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ゲームアワード2022のアツい1日。フロムがアーマードコアの新作を本当に出す

■ 2022年のGOTYはエルデンリング

日本時間2022年12月9日、”The Game Awards”にて”Game of the Year”が発表され、順当に『ELDEN RING』が受賞した。
「ゲームオブザイヤー」の他に、「ベストゲームディレクション」「ベストアートディレクション」「ベストRPG」と、全4部門を受賞。

過去にも度々触れてきた通り、『ELDEN RING』は「ハードコア」なゲームを作ることで世界に愛されるスタジオ「フロム・ソフトウェア」の作品で、2022年2月に発売されるや、世界中でびっくりするぐらい売れた。最近の情報だと、どうやら世界で17百万本ほど売れたらしい。

何割のプレイヤーがクリアしたのかは知らない。

今更紹介するものでもない気がするが、『ELDEN RING』は、『DARK SOULS』シリーズのようないわゆる「死にゲー」と言われる、やたらに難しいアクションゲーム。主にステージをクリアするタイプだった過去のソウルシリーズと異なりオープンワールドのRPGである。

最初にプレイヤーがビビったのは、異様に物量が多い点だ。とんでもなくMAPが広いにも関わらず、どこに行っても何かしらちょっとしたダンジョンなどがあり、そこにはボスがいて、クリアするとアイテムがちゃんと手に入る。これはフロム少々頑張りすぎなのでは・・・と思いつつ、多くのプレイヤーが寝不足に陥った。

本作について個人的に推したいのは、「エルデンリングの破片を集めて世界を修復する」というゲーム内物語の目的と、広大な世界を旅してアイテムを収集することにより、「そもそもエルデンリングとはどういう物語なのか」ということが分かってくる、というプレイヤー体験との整合性というデザインの素晴らしさだ。世界を修復するゲーム内の旅を通じて、同時にプレイヤーの中でも物語世界の像が修復されていく、という秀逸な仕組みになっている。

ソウルシリーズもそうであるが、エルデンリングの世界では、こういうことがあって、こうなって、こうなった式の親切なストーリーの説明は全くと言っていいほど語られない。プレイヤーが得ることが出来る情報の大部分は、収集したアイテムのフレーバーテキスト(おしゃれな説明文)に記載された物語の断片である。その断片を収集することを通じて、おぼろげながらこの世界で何が起こったのか、ということを理解することができるようになっている。

このことにより、広大なオープンワールドを旅することにも意味が出てくるし、膨大なアイテムにも存在意義が生まれる。たとえ性能が今一つであっても、重要な情報を語るアイテムかも知れない。そんなエサにプレイヤーはまんまと吊られてしまい、気が付いたら世界を旅している。そして、バーチャル世界であっても世界を旅するのは楽しいのだ。こうした好循環を生むデザインは見事というしかない。

浮かび上がってくるエルデンリングの物語は、ひとつの神話である。神話を神話らしからしめるには、世界の成り立ちをいかに説明してみせるかというファクターが重要になる。なぜ生命には限りがあるのか。なぜ神は優しく、時に怖ろしく、そしてその存在は不確かなのか。世界はなぜ今の姿になったのか。そういったものに理由はない。適者生存的な思想がある一方で、我々が暮らす世界がベストプラクティスかどうかは(神でもない限り)誰にも分からない。世界はABテストされていないのだから。

神話というものは、そういう実際には偶然の産物に過ぎないような世界というものについて、センスメイキングに説明を試みるもののひとつだろう。

エルデンリングの舞台は、神が統治した時代が破砕戦争により終局し、世界のOrderが無茶苦茶になってしまった世界だ。そこで、何を見て、何を選択し、次なる時代がどうなるのか、それを体験する。すなわち自らが神話の(終わりの)一部となるようなゲームである。

多少理不尽に難しすぎると思わなくもない面はあり、なかなか万人に薦めるのはためらわれるゲームであるが、腰を据えてやってみる価値はあるゲームだと思う。

■ ついにアーマードコアの新作が発表される

そんな栄えある『ELDEN RING』の受賞の傍ら、”The Game Awards”でフロムソフトウェアより驚きの(?)発表があった。

『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』が出る。

アーマードコアは1997年に発売された『ARMORED CORE』を第1作とするロボット3Dアクションゲームシリーズ。

コアな人気を博すタイトルでありながら、10年近く続編が作られない事から、事あるごとにネット民から、

「身体が闘争を求める
 ↓
 フロムがアーマードコアの新作を作る」

のアレで遊ばれてきた。

そんなアーマードコアシリーズの新作が、本当に出ることになった。しかも2023年予定だという。

少し前から、なんとなくそれっぽい人材募集などがあり、いずれアーマードコアが出るのだろうという気配はあったものの、まさかエルデンリングの翌年に出るとは思わなかった。

とにかく「出ない」ことで有名になったアーマードコア。ネットではある種定番ネタのひとつであり、ちょっと前から、毎日アーマードコアの新作の情報がなかった旨を伝えるYoutubeチャンネルが知られていたが、本日ついに新作の情報があった旨の配信が行われる運びとなるという、心温まる出来事もあった。なんかおめでとう!

