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「ゲーム教育 前編~次世代を育てないと~」

どうも、W.I.のtotokoです。
モンハンワールドは一周回って斬裂ライトに戻ってきました。
さて、eSportsをはじめとするゲームに関するあれこれを書いていっているわけですが、第二回から少しテイストが違うものを書いていきましょう。
前回の続きになるような「プレイヤー編」はまた後日。

突然ですが、まずはこちらを見ていただけると。

2017年アカデミックレビュー: ゲーム教育への投資http://igdajac.blogspot.jp/2018/02/2017.html?m=0
こちらはIGDA日本のブログ記事のひとつです。

僕もなのですが多分初見では、何が何やらと思います。

この記事のポイントとなるのはタイトルにもありますが「ゲーム教育」
この「ゲーム教育」とはなんぞや、そして日本は何をするべきなのかということが、海外との比較で書かれています。

今回はこの記事を受けて、一応ゲーム開発に携わっている人としての考えと、eSportsになぞらえて必要なことを2回に分けて書いていければなと思います。

今回は前編「次世代育成」について

記事ではGDC2017(わかりやすく言うとゲーム関係者(開発者と明記していないのは後々わかります)が集まって色々な情報を共有していく会)が開催され、海外のゲーム関係者の話を聞いてきた。というところから始まっています。

その中で僕がひときわ目を引いたのは、「HEVGA」というゲームの高度教育機関のアメリカの全国組織の存在です。

ゲームの高度教育機関というのは、ゲームの高等教育機関−−言ってしまえば「〇〇大学ゲーム学部」みたいな「ゲームに関する研究などを学ぶ教育機関」という感じです。

正直、それだけでもびっくりしますよね。さすがはアメリカといったところでしょうか?
ゲームを遊びの分野として片付けてしまうのではなく、「ゲーム研究」として学問として考えているわけです。

彼らは自身の研究の傍ら、ゲームに関する書籍を発行しており、それを持って学生に授業を行っているようです(ようです、としたのは明確には書かれていないのですが、大学の先生って結構自分が書いた本を教科書にしたりしていますからね)。

見てみると「中ヒットに導くゲームデザイン」というのは同名タイトルで、日本にも書籍があるみたいです。

さて、そんな記事中では、日本を始めとするアジアでHEVGAのメンバーになっているのは1校だけと記載されていました。

確かに、日本の大学に「ゲーム学部」というのは聞いたことはありませんね(もしかしたらtotokoが知らないだけであるのかもしれませんが……)。
ではそれがどういうことなのか、それによって何がどうなっているのか、これを僕なりの見解で説明しようと思います。

彼らはゲームを「科学」する

この研究者が直接ゲームを作っているわけではなく、あくまでも彼らは「学問」としてゲームを研究しているにすぎません。
しかし、彼らの研究による見解等は書籍等で発表され、おそらく、上昇志向のある志の強いゲーム開発者の元に届くのでしょう。

さらに、HEVGA出身の開発者なども現れる(もしかしたらすでにいる?)と、彼らが中心となって新たな「面白い・売れる」ゲームを産み出すことでしょう。

無論、クリエイターとはならず、研究者の道を歩む人もいるでしょう。彼らはゲーム研究の第一線に立ち、次世代として、さらなるゲーム界発展のために尽力するはずです。
ここまでが、海外(主にアメリカ)でのお話。では日本だとどうなの? と聞かれると。

そもそも、ゲーム教育という考え方が浸透していないため、仮に国内で「ゲームの研究をしたい!」と思っても受け入れ先がないわけです。

そんな中で、海を超えた先では、「科学したゲーム」を元にどんどん「世界中で遊ばれるゲーム」が生まれて来ています。
もちろん、日本のクリエイターが海外に劣っているという意味ではありません。むしろ、NintendoSwitchのゼルダやマリオ、最近ではモンスターハンターワールドなど海外からも高評価を得ているゲームはたくさんあります。


次の天才を待っていてはだめなんだ!



ですが、大事なのはこのあとなんです。これからを作る若いクリエイターがでてくるのが大事なのです。
というのもパッと思い浮かぶ日本のクリエイターって大概が結構ベテランな方々だと思います。
もちろん、彼らがトップに立ち、その中で若手がガシガシ開発しているのはわかります。
ですが、ダメなんです。それでは「一部の天才たちによるセンス」ででしかゲームが作られないんです。
仮に彼らがいなくなったら、次はどうなるのでしょうか?
「いやいや、スポーツとかの世界と同じで、なんだかんだで出て来るって」なんてのんきにかまえていると、あっという間に海外に飲み込まれてしまいます。

浅学なので、海外のゲームクリエイターが若い人だらけなのか否かに関しては定かではないですが、少なくとも「教育をするための教材」を作っているということは、よくわかります。

センスは教えることはできません、しかし、「理論に基づいた考え方」に関しては教えることができるのです。
その理論こそが「ゲーム教育」の目指しているものではないかと僕は思います。

いつまでも、希少性だけを全面に押し出したただただ人の射幸心を煽るだけの、ガチャゲームを作っていてはダメなんです。

もっと「科学されたゲーム」を作って、それに対して、目指しているマーケットやターゲットに対するマネタイズアプローチを考えるという風に作らなければならないんです。

なまくら刀のような、権力と一昔の武勇伝を未だに聖剣だと信じ込んで、若手にゲームを作らせていてはいけません。
もっと彼らが前にでてこないと、きっと日本のゲーム開発は暗黒となるでしょう。次回はこの記事に関して「eSportsになぞらえた話」をしていこうと思います。

蛇の足
この記事を執筆しながら、思い出したことが2つあります。
ひとつは、アメリカってスポーツの世界でも科学しているな、ということ。
例えば、メジャーリーグでは数学者や物理学者、統計学者が集まり「こうすればホームランが打てる、こうすれば相手の打者を抑えることができる」という科学的な見解で、野球を研究しています。

打撃理論や投球術も、かつての「センスによるもの」ではなく、「理論に基づいたもの」として一般化させています。

そして、もうひとつは、ホンダS660の企画~開発に至る話。
あれはホンダビートを知らない1988年生まれの社員の案から生まれ、彼がプロジェクトリーダーとして、車両開発まで至っています。
そんな2つの話、その後結果はどうなったのか……自明ですね。

蛇の足も二足まで
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