【講演ログ】第1回 イカ事務 公開シンポジウム ~イカした事務の働き方・キャリアの作り方~
医療事務のイケてる人たちで、意見交換しようぜ!
というテーマで毎年開催されていた「イケ事務」というイベントがありました。
北は北海道、南は沖縄まで津々浦々の医療事務が集まって、グループワークやら講演やらいろんな刺激的なことをやりました。
登壇者は本当に多岐にわたっていて、過去には
・海外医療ベンチャーのアントレプレナー佐藤創くん
https://note.com/hajime3101
・仏のように優しい解説の感染症医 高山義浩先生
https://www.huffingtonpost.jp/author/yoshihiro-takayama
・サードプレイスなクリニック院長 鈴木裕介先生
https://saveclinic.jp/
参加者としてはエクサウィザーズの春田さんなどビジネス界隈の方もいらっしゃったりしてました。
そのイケ事務が今回、「イカ事務」へと変貌をとげ、またオンラインMTGに様式も変更となりました。
豪華かつめちゃくちゃイケてる講演陣というところは変わらず、大変学びのある会でした。
本日14時から17時の開催でしたので、最速で講演ログを共有したいと思います。
講演1:全国医学部長病院長会議 事務局長 櫛山 博 氏
・医師や看護師との付き合い方
話を聞く、検討をする(即断りをしない)という受容的な姿勢が重要。検討をした姿勢をみせて、結果として実行が難しく、断ることになっても、「しょうがないか」と理解してくれる。
看護師は看護管理部との接点が重要。信頼を得ることで情報の双方交換ができる。
・事務職に必要なスキルや立ち回り
逃げない。逃げる必要もあるときがあるけど、基本は対応する。
電話をするときは「時間大丈夫ですか?」から。相手の時間を大切に。
対面の時は暇そうなタイミングを狙い撃ちする。周辺の仲のいい人に事前に電話で「あの人、今時間空いている?」と、裏側から調査もするのも手。
事務職の間で協力できる仕組みづくりも必要。業務所掌範囲の難しい小競り合いはしない。
自分から「忙しいところ」に飛び込む。部下の支援、難しい業務で一緒に仕事する。「一緒に頑張ってくれてるから」「あの人がやってるから」で支えてくれることが多い。わからないことは勉強しながらでもやってみる。
担当している業務については「わからない」を簡単には言わない。「調べて後から連絡する」という間をとってでも、回答するように。
どこをどう調べるか、誰に相談すればよいかを知っておく。すべてを頭に入れておく必要はない。
俯瞰する=自院だけでなく、保険制度などの業界傾向、ざっくりしたトレンドも視野に入れる。
・中堅事務職にむけて
職種で上下関係があるのではなく、役割が異なるという認識をもち、卑下しないように。
医師の「どうすれば儲かるか(≒その分の診療科への投資額が増える)」というところをしっかり支援する。そうすれば、仲間として動ける。
しっかり考えて、しっかり実行に。考えるだけでは成果にならない。
バイネームで相談を受けられるように。「●●くんに相談してみよう!」とすぐに名前がでるようになることを目指す。
・今までの経験を振り返って
好奇心旺盛(≒野次馬根性)で、いろんなことを学んできた。
こだわりを持たず、人の意見を素直に聞いた。
役職にもこだわりはもっていないが、唯一「人事課長」はやりたくない。人を見る目というのには自信がないから。
問題はなんとかなる。悩まず、いろんな人に相談して、時には時間が解決する。
わからないことについて考えて、それでもわからなければ次の手段を。「誰に聞こうか」、「どう調べようか」という風に、抱え込まず、解決の方策を考える。
自分は話をするほうではなく、聞くほうが得意。初対面は特に何を話していいかわからないから、ずっと聞いてばかり。
相談を受けたら、なんとかしてあげたいという気持ちが強いし、そういう風に仕事をしてきた。
講演2:日本M&Aセンター 加藤 隆之 氏(中小企業診断士・MBA)
・私はナニモノか
何がしたいのか、何が出来るのかの整理してきたのが、キャリア構成の重要なファクターとなっている。
・キャリアを振り返る
工学系大学院卒業後、医療機器輸入商社に新卒入社
⇒GHCで病院コンサルティング業務に従事
⇒三井記念病院を経験後、下北沢病院で事務長
⇒現職
・医療機器輸入商社時代
カテ出し待機中に脳内に流れるアンパンマンのテーマ。
なんのためにうまれて、なにをしてよろこぶ
わからないままおわる、そんなのはいやだ
「自分にとっての問題意識」を自問自答した結果、
医療者は懸命に働いているのに、病院は経済的に苦しい。。。
そうだ!病院経営を改善したい!
