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CHAPTER10 「自然」の本当の美しさを可視化したい(猪子寿之×宇野常寛『人類を前に進めたい』より)

PLANETSの新刊 猪子寿之×宇野常寛『人類を前に進めたい チームラボと境界のない世界』が、先行予約を受付中です。
発売に先駆け、毎日、各章へ猪子さんがよせたステートメントを無料公開しています!
CHAPTER10のテーマは、デジタルテクノロジーのちからで、「自然」の本当の美しさをいかに可視化するかです。

▼書籍の内容紹介
2015年からの4年間、チームラボ代表の猪子寿之氏は、評論家・宇野常寛を聞き手に、展覧会や作品のコンセプト、その制作背景を語り続けてきました。ニューヨーク、シリコンバレー、パリ、シンガポール、上海、九州、お台場……。共に多くの地を訪れた二人の対話を通じて、アートコレクティブ・チームラボの軌跡を追う1冊。猪子氏による語りおろし「チームラボのアートはこうして生まれた」も収録です。(フルカラー)

CHAPTER10 「自然」の本当の美しさを可視化したい

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朝霧にけぶる御船山楽園 ©teamLab

 自分という存在は、何十億年という圧倒的な時間の長さの、永遠に繰り返されてきた生命の生と死の連続性の上にあります。しかし日常では、なかなかそれを知覚することは難しい。人間は自分の人生より長い時間を認知できない――つまり、時間の連続性に対して、認知の境界があるのだと思います。
 森を探索していたとき、圧倒的に長い年月をかけてかたちづくられた巨石や洞窟、そして森そのもののかたちこそが、長い時間を知覚できるかたちそのものであると思い、それらを使うことで、時間の連続性に対する認知の境界を超えられるのではないかと考えました。
 チームラボは 「デジタイズド ネイチャー」というアートプロジェクトを行っています。非物質的であるデジタルテクノロジーによって「自然が自然のままアートになる」というプロジェクトです。
 自分の時間を超越した長い時を持つ、巨石や洞窟、森、もしくは自然と人との営みが長く続いてきた庭そのもののかたちをそのまま使い、作品群にすることで、時間の認知の境界を越えて、長い連続性の上に自分の存在があることを感じることができるのではないかと思ったのです。(猪子寿之)

CHAPTER10のテーマは、毎年、佐賀県・御船山楽園で開催されている展覧会「チームラボ かみさまがすまう森」について。2017年から始まっているこの展覧会は、なぜ御船山楽園で開催することに至ったのか。二人の対話は、2019年の新作を含めた個々の作品の感想から、「デジタイズド ネイチャー」というプロジェクトによって時間の認知の境界を超えることができるのではないかといった議論に発展していきます。

明日は、CHAPTER11「『パブリック』と『パーソナル』を更新したい」によせられたステートメントを公開します。


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