発表されるや否や、トレンド入りするなど、この10年弱で醸成された期待の高さが伺われる。もともと、そんなに数が売れたゲームではなかったように記憶しているが、さて2023年のアーマードコアはどうだろうか。エルデンリングは世界で売れまくったが、ロボットゲームはどうなんだろうか。というか、本当に2023年に出るのだろうか。

ちなみに、自分はロボットゲーはあんまりやらないほうで、昔やって好きだったのは、『カルネージハート』と『フロントミッションオルタナティブ』ぐらい。まあでもAC6はやろうと思う。

楽しみに待ちたい。それと、『Bloodborne』の新作を気長に待ちたい。

■ そしてまさかのDeath Stranding2(仮)が発表される

MGSシリーズ等で有名なゲームデザイナー小島秀夫氏。最近、どうやら新作のプロモーションらしき情報発信が行われており、”The Game Awards”で何らかの発表があるのではと言われていた。

そして、うわさ通り新作が発表されたのだが、まさかデスストランディングの続編が来るとは思わなかった。

これとは別に、とんがった新作にも取り組むとかなんとか。

『DEATH STRANDING』は2019年に発売された「荷物を運ぶ」という一風変わったゲーム。万人受けしないなどと色々と言われているが、総合的に見て、いまPS5でなんかやるゲームない?と聞かれたら、『DEATH STRANDING Director's Cut』を薦めることにしている。エルデンリングとどちらと言われれば、デスストランディングかなと思う。

DSはそれほど難しくないし、ボリュームが多すぎもしない。配達ゲーと言われると一見奇抜なように思えるが、インタラクティブな映像作品みたいな感覚で楽しめるので、日頃ゲームをさほどプレイしない人にも逆に比較的薦めやすいところがある。ステレオタイプなゲーム観・・・ピコピコして敵をバンバン倒すみたいな・・・が強い人にはあまり合わないかも知れないが、まあノベルゲーの一種だと思えば。

ちなみに、配達ルートを地図から想像して行ってみたら思うようになってなくて、どうすんだこれ、みたいなのをアドリブでなんとかしたり、姿の見えない誰かの設置したハシゴに救われたり、といった配達そのものも思った以上に楽しいので、その辺も全く心配は要らない。

物語は謎の大災害みたいなもので分断されてしまったアメリカを繋ぎなおす、というお話。配達人である主人公サムが、アメリカ大陸を東から西へ、人々に配達品を届けながら通信網を繋いでいく、という設定になっている。少々SF色は強めなので、よくわからない設定とかが苦手な人は話についていけない部分があるかもしれない。ただ、DSの魅力は物語だけではなく、その体験にもある。

「分断」と言えば、きょう日誰もが連想するのが、「繋がる」ためのツールであったはずのインターネットサービス・・・SNSみたいなものが、むしろ我々を分断しているのでは?といったような事だろう。そして「繋がり」はストレスでもある。それもまぎれもない現実だ。

デスストランディングの世界でも、他のプレイヤーとの繋がりは要素として存在する。しかしそれは、人々が直接にインタラクトしあうものではなく、ハシゴ、ロープといった設置物、乗り捨てたビークル、意味不明な看板、そして多くの人々が歩んだことによって作られる「道」といった形の、あまり密ではないモノとして存在する。これが意外なほど心地よく感じられるデザインとなっているのだ。

恐らくそういった痕跡やモノの多くは、もともとはなんの意図もなく、必要に迫られたり、はたまた何気なく戯れに、設置したり乗り捨てたりした結果生じたものなのだろう。ただそういったモノと苦しい瞬間に出会ったとき、プレイヤーはそこに善意のようなものを勝手に感じてしまう。そして、もしかしたら自分の行為も誰かにとっての助けになるかも?という考えからポジティブな意図でモノを置いてみる行為を誘う。すると、それに「イイね!」が集まる。

荒涼とした、危険な雨の降る冷たい世界で、目には見えないが不思議と人の温かみのようなものが感じられる。デスストランディングはそういった体験が出来るゲームだ。

そして、忘れてはいけないのが、天才的なBGMの使い方だ。険しい道を越え、地平が開け、怪異の迫る気配もない。ただ静かに目的地を目指して進む、そういった一息ついた瞬間に、素晴らしい音楽が流れ始める。それは美しく、どこか物悲しいが、旅人を祝福するような瞬間だ。これを味わうだけでも価値がある。

発売された2019年11月から半年も経たないうちに、現実の我々が物理的に分断されることになるとは想像できなかった。そういう不思議な時代とのシンクロみたいなこともあって、粗削りなところもあるけど長く語り継がれる、そんな作品になるのじゃないかなと思う。

■ 2023年(以降)発売のゲームは我々に何を語るか

”The Game Awards”での情報開示がうわさされていたタイトルのもう一つが『Final Fantasy XVI』である。2023年6月22日の発売と発表された。こちらは、いわゆるファンタジーっぽい世界観のアクションRPGとなるようで、今回はホストがサファリパークでオープンカーといった謎のテイストではなく、召喚獣が暴れ回るような伝統的なFFっぽい作品となるようだ。

同じく2023年6月6日には、ハクスラRPGの金字塔であるディアブロシリーズの最新作である『ディアブロⅣ』が発売となる。こちらはこちらで広大なオープンワールドが舞台となるらしく、例によって中毒性が高ければ、多くのプレイヤーが沼にはまる危険性を感じさせるタイトルだ。ちなみに、ディアブロと言えばバーガーキングとのコラボであるが、早速ディア4コラボバーガーが発表されている。またステッカーをもらいに行かなければ。

そして2023年のいつかは分からないが『アーマードコアⅥ』と、2023年はなかなか楽しみなゲームが控える1年となりそうだ。

最近、わけがわからないぐらい仕事に追われていてとてもゲームどころではない日々が続いていたわけだが、こうなってくると、本格的にじんせいについて考え直す必要が出てくる。

新たなゲームは我々にどんな新しい体験をもたらしてくれるのか、どんな物語を語るのか。非常に今後への期待が高まる一日であった。

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