シリーズ∶日本酒と私(1)

【プロローグ】

 私の生まれは、離島の小さな港町だが、
母方の実家が近所にあり、漁師だったため、
子供の頃は朝早く漁港に漁を終えた船を迎えに行ったものだ。網に掛かった魚を外すのを手伝うためである。
そのご褒美として、売り物にならない雑魚がたっぷり入った浜汁をごちそうになった。とても旨かった。

内の澗を望む

中学生になるまでは、その親戚の家に良く遊びに行った。昼間は祖父や祖母が、夜は伯父が遊び相手になってくれた。
伯父とはトランプやルーレットのゲームで勝負。
私が勝つと、リポビタンDをくれた(漁の最中に飲むらしく、大量に常備していた)。
3時のおやつの時間になると、なぜか出てくるのはブリコ(ハタハタの卵)と酒粕を炙ったやつ。
ストーブの上に網を載せてその上で炙っていたように記憶しているから、季節的には秋から冬なのだろうけど、このおやつの印象が強い。酒粕は、時々はお湯に溶かして砂糖を入れて甘酒にもなった。

このように、小学生の頃から日本酒を好む下地ができていたように思う。

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