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久しぶりの駅そば

十年ぶりくらいの都心詣での折、これもかなり久しぶりの駅そばを食べた。
三島駅での新幹線乗り換え時間が十数分ほどあったので、下車した東海道線の上りホームで食べたのだ。
ホーム上に駅そばの店舗を見つけたときはほとんど快哉であった。近頃、駅そばの営業拠点はだいぶ減少しているからである。
沼津駅ホームにも見当たらなかったし、復路で乗り換えた熱海駅にもホーム上に駅そばのコーナーはなかった。

早速、きつねそばを注文する。
出てきたそばを、ツアイスのゾナー28-70・3.5~4.5のMFレンズをつけたキヤノンEOS 5Dで撮影する。
大げさなのでささっと撮ってしまいたいのだが、マニュアルフォーカスのため少々時間がかかり、ちと恥ずかしい。
フルサイズなので、被写界深度の浅い画像になった。ツアイスらしいと言うべきか、色ノリもこってりという感じだ。

撮影で時間を少し使ったので、ついつい慌てて食べそうになるが、熱いもので舌に火傷をするのは、のちのち口腔の良からぬ病気の原因になる可能性もあるらしいので、はっとそのことを思い出して箸を休める。
猫舌の人は駅そばは苦手だろうが、猫舌でないからといって、無理をしてはいけない。
気がつけば、アゲは2枚、ナルトは3枚入っている。これはけっこう太っ腹だなあ、と少々感心する。

電車に乗るのも、駅そばをホームで食べるのも、かなり久しぶりだ。
電車自体、前回乗ったのは1年以上前だし、駅そばに至っては数年以上前である。本当にごぶさたしていたのだ。
鉄道自体は大好きなのだが、通勤や買い物で乗ることはないし、あれば駅そば目当てで最寄り駅に行くだろうけれど、残念ながらとうの昔に最寄り駅から駅そば店舗は撤退してしまった。
駅そばのある鉄道風景は国鉄時代のノスタルジックな思い出になりつつあるのだろうか。
東海道線のような幹線でもそういう具合なのだから、支線的、亜幹線的なローカル線ではほとんど絶滅状態に近いのかもしれない。

ごちそうさま、と丼を置いてから、品書きに「三島コロッケそば」とあったのに気付き、しまったと思ったが、まあコロッケもあまり体に良い食い物とはいえないし、と妙な言い訳を考えるあたりが50代後半になってしまった哀しさでもある。
学生の頃はどんな調子でそばをすすっていたのかと、ふと考えたりする。
食い物でおかしいのは、財布の軽かった学生時代に食べたものが今でもいちばん記憶に残っているということだ。それが特別旨かったかどうかは、ほとんど関係がないような気がする。

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