見出し画像

23歳、初めての一人旅

直島に行きたい!!

23歳のとき、直島のことを知りビビッときた。絶対に行きたいと思った。
私は当時銀行員だったので、毎年1週間の休暇がとれる。というかとらないといけない。次の1週間休暇は直島に行こうと決めた。

でも社会人1年目。友だちはほとんどが就職していて長い休みを合わせることは難しい。というかそもそも直島に興味がある友だちを探すのが困難だった。なんせ旅行に誘えるほど仲のいい友だちが少ない。

もう一人で行くしかない。
ということで一人旅の練習をすることにした。

前置きが長くなったが、今回はこの「一人旅の練習旅」について書く。

準備

初めての一人旅。行先を選ぶ上での条件は以下のとおり。
・車で行けるところ
・できれば自分の運転で行ったことのあるところ
・温泉があるところ
・星空が見えるところ

「星空が見える」というのは、この年の9月に行ったキャンプで初めて天の川というものを見て、大層感動したから。
あれをもう一度見たい!温泉に浸かりながら!
ということで行先は山に決まった。幸い大分県に住んでいるので温泉には困らない。
条件を総合して大分県の久住に行くことに決めた。冬は雪が降る地域。そのときすでに11月の下旬。月末は非常に忙しい職種なので、頑張ったが12月の上旬にしか休みがとれなかった。
(別に土日を使って行けばいいものを、非日常を味わいたいという理由だけで有給とった)

1日目

さぁいよいよ出発。
天気は曇りで風が強いし冷たい。でも久住は一人でよくドライブに行っていたので運転は困らなかった。余裕こいてレンタルDVDを流しながら向かった。そのときのチョイスは「さまぁ~ずさまぁ~ず」。さまぁ~ず大好き。

寄り道せずチェックイン時間ちょうどに到着。夕食前に一旦温泉に浸かりたかったが、今回の旅の楽しみは露天風呂から満点の星空を眺めること!しかもそこは景観を大切にしている地域で街灯や照明が最低限しかない!星空を眺めるにはうってつけ!
ということで夕食まで本を読んだり寝転がって天井を眺めたりして過ごした。

夕飯はいろいろあって全部おいしかった。メニューはほとんど覚えていないが、初めて食べたむかごご飯がすごくおいしかったのは鮮明に覚えている。おかわりもした。
あと熱燗を1合だけ飲んだ。普段1合ぐらいなら大して酔わなかったのに、このときはけっこう酔った。私が一人だからか支配人がちょくちょく話しかけてくれていたのだが、私の顔が赤かったのだろう、標高が高いとお酒が回りやすいということを教えてくれた。
(今はおちょこ一杯で潰れる自信がある。もともと酒に弱いが、本当に本当に弱くなった。)

さて、腹が膨れたところでお待ちかねのお風呂!予想外に酔ってしまったので一旦眠りたかったが、部屋に帰るために渡り廊下に出ると一層風が強く冷たくなっており、一瞬で酔いが醒めた。
このホテル、客室が長屋式で食堂や温泉とは渡り廊下でつながっている。この渡り廊下が完全に外。つまり移動するためには毎回外に出ないといけない。
寒いだけならいいのだがめちゃくちゃ暗い。先述のとおり街灯が最低限しかないから。渡り廊下も例外ではない。だって外だから。渡り廊下を外れると一寸先は闇状態。

ひとり。山。暗い
…こわい。


渡り廊下をご覧ください。
久住高原コテージ公式HPより https://www.kujukogen.com/category05/


もうこれは時間が経てば経つほどこわいと思ってさっさと温泉に向かった。

さーて外はこわかったけど気をとりなおして!どんな素敵な星空が私を迎えてくれるのかしら😍✨とわっくわくで露天風呂の扉を開けると!

                ・
                ・
                ・

暗闇!!!

空は一面真っ黒い雲に覆われ、吹雪いていた。
私が服を脱いでいる間に雪が降り始めたらしい😭
慌てて温泉に浸かる。お湯はとてもいいのだが、頭が寒くてたまらない。タオル載せたぐらいじゃどうにもならない。寒すぎてお湯から出られないから内湯にも戻れない。もちろん時間が経ったところで星も見えないからとっとと中に入りたいのに。詰んだ。

意を決して震えながら内湯に戻り、嘘みたいなオレンジの館内着を着て、おとなしく部屋に帰った。
せっかくの一人旅を満喫しようと、読みかけの本を開いたが、夕方より明らかに強くなっている風の音と外の暗さにびびってさっさと寝た。

2日目

明るくなるともうなにもこわくなかった。
朝食もとてもおいしかった。朝もむかごご飯があった。もちろん食べた。
ゆっくり起きたので朝風呂の時間はなかった。一人で運転して帰ることを考えると体力を温存しておきたかったので、そもそもが朝風呂する気もなく、チェックアウトぎりぎりまでだらだらした。

帰りは寄り道することを決めていた。職場のグルメな上司が久住にオムライスのおいしい店があると言っていたので食べて帰ろうと思ったのだ。

行ったのはCafé BoiBoi。

店内に黒い犬がいた。オープンと同時くらいの早い時間に行ったので客は私一人。犬はおもむろに起き上がると、外に出られる窓の前に立ち私をじっと見る。犬は外と中を自由に行き来できると張り紙かHPかなにかで見ていたので、窓を開けて外に出してやった。
外は囲いのある草原になっていてと奥にまんまるい羊がいる。ぼーっと眺めていたらしばらくして犬が羊を連れて帰ってきた。でも店内に入る気はないらしく外でじっとしている。
そうこうしているうちにオムライスが運ばれてきた。じっとしている犬と羊を眺めながら食べた。
おいしかったけど、朝からむかごご飯をもりもり食べた私には少し多かった。いつか腹を空かしてもう一回来ようと思った。

目的はすべて果たしたのであとは帰るだけ。実はオムライスを食べているときに雪が降り始めた。雪の山道を一人で走るのは初めてでガチガチに緊張した。相変わらずさまぁ~ずさまぁ~ずはついていたが何も耳に入らなかった。
今思えば全然びびるような雪じゃなかった。結果、無駄に体がこわばっただけで特に何事もなく家に着いた。

楽しかったんだよ。本当に。

私の初めての一人旅はいろいろいろいろあってとても楽しかった。

楽しかったんだけど、久住高原コテージのことが悪く伝わってたらどうしよう。
天気がよければ絶対星空きれいやったと思うんよなぁ。そんでご飯が本当においしかった。
今めっちゃ行きたい。
あれから10数年。歳とって暗闇にびびってやるほど心が繊細でもなくなったし。


最後に。翌年、無事一人で直島にも行った。4泊5日瀬戸内の島を巡る旅。いつか気が向いたら書く…かな?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?