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SDGsがブームでも別にいい。私の環境問題へのスタンス

最近、環境問題のことをシェアしたりしていまして、

なんか客観的に見たらトレンドに乗ってるだけっぽいな〜、伝わってなさそ〜と思ったので、

今までの人生で考えてきたことや、どういうスタンスで環境問題を見ているかを、この機会に言葉にしておきたいと思います。

これは超現実主義者の私がたどり着いたひとつの考え方であって、「もっと関心を持とうよ!」みたいな啓発記事ではありません。けど12歳くらいから考えているので、わりと本質だと思っています。

SDGsとかエコとか流行ってるよねーという人も、環境問題にずっと取り組んできましたという人も、読んでみてもらえると嬉しいです。

※私が私の考えを言語化するためのエゴな記事で、他の人の考え方を否定する意図はありません


12歳〜:環境問題への興味のルーツ

自由なテーマで調べ物をしましょう、みたいなのあるじゃないですか。総合学習の時間とかで。

それでたしか6年生のとき、縁があって「グレートバリアリーフ」をテーマにしたんですよね。オーストラリアにある、世界遺産のサンゴ礁の。

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最初はただ、世界自然遺産が好きだったんです。きれいだから。ちなみにどうでもいいですが、子どもの頃に飽きるほど聞かれる「将来の夢は?」への答えは、「海外にいっぱい行けるようになる!」でした。(叶った)

でも親のパソコンを借りて調べていたら、グレートバリアリーフって、気候変動で年々減ってるとか書いてあるんです。温室効果ガスで白化して、サンゴがじわじわ死んでて、数十年後には全滅してなくなってしまうかもしれない……(最近さらに深刻だとニュースになっていました)

悲しかったので、地球温暖化の原因、オゾン層の破壊、CO2排出による影響などについて調べつくしました。印刷した画像を切り貼りして、壁新聞みたいなものにまとめてみた記憶もあります。


知れば知るほど冷静に、人間まじかーーーみたいな気分でした。地球にたいして人間がしてきたことがひどすぎた。

桜並木に包まれた郊外で育ち、スキーなど自然のアクティビティを家族でよくやっていた影響もあってか、私はただ自然が好きで、その好きなものが壊されているとなれば、関心が向くのは必然でした。

中学・高校になると、貧困問題・人種差別・性差別など自由研究のテーマも社会派寄りになってきますが、そこでもブレずに環境問題を取り上げていました。

大学ではもう少し現実社会と繋がったリアリティのある勉強がしたいなあと思い、とはいえド文系だったので科学的アプローチは無理そうで、社会学部に進学しました。


大学での気づき「環境は努力ではなんともならない」

大学では、環境社会学の授業をひたすら取りました。

環境社会学(かんきょうしゃかいがく、英: environmental sociology)は、自然的環境と人間社会との相互的関係について、その社会的側面に注目して、実証的、理論的に研究する社会学の一分野である。
──Wikipediaより

あまり聞いたことがないと思いますが、「環境社会学」というのは、環境に社会的な側面からアプローチするものです。人間社会とそれを取り巻く自然環境、自然環境とそのなかで形成される人間社会、という両視点を行き来しながら考えます。

レイチェル・カーソンの『沈黙の春』とかを読んで、サステイナビリティの概念を知ったのもこの頃。

それと同時に、海外に行きだしました。環境問題とはずれるのですが、カンボジアの貧しい子どもたちと交流とか、インドの孤児院や病院でお手伝いをしてみるとか、東南アジアをぐるーっと回ったり。

19〜20歳くらいで初めて見る世界だったので、やっと教科書のなかの事柄がリアルに見えたなーという感覚でした。


学問とフィールドの両面から(環境に限らず)社会問題を捉えようとしてみるなかで、世界が抱える諸問題って、募金したくらいじゃまずなくならないし、少しの進歩すらなさそうだなという現実に気づきました。

アフリカの貧しい村に寄付しても、すぐ使い果たして味をしめちゃったりするんです。すると村民たちが食料の奪い合いをはじめたり。リアルな話を聞くと、すごく難しい。仕組みが根深い。

「環境のために募金を!」「アフリカの子どもたちに支援を!」なんて散々呼びかけられ、それが正しい行動だとずっと教えられてきたけれど、与えるだけの支援は応急処置にしかならない。それどころか、中途半端な治療をしてしまうことでさらにリスクに晒され、数年後に大量出血……なんてことも現に起こってる。


