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No.277【請願第6号に対する反対討論】

高レベル放射性廃棄物最終処分場誘致及びそれに伴う文献調査受け入れの是非を審査した請願審査特別委員会報告中受け入れ推進の請願第7号に対して、小職は反対討論致しました。
反対討論原稿を以下の通り掲載致します。

《請願第6号に係る特別委員会報告に対する反対討論》

私は、請願第6号に反対の立場で討論します。

反対討論をする前に、まずは弁明を行います。本来、所属する委員会において自らの表決と異なる結果となった場合は、本会議では所属委員会の結果を尊重し、不本意であっても委員会の決定に従うのが慣例であります。

しかし、その慣例を破ってでも高レベル放射性廃棄物最終処分場誘致に反対、また最終処分場誘致に伴う文献調査受入れさえ反対を強く訴えなくてはならない理由が、請願審査特別委員会採決終了後に限っても数多く顕在化しました。その理由を以下の通り朗読して、反対討論に代えます。

⑴請願審査特別委員会の採決の範疇を理解せずに判断なさった委員がいらっしゃり、本来であれば誘致反対の表決をすべきであった委員がいらっしゃる疑念があること。

①8月16日の採決終了後に、ある市民が誘致推進の表決をした委員と電話でやり取りされた内容は、耳を疑うものでした。市民から何について賛成したのか問われた委員はこう答えたそうです。「私は、文献調査の受け入れに賛成し、交付金をもらうことに賛成した。」市民からそれだけではなく、最終処分場誘致自体にも賛成したのだという真実を告げられたその委員は、「ええっ、そうやと」と驚いたそうです。船越委員長が『文献調査受け入れのみに限定した採決』としたいとの自らの発言を撤回なさって、黒田委員が「最終処分場誘致そのものの是非まで含むのですね」とわざわざ念を押されたにも関わらずです。つまり、最終処分w場誘致自体は反対だが文献調査の受け入れまでなら賛成だと言うならば、「ええっ、そうやと」と答えた委員は、誘致推進の請願の採決に対しては当然反対の表決をしなくてはならないのです。これは大きな問題であり、採決の範疇をご理解頂いた上で表決して頂ければ、賛否は逆転するかもしれません。

②初めから、文献調査の受け入れに伴う交付金を受けた後、それ以上の事業進行には反対するという考え方を、小職がSNS等で『◯△派』と表現したことについて、複数の議員から小職に議会で謝罪させよと議長に要請がありました。確かに議員としての品位に欠ける発言であったと反省してブログで訂正致しました。ところが、謝罪をと言われても一体どなたに私は謝罪すれば良いのかわかりませんので謝罪しようがありません。何故なら、8月16日の採決で誘致推進の表決をなされた委員は、文献調査の受け入れも最終処分場誘致自体にも賛成の表決をなさったはずですから、いわゆる『◯△派』はいらっしゃらないはずです。小職に謝罪を求めるという議員は、今この場で仰ってください。私は謝罪を惜しみません。その代わり、この後の採決においては誘致推進の請願については反対の表決を、誘致反対の請願については賛成の表決をすると必ずお約束くださいませ。

⑵月8月18日山口県上関町西町長は、臨時議会において核のごみ中間貯蔵施設建設に向けた調査受け入れを表明しました。
上関町は江戸中期に北前船の風待ち港として大いに栄えましたが、明治以降蒸気船等機関船の普及により風待ちの必要性がなくなり物流港の役割が失われて衰退していったようです。
そのような中、1982年に中国電力による原子力発電所の建設計画が持ち上がり、1988年には町が地元活性化の切り札として誘致に乗り出しました。建設予定地での詳細調査が2005年に開始されましたが、2011年東日本大震災に伴う福島第一原発事故を受けて、工事の動きも中断されたままです。その間も原発関連交付金は支給され続けていたものの、先細りとなっており、原発関連の税収や補助金しか地域振興の財源を見込めない体質となってしまったことが、上関町町に中間貯蔵施設を呼び寄せたとの報道もあります。一度いわゆる迷惑施設誘致に手を染めてそれに伴う交付金や補助金依存が始まれば、その依存症的体質からの脱却は困難であるということではないでしょうか。私は、対馬市がそのような体質に陥ってしまうことは悲しく、それを避けねばならないと、強く感じています。

⑶8月24日13時頃、「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」との約束を反故にして、東京電力が福島第一原発敷地内に貯留されている『ALPS処理汚染水』の海洋放出を開始しました。このことから、やはり政府の言うことは全面的には信用できないとの思いを改めて強く感じざるを得ません。
最終処分場事業の3段階の各調査から次の段階の調査に進む際には、「市長や知事の意見を十分尊重する」という条文を「市長や知事の理解なしには事業を次の調査段階に進めることはできない」と更に厳格な条文に改正したとて安心ならないとの不安は拭えません。

⑷汚染水の海洋放出開始以降の、中国が日本産の水産物を全面的輸入禁止にしていることは、確かに中国の過剰反応であると私も思います。
これに対して、多くの自治体の首長等が政府に窮状を訴え補償を求めています。
しかし、このような中国の反応は想定内であったはずです。それなのに岸田総理は強引に汚染水を放出したのですから、首長等は岸田総理に窮状を訴える前に、岸田総理に対して放出前に「放出反対」を、放出後には「今直ぐに放出を止めろ」と強く批難するべきだと私は思います。少々手厳しい発言となりますが、反対すべき時に十分な反対が出来なかったと後で後悔しても後悔しきれない、そんなことにならぬようにしなくてはならないと、今私は痛切に感じています。

⑸9月10日に開催された《対馬に核のごみはいらない!集会》には580名もの市民がご参集くださいました。漁師さんからは、自分達の生業の場である海を守りたいとの思いだけでなく、子ども達や子々孫々のために絶対に核のごみを対馬に持ち込ませないという強い意志がヒシヒシと伝わってきました。多くの市民や対馬を愛する島外の方々が、我々誘致反対派議員に「最後まで一緒に頑張りましょう」とお声かけ頂くことが増えてきました。それは、他人事ではなく自分達事として連帯して誘致反対運動を頑張ってくださっているからだと心強く感じています。

ある議員は、議員は市民から選挙で付託を受けて議会に臨んでいるから改めて議会報告会の開催は必要ないと仰いました。しかし、その議員を含めて最終処分場誘致賛成と公約に明確に掲げて選挙を戦った議員はいらっしゃるのでしょうか。この問題について誘致賛成することについては投票した議員に付託してはいないと、市民は仰るでしょう。一般質問の冒頭に「市民の声を聞く」と仰られている議員がいますが、言行不一致とはこのことです。

最後に、自分達の島の将来を決定するこんな重要な課題を目の前にして、誰に急かされているのか知りませんが拙速な判断をするのではなく、島民が納得がいくまで話し合うことが、今こそ求められていると、強く強く訴えて、私の請願第6号に係る特別委員会報告に対する反対討論とします。

議場にいらっしゃる議員各位には、反対討論の主旨をご高察賜り、ご賛同いただきますよう宜しくお願い申し上げます。


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