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今こそ脱炭素を自分ゴト化して向き合うべき3つの理由

こんにちは。株式会社DATAFLUCTの若山(@naoki_wakayama_)です。

近年、国内外で脱炭素に向けた取り組みが加速していますが、直接的に自社で脱炭素関連の事業をやっていたり、サステナビリティ推進部門のようなところに所属していない限りは、まだまだ自分ゴト化して考えられないという人は多いのではないでしょうか。
おそらく、世の中のトレンドの1つとしては認識していても「自分には直接関係がない」と考えている人が大半ではないかと思っています。

実は私も全く同じでした。
しかし、転職や異動をきっかけに今まで全く無縁だった脱炭素事業に関わることになり、多くの人にとってもっと自分ゴト化して捉えるべきテーマであると感じたので、その理由を書こうと思います。

理由は大きく3つです。

1.DXと脱炭素はセットであるため


脱炭素よりも以前にトレンドワードと化したものとしてDXが挙げられます。
DXこそ耳にしない日はないと思いますが、今やあらゆるビジネスパーソンがDXに何かしらの形で関わっているのではないでしょうか。
ITベンダーとしてDX推進を掲げるサービスを提供しているかもしれないし、社内でDX推進関連のプロジェクトに関与しているかもしれません。
おそらくDXを自分とは全く無関係のテーマだと感じている人は少ないのではないかと思います。

もしそうだとすれば、脱炭素はDXと切っても切れない関係であることを伝えたいです。

そもそもDXの本質とは「デジタル技術を活用した”変革(トランスフォーメーション)”」であり、単に現場にiPadを導入したり、ITツールを導入して業務を効率化するといったことはDX(変革)とはいえません。
DXの実現のためには、社内のあらゆるデータを横断的に集約・可視化するデータ基盤を作り、データを活用して根本的なビジネスとしてのあり方を変えていくことが必要になります。

そして、脱炭素もこの点は全く同じです。

基本的なことですが、企業における脱炭素の取り組みは、以下3つのステップで行われます。

①現状の把握・分析
自社の事業活動全体でのGHG(温室効果ガス)排出量を可視化・分析し、削減可能なアプローチを検討する

②目標・方策の策定
いつまでにどの程度のGHGを削減するのか、削減目標と方策を策定する

③取組の周知・実行
策定した目標や方策を社内外に周知・浸透させ、実行に移す

ここで土台になるのは、①の現状把握=自社のGHG排出量の可視化です。
しかし、GHG排出量を可視化するには、大前提として業務がデジタル化されており、あらゆる活動データが網羅的に取得・分析できる仕組みが必要となります。
つまり、脱炭素の土台となるのも、DXと同じくデータ基盤の構築とデータが活用可能な体制の整備ということです。

脱炭素とはDXの延長線上にある中長期的な取組であり、DXが実現できないことには脱炭素も実現できないのです。

さらに特徴的なのは、脱炭素はDXよりも外部からの強い強制力が働くテーマであるということです。
DXは自社の変革が中心であるため、仮に取り組めていなくても自社に競争力が弱ってしまうだけで外部から強制力が働くことはありませんでした。
しかし、脱炭素においては政府が「2050年カーボンニュートラル実現」を掲げる中、それを意識していない企業は排他されていきます。
無視すれば存続すらできないテーマです。

だから、自社のDXプロジェクトに関わる人はその先にある脱炭素を見据えて、サステナビリティ推進部門と密に連携して動かなければいけないし、DX推進を行うコンサルやITベンダーに所属する人もDXの先にある脱炭素を見据えた支援が必要です。

このようにDXと脱炭素は深いつながりがあるため、DXに関わるすべてのビジネスパーソンが正しく向き合い、知識をつけていくべき領域だと言えます。

2.家計に影響するため


家庭の電気やガス、携帯の通信量を一切気にせず際限なく使う人はほとんどいないでしょう。
なぜなら使いすぎればコストが膨らむからです。
炭素も近い将来、それと近いものになるといえます。

というのも、脱炭素の領域にはカーボンプライシング(CP)という考え方があり、化石燃料の採取・使用に伴い税を課す「炭素税」や、企業に対してCO2排出枠を定め、排出枠が余った企業と排出枠を超えて排出してしまった企業との間で取引する「排出量取引」という精度が検討されています。

もちろんこれは産業部門における話ですが、家庭部門におけるCO2排出削減も近年ますます注目されているため、同じような枠組みが個人に適用される可能性は十分にあります。

例えば、フィンランドでは2020年9月にラハティ市で「シティキャップ」というCO2排出削減プロジェクトを実施しています。

このプロジェクトでは、利用者ごとの個人事情に基づき、「バジェット」と称する週ごとのCO2排出許容量を設定し、アプリを使って市民の移動手段(自家用車、公共交通機関、徒歩、自転車)とCO2排出量を追跡します。
実際の1週間の排出量がそれを下回ると、「バーチャル・ユーロ」が付与され、プールの利用券やバスの乗車券、自転車のライトやコーヒーショップのケーキセットなどと引き換えできる仕組みです。

