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こんな編集者には注意しよう

一.作家に逢いたがらない編集者

 3年ほど前のことです。F書院に仕事を貰いに来たフリー編集者が、「ぼくはK談社ラノベ文庫で仕事をしているから、わかつき先生の企画をK談社に持っていってあげますよ」と言ったそうです。F書院の担当者経由で企画を預けたのですが、何か変なんです。
 そのフリー編集者、私といっさい話そうとしません。すべてF書院の担当者経由です。おかしいと思った私は、「東京に行く用事があるので、お時間取っていただけませんか?」と伝言して貰ったのですが、お断りされてしまいました。
 編集者という人種は、膝をつき合わせての打ち合わせを大事にします。作家に逢いたがらない編集者というのは異常です。

二.自分のことを大きく見せたがる編集者

 そのフリー編集者に二本企画を預けたところ、二本とも不採用になったそうで、なんだかんだで半年経過しました。面倒くさくなった私は、「自分でやるんでHさんの仲介いらないです」と言って、K談社ラノベ文庫に電話しました。実は、K談社ラノベ文庫は、レーベルが立ち上がったとき営業したのですが、いろいろあって疎遠になってしまったレーベルです。
「お久しぶりです。わかつきひかるです。Hさんに預けた企画、不採用になったそうですが、直接見て頂きたいと思いまして電話をしました。もう一度ご縁を結べないでしょうか」「は? 何のことでしょうか? Hさんなんて知りません。わかつき先生の企画は提出されていません。うちに出入りしているフリー編集者なんていません」全て狂言だったでした。Hさんの目的は、自分にコネがたくさんあること(編集者として力が強いこと)をPRし、F書院で仕事を貰うこと。F書院に恩を売ることだったのでした。
 自分のことを大きく見せたがる編集者は要注意です。

三.クリエイター気質の編集者

 自分で小説を書く編集者は、作家の文章や展開にやたらとダメを出してきて、作家を「ぼくの考えたすごいしょうせつ」を書くためのワープロにしようとします。企画書を書いて「この通り書いて」と言ってくるような編集者からは、逃げたほうが賢明です。こういう編集者に捕まってしまうと、意味のない直しが六回も続いて、しかも、日本語のおかしい赤が入って、小説がメチャクチャにされてしまいます。
 私は三回目で「これ以上は直しません」と宣言したら、バイク便が来ました。東京から千葉の市原市までバイク便。ものすごくお金がかかりますよ。作家をオナホにして、会社のお金で、編集オナニーに耽って楽しんでいるのです。
 そして本人は、ボクは熱心ですばらしい編集者だと思っています。
「ボクも小説を書いているんですよ」なんて言う編集者は地雷です。

四.事務上のミスが多い編集者。

 どんな会社でもそうですが、下請への支払いは、担当者が支払伝票を切って経理に回すことによって発生します。支払伝票なしに経理が支払うことはありえません。
 作家が小説の執筆を出版社から請け負う場合、担当編集者が支払伝票を切って経理に回します。
 ところが、支払伝票を切り忘れて、未払いを起こす編集者がいるのです。これはたまに発生します。
 作家から問い合わせがあったとき、編集者はあわてて支払い伝票を切って経理に回し、「ボクのミスなんでナルハヤで(なるべく早く)振り込んでください」と頼みます。一日か二日遅れで作家に入金されます。

五.自分のミスを他人のせいにして、指摘されると号泣する編集者。

 ところがある編集者は、未払いで問い合わせたとき、「経理のミスです。二ヶ月後の振り込みになる。会社が悪い。きつく叱っておく」と言いました。「ボクのミスなので、急いで振り込んでください」と経理に言うのが嫌なので、今日付けで支払伝票を切るつもりなのです。「経理のミスなら、今日中に振り込んでくれますよね?」と言ったら「編集長の指示です。会社が悪い、ボクは悪くない」私は電話を切り、編集部に電話をして、編集長にいきさつを話しました。
 編集長は「指示してないです。はじめて聞きました」と呆然としています。15分後に編集長から電話がかかってきて、「Mが嘘をついたそうです」受話器から、わあわあと泣きわめいている声が聞こえてきました。

