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大企業の“出島”で地方自治体の「エストニア化」を目指す加藤喬大 | 長谷川リョー

編集者・ライターの僕・長谷川リョーが(ある情報を持っている)専門家ではなく深く思考をしている人々に話を伺っていくシリーズ『考えるを考える』。今回は、Hakuhodo Blockchain Initiativeでトークンコミュニティプロデューサーを務める加藤喬大氏にお話を伺います。20代の若さで、ブロックチェーンの全社プロジェクト「HAKUHODO Blockchain Initiative」の中心メンバーで活躍。その傍ら、地方自治体による日本初のICOの支援や、落合陽一氏が主宰する筑波大学の「STEAMリーダーシッププログラム」といった社外活動にも積極的にコミットしています。「地方創生×ブロックチェーン」というユニークな領域に取り組む理由から、大企業に所属しながらもスタートアップライクに自己実現を果たしているキャリア戦略まで、借り物ではないオリジナルな概念を生み出すことにこだわる加藤氏の「一日一“狂”」思考に迫ります。(構成:小池真幸)

長谷川リョー『考えるを考える』 第13回
大企業の“出島”で地方自治体の「エストニア化」を目指す加藤喬大

博報堂、地方創生プロボノ、落合陽一への師事。“三足のわらじ”で人生のポートフォリオを組成

長谷川 僕と加藤さんは、落合陽一さんが主宰する社会人向け講義「筑波大学STEAMリーダーシッププログラム」(以下、STEAM)で毎週顔を合わせている仲です。博報堂という大企業に所属しながら、社内外でスタートアップライクに活動されている加藤さんには、一度じっくりとお話を伺ってみたいと思っていました。今日はよろしくお願いします。

加藤 こちらこそ、お声がけいただき嬉しいです。よろしくお願いします。

長谷川 まずは改めて、現在の活動内容の全体像を教えていただけますか?

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加藤 言うなれば「三足のわらじ」を履いています。1つ目は博報堂の社員、2つ目は茨城県庁でのプロボノ活動を行うボランティア、そして3つ目がリョーさんと同じSTEAMの学生です。

よく落合さんも「ストレスマネジメントが大事だ」と仰っていますが、僕もこうして自分の人生のポートフォリオを複数のプロジェクトで組成していくことで、ストレスなくハードワークできるタイプなんです。

長谷川 博報堂ではどういった仕事を?

加藤 地方創生系のクライアントワークに取り組む傍ら、「HAKUHODO Blockchain Initiative」(以下、HBI)という社内プロジェクトの中心メンバーとして活動しています。社員が有志で集まり、それぞれの関心分野におけるブロックチェーン技術活用やトークンコミュニティ形成を議論、推進していく組織です。僕であれば「地方創生×ブロックチェーン」のプロジェクトに取り組んでいますし、「出版×ブロックチェーン」に関心のあるメンバーなどもいます。

HBIはもう、狂った人しかいなくて楽しいです。全体で15人ほどの組織なのですが、休日も深夜も関係なく議論し、プロジェクトに取り組んでいる(笑)。一般的な大企業ではあまり見られない、スタートアップライクな集団だと思います。

長谷川 HBI立ち上げの経緯も教えてください。

加藤 もともと「地方創生」というテーマはライフワークにしようと思っていました。加えて1年ほど前から、「インターネットの次の革命だ!」とブロックチェーンに興味を持ち、個人的に勉強するように。そんな折、岡山県の西粟倉村という限界集落がICOを実施するというニュースを目にして衝撃を受けました。居ても立ってもいられなくなり、お問い合わせフォームから連絡し、西粟倉村のICOプロジェクトを手伝うようになったんです。その活動がが本格化してきた頃、会社としてもブロックチェーン領域に取り組んでいきたい流れと重なり、HBIとして取り組んでいくことになりました。

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長谷川 茨城県でのプロボノ活動はどのように関わっているのですか?

加藤 はい。実家が江戸時代から酒造業を営んでいるのですが、その傍ら政治に関わってきた人も多い家系なんです。そのせいかパブリック志向はもとから持っていて、地方創生はライフワークにしていきたいと思っていました。茨城県庁での取り組みも、そのライフワークの一環で土日を中心にお手伝いしていますね。

長谷川 三足目のわらじ、STEAMはどういった意図で?以前、海外留学も検討したけれど、あえてSTEAMを選ばれたと仰っていましたよね。

加藤 まず前提として、“一期生”が好きなんですよね。前例がなく何だかよく分からないものに投資する人たちと切磋琢磨できれば、得られるリターンも大きいと思っていて。
あともちろん、STEAMの受講にかかる費用350万円の投資先として、海外留学も選択肢には入れていました。だけど今は海外に行ったからといって最新情報に触れられる時代でもないと思い、自分が心を揺さぶられるような人びとの生の声を毎週聴けるSTEAMの方に魅力を感じたんです。

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