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『ドラえもん』のルーツ/偉大なる縮小再生産 | 『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)

今朝は稲田豊史さんの連載『ドラがたり――10年代ドラえもん論』をお届けします。今でこそ、健全な子供向け作品の大家として知られている藤子・F・不二雄ですが、その裏には、ブラックな作風と強烈な文明批評を得意とするSF作家としての顔も持ちあわせています。『ウメ星デンカ』から『モジャ公』『ミノタウロスの皿』まで、60年代末に描かれたカルト的な魅力を持つ作品群が、後の『ドラえもん』に与えた影響について論じます。

こちらの連載を大幅に加筆修正した書籍が発売中です!

『ドラがたり――10年代ドラえもん論』(稲田豊史)
第13回『ドラえもん』のルーツ/偉大なる縮小再生産

●「不思議な道具」を生みだす手ぶくろ

 藤子・F・不二雄が作家活動を開始したのは1951年。その18年後、69年に『ドラえもん』が誕生するまでの間には、『ドラえもん』の前身、もしくはプロトタイプ(原型)と呼ぶべきルーツ作品が、何本か描かれている。

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