漫画の売り方を考える時は、売り方から考えません。

若林稔弥です。
今回は僕が漫画の売り方を考える時、一番最初に考えることをお話しします。

それは「この漫画で読者に伝えたいこと」です。
短く言うと「テーマ」ですけど、「テーマ」という言葉は人によって解釈の幅が広いので、
なるべくカタカナ言葉を使わないようにしています。

売り方を考えようと思ったら、まず自分の漫画が何なのかを分析する必要があります。
自分の漫画に合わせた売り方でないと、売ろうにも売れないからです。

目次
■誰に何を伝えてどういう気持ちにする漫画なのか
■3つの項目を突き詰めていく
■ 言いたいことを1つにまとめる

■誰に何を伝えてどういう気持ちにする漫画なのか
漫画に限らず、最初に指針を決めることはお仕事の基本だと思います。
僕は面白そうなアイデアを思いついたら、まずはその漫画が、
「誰に」「何を伝えて」「どういう気持ちにしたいのか」を整理します。

「徒然チルドレン」だと
「高校生達に」「人の恋愛を覗く楽しさを伝えて」「ニヤニヤして欲しい」
「幸せカナコの殺し屋生活」だと
「疲れた社会人女性に」「サクッと人を殺す爽快感を伝えて」「元気になって欲しい」
みたいな感じです。

■ 3つの項目を突き詰めていく
それぞれの項目に入れていくことは決まっています。

「誰に」は「想定読者」
どんな読者を想定しているかで、漫画の内容も変わってきます。
年齢や性別によって読者が喜ぶ内容には差がありますし、
本で読むかスマホで読むかでも読者の求めているものの傾向は変わります。
想定読者を決めたら、とにかくその人達にとって読みやすい漫画に仕上げていきます。

「何を伝えて」は「核となる面白さ」
この漫画の面白さはこれ!と一つ決めます。
その面白さを最大限引き出し、余計な要素は抜きます。
さらにこれは「誰が何してどうなる漫画」と一言で説明できるまで切り詰めます。
読者が他人にこの漫画をすすめる時に、どういう漫画かを簡単に説明できるくらい、
単純になるよう仕上げていきます。

「どういう気持ちにしたいのか」は「読後の感想」
僕にとってはこれが一番重要です。
読後の感想は読者の満足感につながります。
読後の感想こそがその漫画の味であり、読者が求めてるものだからです。
「面白い」と思ってもらう以上に「好き」になってもらうことが、漫画の目標です。

■言いたいことを1つにまとめる
いろいろ難しく考えてきましたが、最後は簡単にまとめます。
僕には「伝えたいこと」をまとめる時のルールがあります。

それは「疑問形にすること」です

「徒然チルドレン」なら「こういうの、ニヤニヤしない?」
「幸せカナコの殺し屋生活」なら「どう?元気になった?」
です。

疑問形にすると、読者の感想をエゴサーチした時、
自分の設定した問いかけに呼応する感想があるかないかで、
その漫画が読者を満足させられているかを判断できるようになります。
さらにその感想の数や内容から、
読者が漫画の内容のどこに満足して、どうなると物足りないかもわかるようになります。

もし「面白かった」みたいな反応しかなかった場合、
おそらく読者はその漫画を漠然と楽しんでるか、
あるいは軽く楽しんでるものと思われます。
そういう時は感想の数も少なく、実売も低いです。

僕は漫画もコミュニケーションの一つだと思うので、
それを突き詰めるていたらこういうやり方になりました。

以上が僕が漫画の売り方を考える時、一番最初に考えることです。
今回の記事の最初に
「漫画に合わせた売り方でないと、売ろうにも売れない」と話しましたが、
「徒然チルドレン」の時は、想定読者の詰めが甘くて、
アニメ化の際に「誰向けに作ればいいんだ」という問題に直面しました。
「幸せカナコの殺し屋生活」では、そのへんをもう少し詰めて作っていますが、
はたしてどうなるでしょうか。
元気になってもらえたら嬉しいです!!

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