との考えに至り、業務の傍ら中小企業診断士を取得、退職してMBAを取得。
・病院コンサル(GHC)時代
ハードな業務の中、医療経営のノウハウを学ぶ。
他病院データを提示して、改善提案する。怒られることもままった。提案内容だけでなく、「どの項目を比較するか」も自分で考えて調査する。
医療者と同じレベルで会話できるように、医療知識も獲得していった。
・病院職員&病院事務長時代
医療現場の中で働いてみようと思い、病院に入った。
「デキること」と「組織にとって必要な事」は別。
長く固定的に同じ部署で働けば、「デキる」人になるケースが多いだろう。但し、組織としては人材の固定化は望ましい結果ではない。
三井記念病院では当該部署のスペシャリストを撤退させる仕事を担った。
外部委託の活用や、徹底した業務見直しの結果、12名から4名まで体制を縮小することが出来た。
ただ、急速に実施したことも相まって、他の職員からは殺意を抱かれるほど嫌われていたのだろうと思う。
事務長というのは「絵を描くこと」、そしてそれを「形にする(具現化する)」の2輪で仕事をするべきだと思っている。
特に後者が大切だろうと思う。
どんな風にするのか、まではみんな考えられるが、実現するのが本当に大変。ただ、ここにやりがいもある。
小さい病院におけるもっとも大きな悩みは、人的リソースが常にギリギリであること。2名しかいない体制だと、余剰がない(1名やめると人材危機感がやばい)
この経験から病院のグループ化が必要だ!という感覚になり、俯瞰的に病院M&Aが見える現職への転身を決意した。
・M&Aの実態
ブローカーのようなダークなイメージを持たれるかもしれないが、今は事業承継(後継者問題)の解決方法として、M&Aが使われている。
「息子が医師だから継いでくれる」
「その病院が地域に必要だから継いでくれる」
わけではないのが、事業継承問題の原因だ。
例えば、
田舎にある回復期の病院の息子が東京の医学部を出て医者となった
というケース。
一見すると、後継者が出来て安泰、と思われるかもしれない。
ただ、この息子が都内大学病院で血管外科で手術を沢山やる人だったらどうだろうか。実家の病院は回復期なのでミスマッチな職場だ。
また、個の息子が多忙な業務の傍ら、めでたく東京で結婚し、孫が生まれた。孫は慶應幼稚舎へ。奥様は東京のお嬢様で「都会から出たくない」と言っている。
いろんな事情で、田舎に戻らないケースは発生する。ここで第三者の事業継承が必要となり、M&Aの需要が生まれている。
・今やってることと、働く上でのポリシー
経験(事務長)と知識(コンサル・MBA・会計学など)を事務へ展開する。
経営知識を通じて医療業界に貢献することが働くポリシーだ。
そこで、もう一度問う。貴方は「ナニモノ」ですか。
感想とまとめ
櫛山さんは、話し方も見た目も、そして内容も。本当に包容力を感じる方でした。スペシャリストに対する尊敬の念を感じつつも、ジェネラリストとしての矜持も持たれていました。
一言で「調整」というけれど、そこに至るまでの気遣いや、身につけておかないといけない知識や人脈がいかに大切であるか。そこを極めると、大変な価値になるのではないかという学びがありました。
ジェネラリストは本当に全域的な強さが求められるし、そのためには人格を含めた研鑽が必要だなぁと噛み締めています。
加藤さんは相変わらずキレキレのイケメンでした。その裏には、とんでもない修羅場を潜り抜けたのだろうというのがありありと伝わるし、そこで得られた胆力が魅力の一つだろうな、と思います。
「誰もが言いにくいことを言う」というのが、どれだけ大変なのか。どれぐらいメンタルに堪えるかを知っていると、なかなか加藤さんと同じ仕事はできねぇなーと思います。これぞ経験値の違いか!というのをアリアリと感じました。
やっぱり何にせよ「ナニモノ」であるか、を自分で定義しよう!という主題は、ずーっと心に残りました。
ポリシーってなんやろうな、って思うし、フィードバックセッションでも感じたんだけど、言葉にするとどんどんポリシーみたいな軸じゃなくて、行動指針や志向性のほうにずれてきちゃう。そうじゃない、もっと根幹なんだよな!って思うんだけど、なかなか見つからない。探さな。
オンラインでしたがスゴイ熱量と、学びと、課題と、優しさをいただけました。こういうの、いいなぁって今かみしめながら書いてます。
最後に、運営側の皆さん、ありがとうございました!
また、おかわりください!
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