絶望を感じ、ビジネス的なアプローチで解決しようとしている人に目を向けるようになりました。

入り口はフェアトレードやエシカルファッション。欧州のブランドがやっている取り組みを中心にリサーチして、某商社さんのオーガニックコットンプログラムを取材したりもしました。

それらの事例に共通していたのは、

・企業のビジネスモデルとして成り立っている
・他事業と同様かそれ以上に利益を追求できている
・仕組みを持続させていくことを念頭に置いている

ということでした。

企業が経済活動を成り立たせながら社会活動に取り組み、持続する仕組みを構築していく。というアプローチが一番の近道だという結論に、ようやくたどり着いたのでした。


北米で見た、最新トレンドとしてのサステイナブル消費

という考えを持ちつつ、休学してカナダに住みながらニューヨークなどにも行ってみると、みんなが純粋にエコなものやソーシャルグッドなものを楽しんでいる社会がありました。

同居人のカナダ人女性がとてもエココンシャスな人で、いろいろと流行りを教えてくれて。マーケットに行くと、食品から化粧品まで、オーガニック、エシカル、サステイナブルといった単語に紐づく商品がたくさん売られています。しかもそういうお店ほどおしゃれで、パッケージデザインもかわいくて、最新トレンド感がある。

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彼女はいつも「これ美味しいのよ」「これ肌にいいのよ」と言って勧めてきて、「これ環境にやさしいのよ」なんて一言も言わないんです。

課題意識からくる「こうしなきゃ」ではなく、純粋に楽しむ気持ちからくる「こうしたい」で動いている消費活動。

当時の日本で“エコ”や“オーガニック”というと、「わたしたちの地球にやさしく」みたいな抽象的なスローガンのもと、森ガール的なゆるふわとした装いに身を包み、コットンタオルと布ナプキンを使い、化学洗剤を使わず固形石鹸で洗濯して、植物由来のハンドメイドキャンドルを灯し、オフホワイト、生成り、白レースみたいな。いくつかのエコ系雑誌が提唱する“イメージ”が、完全に出来上がっていました。

否定するわけではないけど、自分の趣味には合わなくて。当時からメディアが取り上げはじめた「丁寧な暮らし」とかも、あまり興味が持てなかった(考え方としては好きなのだけど)。

もっとシンプルでかっこいいのがいい!

というのは、単に趣味の問題と言われれば、そうかもしれない。

けど、私と同じような価値観を持っていながらも、押し付けられるステレオタイプに馴染めないばかりにエコ的な消費活動にタッチできていない層はいるんだろうな、と。

いくら呼びかけたってそもそも「かっこよくない」から、そりゃー選ぶ人も少ないわけです。

北米の暮らしを体感して、

・トレンドに乗せる
・ブームを作る
・ブランド化する
・ムーブメントを起こす
・エゴに働きかける

あたりのことって、問題解決のための手段として大切なんだな、と強く感じました。

関心を持とう!意識を向けよう!わたしたちの地球のために!なんて自己犠牲と我慢の精神でやってたら、それ自体がサステイナブルじゃないもん。

このあたりのことは「消費社会学」というジャンルで卒論にまとめ、賞を頂いたりもしました。消費は社会を反映していて、社会は消費によって作られる。そんな考え方が、のちに仕事にもつながっていくものとなりました。


環境系には就職せず「PR」を学んだ

そこで出会ったのがPR=Public Relationsです。

就活ではエネルギー事業の会社から内定を頂いていたのですが、もう少し選択肢を探りたくてPR会社の説明会に行ったんです。(今思えば、前者を選んでいたらまるで違う人生になっていたことでしょう)

PR=Public Relationsとは、一方的に発信する広告・宣伝活動とは違い、情報を加工して社会文脈に乗せ、相互に関係を築きながら伝えていくこと。

デモ、呼びかけ、署名集め、社会運動みたいなものに疲れ果て、意識だけじゃ社会は変わらないよ……と冷めた目で見ていたので、PRの考え方を知って糸口が見えた感じがしました。

たとえばこの動画は、カンヌライオンズ2018のPR部門でグランプリを取った事例です。

海に捨てられるプラスチックゴミ問題を提起するため、ゴミが集まった海上のエリアを「Trash Isles=ゴミ諸島」として、実際に国家として登録申請。国民を募集し、セレブなども含めて賛同者が集まった。太平洋に突然「ゴミの国」が出現!と話題になった。

