夏の終りの旅2009/その6
翌朝、ケルビムのランドナー(フレーム=スーパーツーリング)はもう輪行袋に入った状態だ。前夜、綾部駅前のホテルに投宿する前に畳んでおいた。どのみち今日は乗らないのだ。ひたすら各駅停車もしくは快速の「青春18きっぷ」の旅なのである。
とはいっても、昨日、8月31日と同じように山陰本線で京都に戻るわけではない。せっかく時間があるのだから、日本海側をローカル線で回るのだ。まず綾部からは舞鶴線で東舞鶴を目指す。ここから、小浜線に乗り換えて、とはいっても分岐したりするわけではなく、そのまま舞鶴線が小浜線になるだけだが、あとはひたすら北陸本線と合流する敦賀を目指すのである。
冒頭の画像は泊まった部屋から見た綾部駅。丘陵の稜線がいかにも西という感じだ。
静岡まで各駅停車ベースで帰るためには、そうそうゆっくりともしておられず、記憶が正しければ午前8時半頃の電車に乗ったはずだ。昨日Tさんと走った辺りを舞鶴線の列車は過ぎ行く。
西舞鶴駅に近づいた頃、北近畿タンゴ鉄道の宮津線を走ると思われる車両に遭遇できてラッキーだった。
東舞鶴駅で小浜線に乗り換える。この時点ですでに車内はかなりの閑散状態だったと思う。ローカル線なのに高架駅なので、ちょっと不思議な感じでもあった。
東舞鶴駅から先は、もうひたすらローカルな世界になる。何がいいかって、北側に海を見る世界のどれほど素晴らしいことか。太平洋側では海はだいたいにおいて南側にあり、明るいが、やたら眩しくて、どこか間抜けてもいる。北に見る海は、空も青く、海の青も濃い。
そして入り組んだリアスな海岸線の風情よ。
まもなく黄金色になるであろう水田の緑の、9月1日の輝き。
こういう世界に、わざわざ原子力を持ち込んで原発銀座にしてしまった近代という時代のやるせなさ。けれどそれもじきに清算されるだろう。
小浜駅では乗換えがあったか、待ち時間があったか、改札の外に出た。
敦賀に近づくにつれ、以前に車で訪れたことのある三方五湖のあたりが気になり始める。あれはおそらく1990年頃。当時小浜線は未電化で、ディーゼル列車を見た記憶がある。
水力発電所の水圧鉄管を見ると、思わずシャッターを切ってしまう。
垣間見える夏の終りの永遠よ。
ランドナーで走りたくなる道ばかりだ。
敦賀が近づいてきた。
北陸本線の特急と併走する。
敦賀駅に到着。
敦賀駅から先は北陸本線で南下するのであるが、それは次回に譲る。
<「その7」につづく>
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