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病院事務職になるために、ちょっとしたコツ

もう4月上旬ですね。

例年であれば就職活動に向けて、「着ている」というより「着せられている」リクルートスーツを身に纏い、遊びの象徴であった明るい髪を黒に染め上げて、今まで使ったことのないぐらい丁寧な敬語を使い、表情筋が筋肉痛になるほどの作り笑顔をみせる就活生が、わいのわいのと街を闊歩している頃合いですが、いかがでしょうか。

さて、今日は「病院事務に就きたい学生」にむけて、すっかりおじさんになってしまった元就活生であり、ちょこちょこ面接官もやる人が、ちょっとしたコツを伝えたいと思います。

これを見たから、あるいは実践したからといって「必ず受かる」というわけではなく、あくまで採る人を選ぶ側からみた、「こうしてくれたらいいのになー」という意見として参考してもらえると嬉しいです。

コツは3つです。

1.志望動機はストーリーをもって語る

グループだろうと、個別だろうと、
一次面接だろうと、最終面接だろうと
絶対に「志望動機」は聞きます。

過去数年間、新卒面接で100名以上の志望動機を聞いてきました。

その中で

「これは本当に当院を志望しているな」

と僕が感じるような話をしてくれた方は、ホントに少数です。
体感としては年に1名いるかどうか。

いや、中には本当のことを話していたのかもしれない。
でもどう考えても「嘘っぽいなぁ」「志望動機として適切なのかい、そいつは」という人が多かったのです。

病院事務の志望動機として最もよく耳にする「身内や実体験エピソード」は志望動機とするには実は結構難しいテーマだと思うのですよ。

例えば
「祖母が入院したときに接してくれた事務員さんが優しくて」
「貴院を訪問したときに外来の職員さんの笑顔が素敵で」
という感じのやつですね。

本当にめちゃくちゃ聞きます。体感としては80%以上の学生がコレ。

確かに、そういう事象はあるかもしれない。
でも、そうじゃないでしょ?働くのだよ?下手したら一生の仕事だよ?
そんな「笑顔が素敵」、「優しくされた」、だから「目指した」って浅すぎるでしょって思うんです。

ディズニーランド、高級ホテルなどホスピタリティやサービスでお金を稼いでいるところは、きっと物凄いレベルでそれらが達成されているはずです。
だって、ソレらが売り物だから。ホスピタリティやサービスで物凄い金額を貰っているわけだから。
じゃあ、あなたはそこに行ったとき、さらに最高の笑顔と最高のもてなしを受けたとき、「やっぱりここに勤めたい!」って思うのでは?

別の業種でもやっぱり消費体験だけで勝負するのはリスキーだと思います。

酒造メーカー志望者
「僕は毎日スーパーでドライな御社の製品日飲んでます!飲むたびに爽やかな気持ちになるので入りたいと思いました」
車メーカー志望者
「家族が買った御社の車の乗り心地は最高です!なので入りたいです!」

うーん、ちょっと粗すぎない?って気持ちになりますよね。
短絡的というか、深みが無いから、口先だけでも言えちゃう。
本当にそうなの?って言う気持ちになっちゃう。

つまり、家族エピソードなどの「体験」はあくまで「きっかけ」であって、「志望動機」としては十分でないよね、って思うわけです。

あなたはどうして数ある職の中から「医療事務」を選んだのか、
さらに「何故当院なのか」
ここを深堀して考えてきてくれたら、志望動機としてすごく納得できます。

例えば、

・大学で経営学を専攻している。昨年、家族が病気になり入院した
・その領収書を見ると、複雑な加算が取られていたので調べてみた
・病院は公益性を担保しながら、利益をあげていると知った
・単純な利益追従型でないからこその難しさがあるのだろうと思う
・その経営にぜひチャレンジしたいと思った
・貴院は総合病院なので、多種多様な機会も多いと考え、志望した

とかですね。
こういう内容だと、医療事務を選んだ意味、そして当院である意味が割とスッキリ入ってきます。

すべてがすべて、こういうことではないんですけど

「どう考えてもそうなるわな」

という納得感をどれだけ盛り込めるのかを意識して、志望動機をストーリー立ててくれると大変いいのではないかと思います。

2.質問に対して素直に回答をする

これは医療事務に限ったことではないんですけれど、
「聞いたことに正しく回答する」
というのが結構、大切です。

割とフランクな空気を作りたくて
「お休みの日とか何やってるの?」
みたいなちょっとプライベートに踏み込んだ質問をすることがあります。
この時に深読みを繰り返した結果
「自己研鑽を〜」「友人とディスカッションを〜」とかいう人がたまにいるのですが、別にそういうのはいいんです。
本当に研鑽してたり、議論してたらそれはそれですごく面白いんですけど。

医療事務はチームで動くっていうのもありますし、女性が極めて多い職場でもあるので、「人となり」を大切にします。
ですので、本当に「どんな人なのか?」という人格面が大切です。