六.ダメを出すことが快感になっている編集者

 某社に営業したときのことです。「本を送って頂いたら拝読して検討しますよ」とのことなので、新刊が出るたびに本を送っていました。
 ところが、あるとき、本が大量に送り返されて来たのです。それが私の本ではないんです。ペンネームの似た、同じレーベルで書いている新人作家さんの小説です。手紙がついていて、小説のダメ出しがビッシリと書いてありました。それもひどい内容で、私には罵倒にしか思えませんでした。
 私の小説へのダメ出しなら、私の小説をグレードアップするための肥料にさせて頂くところですが、一生懸命な新人を潰しにかかるのはやめてほしいですね。
 私は電話を掛けました。「お間違えです。私はわかつきひかるです。こういうことをされても、誰も幸せになりませんので、やめて頂けないですか?」怒鳴られました。もうメチャクチャに怒鳴られました。電話の反応から、この編集者はダメを出すのが好きで、作家にダメを出す私ってすばらしいと思い込んでいるオナニー編集者だと判明しました。しかも、相手を間違える。自分のミスを認めず怒鳴る。会社にも作家にも害悪です。

六.打ち合わせの間中、携帯電話でお友達とお電話しまくりの編集者

 友達の紹介だったのですが、友達の手前、渋々逢ったのでしょう。私に興味も関心もなく、私を怒らせて縁を切るために、わざとやったのだと思います。

七.作家を信頼せず、口止めしたがる編集者

 企画が通り、さあ書くぞ、という段階なって「機密保持誓約書にサインしてください」とメールが来ました。「作家さんの個人情報を公開しませんという内容です」と言われたのですが、書式は
1.知りえたことを第三者に漏らすな(弁護士、警察、編集長も第三者に入ります。契約の当事者でないため)
2.契約の当事者は編集者の個人名(契約は企業の代表者とするものであり、編集者個人とするものではない)
3.非公開の範囲の明示がないため、口止めの範囲が無制限。
4.機密保持契約書で検索したテンプレートの初期設定そのまま。
 この編集者は未熟で、作家を信頼していないのでしょう。常識がなく、法的な知識が皆無なので、初期設定のテンプレートを書き直すことさえできない。自分の出したものが怪文書であることがわからないのだと思います。法的知識皆無の編集者は、著作権法で失敗する可能性が高く、危険案件です。
 しかも、作家同士の情報交換と編集長への相談を避けようとしています。それはつまり編集者のミスが多く、作家からの苦情が多く、トラブルだらけであるということ。
 逃げた方が賢明でしょう。

八。業界ゴロ。

 出版業界は不況です。昔は編集者は高級取りで、安定した仕事でしたが、倒産する出版社も多く、リストラもあり、契約社員も多いです。
 リストラされた編集者がフリー編集者になったり、エージェントになったりしています。一と二の編集者は典型的な業界ゴロですね。業界ゴロは、自分が得をするためには、作家も出版社も道具として扱いますのでとんでもないことをやらかします。要注意です。
 出版業界が余裕を無くしている現在、正社員のオナニー編集者は少なくなっていくものと思われます。今注意すべきは業界ゴロです。
 
 こういうことを書くと、あんたが売れないから悪いのだと批判する人が出てきます。
 ですが、バイク便編集も、号泣編集も、ダメ出しオナニー編集も、私が大売れしていたときに出会いました。出す出す本全部増刷がかかり、年に13冊書き下ろしを出版していたときのことなのです。
 業界ゴロには村上春樹も被害に遭っています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E5%8E%9F%E9%A1%AF
 編集運は純粋に運です。新人賞という課金で回すガチャですよ。編集ガチャで失敗すると、作家なんて簡単に死にます。

 じゃあ、どういう人がいい編集者なの? 作家は編集者とどうつきあえばいいの? という問題については、次回以降に書きたいと思います。

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