春ねむり「春火燎原」によせて
春ねむりの作品は、相変わらず日記であり詩集でもあって、聞き始めるまでには気重さを漂わせ、聞き始めるとコンプレックスやルサンチマンが刺激され、ある種の気恥ずかしさをも漂わせてくる。
しかし、真っ当なコンセプトアルバムとして作り上げられているこの作品は、再生を始めてしまえば最後まで耳を傾けざるを得なくさせられてしまう力も帯びている。
それは小劇場で展開される朗読劇のような、この20年の(主に日本の)音楽的文脈に則った音楽劇のような、小道具も何もない舞台でスポットライトを浴びる春