まさに個人版排出量取引です。

また、排出量取引と似た概念として「カーボン・オフセット」というものがあります。

オフセットとは「埋め合わせ」という意味で、自身で削減しきれないCO2排出量を、CO2削減を行うプロジェクトへの投資や他の人が削減したCO2排出量をクレジットとして購入することをカーボン・オフセットと言います。

排出量取引との違いは、排出量取引は他者から「排出枠」というCO2排出の規制をかけられた上で排出枠を基準に増減分を取引するものですが、カーボン・オフセットは何の規制もない上で自らCO2排出削減に貢献したいという思いで費用を負担するという点です。

カーボン・オフセットも様々な取組が広まっており、最近でいうと「Forest NFT」という森林のCO2吸収権をNFT化して個人等に販売するプロジェクトが話題になりました。


また、私が所属する株式会社DATAFLUCTでは、「セゾンカードデジタル for becoz」という国内初のカーボンニュートラル・クレジットカードを発行しており、クレジットカードの購入履歴をもとに個人の消費活動におけるCO2排出量を可視化し、アプリ上で簡単にオフセットできるという仕組みを実現しています。

このように、既に炭素≒お金であるという考え方は一定定着しており、日常生活にその影響が広まっていくことは必然的といえます。

地球のためと考えると自分ゴト化できないという人も、まずは自分のためにサステナブルな生活を意識してみるのが良いのではないでしょうか。

3.脱炭素に向き合うことは世の中を理解することであるため。

脱炭素というテーマはビジネスや日常生活の様々なシーンに密接に絡み合っています。

脱炭素に目を向けることで、ビジネスをより深く理解できたり、日常生活の中に様々な気づきを得られるはずです。

ビジネスにおいては、これまではPL/BSに基づく経済的合理性(機能的価値)が企業価値の軸でしたが、近年はそれに加え、ESG/SDGsといったサステナビリティの要素(感情的価値)が強く求められています。
企業経営は経済的合理性とサステナビリティの二軸で評価されていると言えるでしょう。

そうすると、企業分析においてもサステナビリティ戦略の理解が欠かせません。

例えば、CRMのリードカンパニーであるセールスフォースドットコムは、サステナビリティにかなり力を入れており、既に事業全体でのGHG排出実質ゼロの達成を公言しています。

具体的な取り組みとしては、「Net Zero Cloud(ネットゼロクラウド)」という自社サービスを活用して、経費精算や調達など社内システムのデータを基にGHG排出量をセグメント毎に可視化・分析し、最も削減インパクトの大きい要素に対して施策を実施するというものです。

上記の結果、インパクトの大きい主要カテゴリーとして以下4つを掲げ、GHG削減施策を実行しています。(「Salesforceの気候変動アクションプラン」を参照)

①場所を選ばない勤務:リモートワーク推進とオフィスのクリーンエネルギー化
②出張:航空会社と連携したサステナブルな出張プログラムの確立
③インフラ:インフラ自前主義を脱却し、パブリッククラウドを活用した新たなアーキテクチャ(Hyperforce)への移行
④サプライチェーン支援:スコープ3排出量(自社で直接的に排出するGHGを除いた原材料・物流などにおけるGHG排出量。詳細は以下画像参照)の 60%を占めるサプライヤー各社に科学的根拠にもとづく目標(SBT)の設定を求め、それと並行して、サプライヤーの目標達成をサポートする投資を実施

引用:https://www.advantest.com/ja/sustainability/environment/supplychain.html

セールスフォース社の例でもわかるように、企業のサステナビリティ戦略に目を向けることは、企業のサプライチェーン全体に目を向け、
・原材料
・容器
・物流
・エネルギー
・働き方
・パートナー戦略
など、あらゆる企業活動の解像度を高めることになります。

商談準備等でも、フレームワークに沿った経済合理性に基づく分析だけでなく、その延長線上にあるサステナビリティ戦略まで意識して分析していくことで、新たな気づきが生まれるのではないかと思います。

まずはアンテナを張るところから


「自分ゴト化すべき」というと少し堅くきこえてしまいますが、まずは少しでも脱炭素という領域に興味を持つ人が増えたら嬉しいなと思っています。

私自身もまだまだこの領域に触れ始めたばかりで素人同然なのですが、業務をきっかけに色々調べるようになり、知れば知るほど様々なテーマとの関連性があってとても面白いなと感じています。

この領域はとてもホットで変化が激しいので、まずはアンテナを張るところから始めて、日々のニュースなどで情報に触れた時にいつもよりちょっと深いところまで調べてみるという意識が今後に生きてくると思います。

最後に改めて宣伝にになりますが、弊社のbecoz walletというアプリを使っていただくと、日常生活でどれだけのCO2を排出しているかを簡単に知ることができ、カーボンオフセットという形で誰でも脱炭素の取り組みに参加することができます。

今回少しでも興味を持ってくださった方は是非登録してみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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