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「売れてない芸人だからこそ見せられる景色がある」

きつね日和の松本さんはプロの芸人さんである。

ビクターミュージックアーツに所属し、きつね日和と言うコンビを組んで漫才をやっている。

相方は全身黄色スーツでもじゃもじゃ頭でメガネのおいなり達也さん。芸歴と見た目年齢は松本さんよりだいぶ上だが実年齢は1個下の28歳。北海道帯広市出身。
一見ポンコツだが創作方面の才能に長けており、イラストや工作、動画編集が上手い。オリジナルのステッカーを制作してお客さんに配るなどアイディアも豊富。
ユニークな見た目を後押しするように動きや表情も豊かなので、もはやそこにいるだけでおもしろい。
一生懸命さと天然が奇跡を起こし爆笑をもたらすこともしばしば。
一言で表せばお笑いの天才である。

天才過ぎるが故に、世間はおいなりさんについていけなかった。

きつね日和結成前の約6年間、おいなりさんは下ネタ強めのピン芸人をやっていたがファンが1人もいなかったらしい。(その頃、ライブ終わりにお客さんから声をかけられたことがあまりにも嬉しくて、以来、お客さんに成城石井のチョコレートを配っていたとか。名刺のようなものも同封しつつ。)

そんなおいなりさんの才能を誰よりも理解し、可能性を見出し、力を最大限引き出そうと日々努力を惜しまないのが相方の松本さんである。

松本さんは大学卒業後、成城石井の副店長をしていた。将来有望な社員として重宝され、かなり可愛い彼女もいて結婚の約束もしていたらしい。
しかし会社を辞め、結婚の話も無くなった。

芸人になる為に。

現在、松本さんは多くの若手芸人同様、ライブやネタ見せ、オーディションの合間にバイトをして生活をしている。とても貧しく、「早く売れないと死ぬ。」と呟いていたこともあった。


きつね日和の結成は2019年8月3日。
約半年後に例の流行病が蔓延しエンタメ業界は社会の隅に追いやられる。ライブは尽く中止や延期になり、きつね日和も芸人としての活動が出来なくなった。

一時は解散を本気で考えるほど思い詰めていたらしい。
おいなりさんのさりげないフォローと、囲碁将棋さんの単独ライブで文田さんから激励の言葉(「いつか一緒の舞台に立とう」だったと思う。)をもらい、踏みとどまる。

ライブに出られない代わりに、きつね日和は音声配信アプリRadiotalkで配信を始める。

第二回目の配信でおいなりさんと同郷の三拍子高倉さんと偶然出会い、その数週間後には三拍子のYouTube生配信「生漫DAY」にゲスト出演。私はここから2人のファンになった。

この辺りから週に数回だった生配信は毎晩22時頃から行われるようになった。
最初は2人がそれぞれの自宅から配信していたが、徐々に行動制限が解かれていくとライブ終わりやネタ合わせの前後などにも配信するように。

思い返すと性風俗の話がほとんどだったが、即興でコントや漫才をして笑わせてくれることも多かった。

じゃれあってるかのような2人の会話を聞いて笑っていると1日のストレスや疲労がどこかへ消え去るようだった。きつね日和の配信は私のオアシス。

その日出演したライブの反省会やお笑いに関する真面目な話をすることもあった。

ライブで滑ったりオーディションで力を発揮できなかったり、上手く行かないことがあるとどちらかがとことん落ち込み、もう片方が励ます。
一度配信中に激しく喧嘩したこともあった。リスナー全員で心配したが、その喧嘩を境にコンビ仲がより深まったように思う。

オーディションに受かったり、バトル制のライブで勝ち上がったり、大会で優勝したり、テレビやラジオの出演、配信番組のレギュラーが決まったりすると必ず毎日のライブ配信で嬉しそうに報告し、ファンに「ありがとう」と伝えた。

「みんなの応援のおかげで結果が出せた。ありがとう。」

「みんながライブに来たり、配信を見たり、きつね日和おもしろいってツイートしているのを関係者の人が見てくれている。それが仕事に繋がってる。本当にありがとう。」


毎晩の配信は大変そうな時もあったが、2人の会話を通してきつね日和が本気で「売れたい」と思っていることが伝わってきた。
目標に向けて自分達に何が足りないかを見定めて、何が必要なのかを考えて戦略的に行動している。

M-1に向けて漫才力を鍛える為に月1で漫才師だけの主催ライブを開催したり、トーク力を鍛える為に月1でトークライブを開催したり。

まだ大きな成果は出ていないが、着実に仕事の数は増えて仕事の幅は広がっている。

2年前は「お笑いの仕事をしたい。」とぼやいていたが、今は週に数本のライブに出演し、毎週月曜日には配信アプリ「マシェバラ」内の番組でレギュラーMCを務めている。

松本さんは「おいなりに比べて個性がない。」と悩んでいたが最近はアイドルオタクというポジションを確立。ガチのオタクっぷりが遂に仕事に繋がり、松本さんが今1番推しているアイドルにっぽんワチャチャ遠藤Nozomiさんのラジオ番組にゲスト出演した。

私もきつね日和きっかけでワチャチャのファンになったが、ワチャチャのファンの方々もきつね日和のライブや配信に遊びに来てくれる。とても嬉しい。

(にっぽんワチャチャときつね日和が出会ったきっかけはこちらで。)

まだ知名度もなく爆発的に売れているわけでもないが、着実に力をつけてファンを増やし一歩一歩前に進んでいるところがとても頼もしい。
嬉しいことも悔しいこともファンと共有してくれる。

応援しがいがある。


そんなきつね日和は今、新たなステージに向かうべく奮闘している。
M-1グランプリももちろんだが、もう一つ別の大会に挑んでいる。

『お笑いJACKPOT』決勝戦

株式会社Qvouが今年始めた新たなお笑い大会。
出場資格は「お笑い芸人としての年収が100万円以下」
優勝賞金は100万円。

この100万円を、きつね日和の知名度を上げて売れるための投資として使いたいらしい。

決勝戦は観客投票で行われる。

観客投票制のお笑いの大会は何度か見に行ったが、ネタが文句なしにおもしろいのは大前提として集客力が鍵となる。どれだけ自分達を応援してくれる人を集められるかが重要。

9月23日の決勝戦に向けて、きつね日和は(主に松本さんは)告知に力を入れている。昨夜は配信で大会にかける思いや優勝賞金の使い道などを語った。タイトルはその時に発せられた言葉だ。


「売れてない芸人だからこそ見せられる景色がある」

これを聞いた瞬間にグッと来てしまった。

苦難を経験し、泥臭く直向きに頑張る彼らにしか見せられない景色がきっとあるはず。

まだ売れていない彼らが、これから売れていく過程で見せてくれる景色は一体どのようなものだろうか。見たい。

まずは9月23日に向けて2人にエールを送りたい。

頑張れ!!!

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