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ispaceの月着陸失敗について

世界初の民間月面着陸を目指した着陸船が、着陸を達成できなかったことについて、アイスペースの氏家亮・最高技術責任者(CTO)は記者会見で、着陸船の高度の情報に問題があり、燃料切れを起こしたことが原因との見解を示した。

ispaceは月着陸に失敗しましたが、ミッション全体から言えば、かなりの部分で成功しています。というのも、スペースXのロケット(Falcon9)からの分離や予定していた軌道への投入、月周回軌道での制御は成功していたからです。

そして着陸の直前まではデータが取れていたことにも注目すべきだと思います。なぜなら、大気が薄く、重力も小さい月の環境は地球では再現困難であり、実際に月の環境で着陸船を運用できた経験は何ものにも代えがたいからです。

月着陸船は元々、高度100kmの軌道から月への降下を開始し、高度20〜25km付近からエンジンの噴射を利用して減速、そして月面に対して姿勢を垂直に立て、4本の脚で着陸する予定でした。しかし、なんらかの原因で高度を見誤り、減速がうまくいかなかったようです。

月着陸船はできるだけ軽くするために、積んでいる推進剤が必要最低限のギリギリの量なので、少しでもエンジン噴射のタイミングがズレると今回のように失敗してしまいます。高度センサや加速度センサに問題があったのか、それとも月着陸船を誘導制御するソフト自体に問題があったのかは分かりませんが、今後その部分も明らかになってくるでしょう。

これまでに月への着陸を成功させているのはアメリカ、旧ソ連、中国のみであり、ispaceひいては日本が4カ国目の月着陸を実現することを楽しみにしています!

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