深夜の刑事課では昼間起きた窃盗犯の事件調書を作っている先輩と
その後輩刑事がいた。

先輩「そうだ、お前、窃盗現場の資料用意しておいたか？」
後輩「それ、言われなかったんでやってません」
先輩「何でだよ、普通やるだろ。それじゃ被害者の事情聴取は？」
後輩「えっ」
先輩「えっじゃねえよ、何か収穫あったか？」
後輩「被害者がだれか分りません」
先輩「普通わかるだろ被害届けだしたおっさんだよ」
後輩「そっちは分りませんでした」
先輩「そっちって何だよ、じゃあ加害者は分ったのか？」
後輩「それを探すんじゃないですか？」
先輩「分ってるよそんなこと、いちいち腹立つなぁ」
後輩「すいません。ちゃんと言ってくれれば出来ますから」
先輩「何だよ、反抗的だなぁ。俺が悪いみたいじゃないか」
後輩「いや、そういう訳では」
先輩「被害者の職業とか基本的な事だけでいいから教えろ」
後輩「いや、僕も探したんですが逃げられました」
先輩「適当な嘘言うんじゃないよ、空き巣にあった被害者は絶対逃げないよ」
後輩「そうでしょうか？」
先輩「そうだよ、その家に住んでる人が被害者だよ」
後輩「意外です」
先輩「意外じゃないよ、じゃあ付近の聞き込みは？」
後輩「あっ、やってません」
先輩「やってませんじゃないよ、お前聞き込み行くっていっただろ」
後輩「すいません、ちょっと眠かったんで寮で仮眠してました」
先輩「ふざけんなよ、それじゃ現場の証拠品押収したか？」
後輩「えっ、何ですかそれ」
先輩「お前殺すぞ」
後輩「殺さないで下さい。警察にいいますよ」
先輩「殺さねえけどすぐやれよ」
後輩「はい」
先輩「お前じゃあ何かこの事件でやった事言ってみろ」
後輩「先輩から言われてた夜食のカップラーメンの準備しました」
先輩「捜査じゃないだろそれは、あれちょっとなんかガスくさいぞ」
後輩「そうですね」
先輩「お前さっきお湯わかしてたのどうした」
後輩「あっ忘れてました」
先輩「それでどうなったんだよラーメン。随分前にたのんだぞ」
後輩「先にやらなきゃいけないことありますんで」
先輩「何があんだよ、給湯室早くみてこいよ」
後輩「そんないっぺんに言われると混乱するじゃないですか」
先輩「いやまず給湯室に行って、つけっぱなしの火を見るのが先じゃないか？」
後輩「分りましたけど、さっきの先輩の言い方横柄じゃないですか」
先輩「横柄ってそれは後輩のお前の言う事か？」
後輩「後輩だって人間ですよ。平等でいきましょうよ」
先輩「そんな話はいいから、恐らくこんなにガス臭いということは、類推するに給湯室でお湯が吹きこぼれて、火が消えてるんじゃないかなぁぐらい瞬時に察せよ」
後輩「そんな訳ないですよ」
先輩「何で根拠なく断言する」
後輩「お湯一杯入れましたから」
先輩「だから吹きこぼれるんだよ、早くいけよ」
後輩「後でトイレ行くついでに見てきます」
先輩「いやそうじゃなくて、これはマジまずい。ガス確実に漏れてるわ」
後輩「そうですか？意外と先輩心配性ですね」

そういうと後輩は先輩の前でゆっくりとタバコをくわえライターで火を付けたら…
ドカ―――――――――――――ン

深夜の刑事課は火だるまになったとさ。

それが「何もやってなかった刑事」！

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