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ふじあざみラインのバス事故から考えるエンジンブレーキの重要性

2022年10月13日、静岡県の県道である通称「ふじあざみライン」で観光バスの横転事故が起きた。ふじあざみラインは富士山の須走口(すばしりぐち)五合目に通じる道で、以下の画像のようにかなりのクネクネ道かつ急勾配の道となっている。

Google Mapより

そして、今回取り上げたバス横転事故の原因はフェード現象だと言われている。通常、車やバスをフットブレーキを使って止める際には、(ディスクブレーキの場合)車輪と一体になって回転するディスクローターをブレーキパッドで挟み、運動エネルギーを摩擦を利用して熱エネルギーに変換することで止めている。一般的に車では油圧の力を使って作動するが、大型トラックなどではレスポンスは遅いが、より制動力の強い空圧を使って作動する。トラックやバスが止まった時に「プシュー」という音が鳴るのは圧縮された空気が抜ける音だ。

ここからが本題だが、フェード(fade)現象というのは、坂道などでフットブレーキを多用したためにブレーキパッドが過熱してしまい、ブレーキの制動力が低下する現象のことを言う。似た現象にベーパーロック(vapor lock)現象があるが、これは油圧ブレーキのオイルが過熱してしまい、オイルが沸騰して気泡が発生し、ブレーキがきかなくなる現象のことであり、フェード現象が発生した後にブレーキをかけ続ける事で起こることが多い。ただし、今回の事故は観光バスでの事故ということであり、空圧で作動するエアブレーキが使われていた可能性が高く、ベーパーロック現象は起きていないかもしれない。

そして、今回のような事故を防ぐために重要なのがエンジンブレーキだ。車は動力をエンジンから車軸に伝え、タイヤを回転させることで走行している。しかし、走行中にアクセルペダルから足を離すと、タイヤの回転力を使ってエンジンを動かしている状態になり、その負荷で減速する。これがエンジンブレーキの仕組みである。

そしてエンジンブレーキはギアが低い場合の方が強く作用するため、ふじあざみラインのような長い下り坂ではギアをシフトダウンするべきなのだ。山道や長い下り坂ではフェード現象を起こさないために、フットブレーキだけでなくエンジンブレーキを使うことを是非心がけてほしい。


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