こういう動画が何万とシェアされたりしています。クリエイティブのチカラは強いですね。

こちらは2016年のケース。スウェーデンの大手スーパーマーケットCoopが行った、『オーガニック食品だけを食べ続けると、人の体にはどのような影響をあるのか?』という実証実験の動画です。

とある家族の協力のもと、全員の尿検査をしたあとに、調味料から食料までオーガニック製品だけを食べ続けてもらった。2週間後の検査で「体内の化学物質がほぼゼロになった」という結果が出て、動画は3500万回以上再生、全世界で18億のリーチ数を記録。Coop社は過去20年間の最高売上を記録した。


アメリカを中心に、企業のPRにより実際に消費者の行動を起こすことに成功し、売上が上がっている事例は多く見られます。


社会問題はビジネスで仕組みを変えることでしか解決できない。


という考えに至っていた大学4年生の私にとっては、PRがそれを実現する最も現実的で効果的で未来的なアプローチに思えました。

せめて少しくらいは、リアルビジネスに貢献できる大人になろうと、PRの道に進んできたというわけです。


険しい啓発運動よりも、ポップなムーブメントを

それからは仕事を通じて関われるさまざまな業界が面白く、すこし環境からは離れていたのですが、最近また、私のモチベーションはわりと「美しい自然を守りたい」にあると、改めて思い直したりしています。

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さすがに今年の猛暑や異常気象で、自分の生活へのインパクトを感じている人も多いはずです。

とくに私が関心をもっているスノー業界では、露骨に雪が減って滑れる期間が短くなっていたり、雪不足で閉鎖するスキー場が増えたりしています。単純に、そういうのって楽しくないし、全然イケてなくないですか。

結局、人間は地球のエコシステムのなかに組み込まれているので、自分という一個体が快適にサバイブすることに本能が向いてしまう生き物です。地球のため、環境のため、とか言って自分に関係のないなにかのために犠牲になれる人なんてけっこう変態ですよね。

「環境破壊はダメなこと!プラスチックは害悪!排除!」

みたいな“ネガティブを取り除く意識”じゃなく、

「環境のためにいいことってなんかいいよね、クールだよね」

という“ポジティブを積み上げる意識”で、ポップな消費ムーブメントが起こればいいなと思っています。

「マイクロプラスチックが海洋生物に悪いから」という理由でストローを使わないのも素敵な精神だけど、「海外のマイストローブランドめっちゃかわいい!これ持ってる私イケてる!」でも全然いいと思うんです。

そうやって、自分のためにと思ってした消費が、回り回って社会を良くする。その仕組みがちゃんとできている。それこそが、本当の意味でヘルシーでサステイナブルってことじゃないですかね。


ファッション感覚でOK。まずは仕組みをつくること

という意味では、ここ最近のSDGsや環境問題絡みのブーム/トレンドは、極めてエゴなのでとってもいい流れだと思いながら見ています。

ヨーロッパのほうでは若い子たちにファッション感覚で流行ったりしているし、日本企業もブームに乗っかって「SDGs LINEスタンプ」とかをポップに出したりしているけど、それもOK。

人は「キャッチーなキーワード」がないと自分にとっての新しい概念を認知できず話題にもならないことは、PRを仕事にしてから何度も痛感してきました。

「美魔女」と呼べば若作りしているおばさんが急にきれいに見えるし、「礼儀3.0」とか言えば今まで無礼だった行いが最先端の振る舞いになる。対象それ自体はなにも変わっていないのに。

だからSDGsという言葉が充てがわれた途端に企業がこぞって参入してきて(たとえそれがマーケティング目的でも)、おしゃれなマイボトルが売り切れ続出になるのも、何の違和感もありません。むしろ、よくぞやってくれました。


目くじら立てて啓蒙するのは簡単なので、みんなそこから入りやすい。啓蒙活動を長年やってきた人が、突然のポップなブームにモヤッとする気持ちもわかります。

だけど、ゴールを目指すために合理的に最短ルートを取るとすれば、誰もが私欲のままに消費できる健全な社会はそのままキープしてもらいつつ、そこにPRなどの手法を駆使して仕組みを構築していくのが、私たちビジネスパーソンの役目ですよね。というのが私個人としてのスタンスです。

これからも気になるニュースなどシェアしていくと思いますので、同じような考えの人と繋がれたら、そんなに嬉しいことはないです。

どうもありがとうございました。


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