これは明るく遊ぶ子でもいいですし、家で本読んだりしててもいいんです。
ただ「ちゃんと自己開示ができて、お話ができるかな」っていうのをみているんです。

見た目がいい人は徳をする、っていうのもあります。
テレビの企画で、「容姿が優れたモデル2名とそうでない東大生2名を学歴とか一切隠して面接させたら、高評価がモデルに偏った」みたいなのやってましたね。
実際問題これはあるんだと思います。

ただ、必ずしも「美人」や「可愛い人」だけが「見た目がいい」とは思いません。特に面接の場においては。
ちゃんと「素直に明るく自分を表現できる」っていうだけでも、「見た目がかなり良くなる」ということは覚えておいて欲しいです。

3.ちゃんと質問をする

就活における「質問」は大きく2パターンあると思います。

お馴染みの「最後に何か質問はありますか?」というやつ。
もう1つは、「会話の最中における質問」です。

前者側で気をつけたいのは「どこまで踏み込んで聞いていいか」は業種や業態、受験するタイミングによって大きく異なるということ。

ベンチャーやIT系など経営者や人事責任者が若年であったり、そもそも企業文化がオープンマインドなところであれば、お給料をはじめとした処遇待遇などもある程度許されやすいと思います。

ただ、「病院」はそうではないが実際です。これは良しにつけ悪しきにつけ、「旧世代的」とも言えると思います。

お給料などの話になると、「カネカネいううるさい人」と思われやすいし、
残業の話になると、「あ、定時で帰りたがってる。仕事したくないんか」とも思われやすいのです。
また「事務」という仕事自体、コストセンター的な意味合いが強くなりますので、権利主張するより、与えられたことをしっかりやり遂げるイメージを出せるようにしておいた方が無難だと思います。
(書いていて少し悲しくはなりますが、「医療事務になる」ことを一直線に考えた場合、こういうコメントになっちゃうんですよね)

さて、もう一つの「会話の最中における質問」も、実は重要です。

2番の要素とも繋がりますが、会話を成立させるというのは、実に高度な技術をやっているのです。

「相手の言っていることを正確に理解し、自分の考えをまとめて、相手がわかるように伝える」
という作業です。

これを精度良く行うためには、まず「正しい理解」が必要です。
これが実は本当に難しいと思います。

例えば、

私がサードベース側のプレートを踏んだ状態で、クロスファイアー気味のフォームで、アウトローにシンカーあるいはSFFを130km/hで投じたとします。
その場合において、貴方はライトフライを打つ指示が出ていた際、どのようなヘッドコントロールをされますか?

と質問されたとします。
野球を知っている人ならわかると思いますけど、野球知らない場合は全然意味わかんないですよね。

そんな時に、曖昧に知った被って返事をするのではなく、

すみません、野球の話でしょうか?であれば、私は野球をよく存じ上げてないので、もう少し詳しくご説明いただけますでしょうか?

など、「ちょっとわかんねぇから、ヒントちょうだいよ」と、質問をするのが大切です。

なぜなら、面接はあくまで「知っている・知らない」というものよりも、「難問に対して、どのように思考するのか」を探っていることが多いからです。

総合職採用をする場合、ルーチンワーク以外の事って「これが正解」ということばかりではないです。
あるいは、「正解はあるかも知んないけど、今のところ誰も分からない」ということも多いです。
そういう困ったときに、どんなふうに動いたり考えたりできるかな、というのを見ています。

ちょっとよくわからないときに、「質問内容を整理する質問」を出来るかどうか。あるいは、「私はこう考えたのですが、答えとして適切ですか?別の考え方をすべきですか?」という提案型の質問でもいいと思います。

何でもいいので考える、考えるために必要なものを集める、そのために必要な行動が「質問」って思って対応してほしいです。

まとめ:「伝える」と「聞く」が大切

医療事務に限ったことではないですが、「伝える・聞く」というコミュニケーションの基礎能力みたいなものを見直すいい機会として面接に来てもらえるといいかなと思っています。

しっかりと伝える、というのは実は学生の時には実行しにくい行動だったりします。

家族や友人であれば、あらかた貴方自身の人格を理解して、言葉が足りなくても何となく察してくれたりします。
でも、初対面で会ったばかりの他人に、「こちらの想いを理解してもらう」というのは極めて難しいことです。僕も下手です。
ですから、なおさら「何故そう思ったか」までを自分の中で理解して、言語化してほしいなと。

加えて「聞く」というのも実に難しい。
相手が何をいっているのか、真意は何処かを捉えるというのは本当に難しい。
面接官側も「芯を食った回答をしてほしい」と思っているので、そこに当たるまで質問をしてほしいなとも思います。

おまけ

これは学生指導に当たられている大学あるいは専門学校の先生にも見てほしいんですけど、「志望動機や自己紹介文を丸覚え」させなくていいですし、しなくていいです。

めっちゃわかりますから。「あ、覚えてるな」って。
あと、そんなところに熱量使うぐらいなら、ロジカルシンキングの本一冊でも履修させておいてください。
ドリルダウンした瞬間に、慌てふためく学生を見るたびに、こちらとしても胸が苦しくなります。本当にお願いします。

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