それをさらに磨くには何を掛け算すればよいのか?「今の自分×●●」それが今までにない組み合わせであればあるほど、ライバルが少なく、自分だけのブランドができていく。

会社に頼らないで仕事をし続けるのに大切なコミュニティ、創造性、ブランディング。
結果論だが、上記3つを意識して私は今回学び直しの場を選んでいたように思う。


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