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脚本家・井上敏樹エッセイ『男と×××』第28回「男とアレルギー」【毎月末配信】

平成仮面ライダーシリーズなどでおなじみ、脚本家・井上敏樹先生のエッセイ『男と×××』。20代前半で生まれて初めてアトピーになった敏樹先生。その後、様々なアレルギーを経験することになりますが、最近敏樹先生を悩ませている意外なものとは……?

男 と ア レ ル ギ ー    井上敏樹

最近アトピーがひどい。脇腹やら鼠蹊部に蕁麻疹が出来てひどく痒い。痒みというのはなかなかの地獄だ。ある意味、痛みよりもタチが悪い。痒みにはなにかしら誘惑的な所がある。ボリボリバリバリと掻いていると思わず『あ~、気持ちいい~』と声を出してしまうのは私だけではないだろう。そうして結局肌を傷つけてしまって後悔する。そう分かっていてもやっぱり掻く。それくらい掻くという行為は快感を伴うのであって、だから悪魔的なのだ。肌を損なう事なく快感を得るにはシャワーを当てるのが良い。水量を最強にして熱めのシャワーを患部に当てると掻くのと同じ快感で、やっばり『あ~、気持ちいい~』と声が出る。誰かに聞かれたら困るような声だ。だから痒みが消えるとそれはそれで結構なのだがちょっと淋しい。『痒みよ、お前は一体どこに行ったのだ』と孤独を囲う事になる。生まれて初めてアトピーに襲われたのはまだ20代前半の頃で当時はなにがなんだか分からなかった。とにかくある日突然、両脚全体にびっしりと蕁麻疹が発症したのだ。『なんじゃこりゃ~』と思ったものの『ま、なにか変なものでも食ったんだろう』とさして気にせずボリボリバリバリやっていた。ところが一向に治らない。外で酒を飲んでいると発作的に痒くなり、慌ててトイレに駆け込みズボンを降ろし、『あ~、気持ちいい~』とやる。かと言って酒のせいとは思われない。酒を飲むと血流の関係でどんな蕁麻疹でも痒くなるのだ。そのうちにハタと思い当たった。

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宇野常寛の〈PLANETS〉です。近くのことから遠くのことまで言葉にします。

男とxxx

“自分を捨てるために男は遊ぶ” ――ジェットマン、アギト、そして555。稀代の名脚本家の綴る「男」をめぐるエッセイ(毎月月末更新)。