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女にとって「誠実な男」が一番キモい

いわゆる「誠実な男」は恋愛面においてカスほどモテないという事実は少しずつ世間にも知られ始めてきたように思う。

誠実な男性はとにかくモテない。ここでは「誠実さ」を「相手の意志を尊重しようとする性質」と定義したいが、とにかく女性の意志を尊重する男性は死ぬほどモテないのだ。誰にでも誠実に接し、他人の話によく耳を傾け、その人の意向を尊重し丁重に扱う──。そんなタイプの男性が女性にモテているのを見たことがある人間はほとんど絶無だろう。

「誠実」な男性は仮に結婚しても、ATMとして鬼嫁の尻に敷かれたり、子供を連れ去られ慰謝料と養育費を払い続けるマシーンと化したりという確率が有意に高い。結婚し家庭内に居場所がある父親が「誠実な男」タイプであることは極めて稀である。

最近も嫁に趣味の「ももクロ」グッズを全て捨てるよう強要された男性がSNSで話題になっていたが、あれも「誠実な男性」の辿りがちな典型的な悲劇のひとつである。「ももクロのグッズを捨ててほしい」という無理筋な要求をただひたすら妻への愛と献身ゆえに呑み込んだ男性は、結果としてなぜか別居を提案されるという踏んだり蹴ったりな目に遭っている。

この男性は元々理系研究者であり、そこから外資系コンサルタントを経てITエンジニアになったといういわば経済的には「勝ち組」に属するであろうと思われる男性だが、その持ち前の誠実さと利他精神によって多くのものを奪われる結果になってしまった。「誠実さ」はモテない。いやモテないどころではなく、高確率で女性からの加害を誘発してしまう。女性にとって誠実さとは、魅力どころかキモさでしかないのである。

なぜ誠実であることは女性からの評価につながらないのだろう。いや評価されないどころか、女性からの加害すら誘因してしまうのだろうか。多くの男性からすれば理解不可能だろう。というのは「誠実さ」は男性間においてはもっとも評価される美徳のひとつだからだ。

個々人を尊重し、ひとりひとりの意見に耳を傾け、公平にまた礼儀正しくひとりひとりを評価する──。劉邦からエイブラハム・リンカーンに至るまで、男性から評価されるリーダーシップの持ち主は「誠実」という美徳を常に備えている。乱暴で押しつけがましく、独りよがりで、他人の意志を踏みにじる男性が男社会で評価されることはほぼあり得ない。男女関係とは裏腹に、男と男の関係においては誠実さこそが信頼のキモだ。

だからこそ多くの男性が「男同士」の関係性の常識から抜け出せず、女性に対しても「誠実」に接してしまい結果大やけどを負うのである。生来誠実さを重んじる気性が強く、それによって評価されてきた男性ほど、やけどの度合いが強くなりがちであると個人的には感じている。

なぜ男性の「誠実さ」は女性にとってかくもマイナスにしか作用しないのだろう。なぜひとりの人間として尊重することが女性の加虐心をこうまで煽るのだろう。ひと言で言えば、女性にとって自分を「尊重」されることは一種の恐怖でしかないからだ。ここに男と女の根本的なマインドの違いがある。尊重されること、つまり一個の独立した人格として自由と権限を認められることの意味が、男性と女性で大いに違うのである。

本稿は「誠実な男性」たちが良かれと思いながら女性を恐怖と不安のどん底に陥れるメカニズムについて解説していく。


男はニートでさえ自分を「英雄」だと思っている

三島由紀夫はある随筆の中で「全ての男は英雄である」という意味のことを書いている。ここで言う英雄とは「地に足のつかない競争意識と名誉心に駆動された者」程度の意味だが、筆者もこれこそが男性原理の中心であろうとかねてより思っている。つまり男にとって何よりも重要なのは、どのような形であれ

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週に1-2回程度更新。主な執筆ジャンルはジェンダー、メンタルヘルス、異常者の生態、婚活、恋愛、オタクなど。

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