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§ 中国万華鏡 § 之 ぶくぶくちゃいなノオト(更新終了)

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※当マガジンは2017年12月末をもって更新を終了いたしました。2018年1月からの記事は「月刊『ぶんぶくちゃいな』」(http://bit.ly/2A23ZT7 800円/月)… もっと読む
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記事一覧

【ぶんぶくちゃいな】留学生殺人事件に見る「一つの生命」、それぞれの言い分

先週の「中国NewsClip」でもご紹介した、「中国人留学生殺人事件」が結審し、日をおいて12月20日、中国人元大学院留学生、陳世峰被告に禁錮20年の実刑判決が下りた。

陳被告が付き合っていた中国人女性留学生を匿っていた友人の女子留学生が、陳被告に斬りつけられて死亡するというこの事件の裁判に、中国からは高い注目が集まっていた。そのために11日から東京で始まった裁判の様子を伝えようと、中国から多く

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【ぶんぶくちゃいな】中国式リアリティ番組:固められたウソで歪められる現実

日本の「リアリティ番組」といえば、芸人たちの旅番組や芸能人をこっそり裏でひっかけたりする番組、あるいは芸能界を目指す若者たちの勝ち抜きショーのことだろうか。これにテレビ局が朝から晩まで手を変え品を変え、ニュースネタをタレントや著名人のコメンテーターに語らせるワイドショーも、ある意味リアリティ番組といえるかもしれない。

日本のお手軽なワイドショーばかりのテレビを眺めていてとても残念に思うのは、アメ

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【ぶんぶくちゃいな】「#MeToo」の遺憾、中華と西洋の距離

12月6日、米誌「TIME」が1年に1度、同誌が選ぶ「Person of the Year」(今年の人)に「沉默を破った人」と称して、過去セクシャルハラスメント(以下、セクハラ)を受けたことをその相手を名指して公表した女性たちを選んだことが話題になった。

ハリウッドの映画製作者や俳優たちに対する著名女優たちやアーティストの告発が、メディアや企業、政治関係者へとあっという間に広がり、今週になって元

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【ぶんぶくちゃいな】作家余華インタビュー「日中関係は良くも悪くもならない」

10月、『中国では書けない中国の話』著者、小説家の余華氏が来日した。同書については、すでに「読んでみました中国本」でご紹介したが、来日の際に行ったインタビューの一部をここで公開する。

――最初の訪日は2006年、今回で日本においでになるのは6回目だそうですが、なにか日本の変化に気づきましたか?

余華:最初の訪問の時が最も印象的だった。初めてだったし、あのときはいろんな地方にも行ったので。2回目

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【ぶんぶくちゃいな】「安全第一」:変わる北京、変わらない北京

【ぶんぶくちゃいな】「安全第一」:変わる北京、変わらない北京

わたしは、2001年のちょうど今ごろ、香港から北京に引っ越した。急な引っ越しだったが、以前から時期はともかく予想していたことでもあった。

国際都市から、経済成長はしているものの、まだまだいろんな意味でローカル色の濃い北京へ。そのローカルさ自体が魅力的だったのだが、それでも、心の準備のためにいろいろと情報を集めた。

中国は香港と違い、今も昔も外国人にあまり寛容ではない。外国人サークル「租界」で暮

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【ぶんぶくちゃいな】「北朝鮮」に奔走する日本メディア、伝わらないアジアの現実

これまでにも何度も触れてきたし、199回の「ぶんぶくちゃいな」でもちょこっと書いたが、わたしが2003年に村上龍さんが主宰していたメールマガジン「Japan Mail Media」に連載するようになったのは、2003年9月に中国北京で開かれた、初めての6者会談(6カ国協議/6者協議/六者会合、とメディアや政府でもさまざまな呼び方があり、統一されていない)がきっかけだった。

当時北京で暮らしていた

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【ぶんぶくちゃいな】転換期の「双十一」、その先を見据えるアリババ

11月11日。

中国はお祭りの日だ。「11」が2つ並ぶから「双十一」。中国大陸に中華民国が建国されたのが1911年10月10日で「双十節」と呼ばれることにひっかけたようにも感じる(「節」をつけないのは語感からだと思う)が、直接の関連性はない。

中国で「双十一」が注目されるようになったきっかけは南京大学の学生寮だったといわれている。調べてみると、1993年に寮生たちがこの日は「1111」と棒が4

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【ぶんぶくちゃいな】政府vs民間企業:ハメられたのはどっちだ?!

10月30日午後、中国のSNS「微信 WeChat」(以下、「WeChat」)に配信された記事にタイムラインが沸き立った。

「深センの有名スタートアップ企業と著名海外留学起業家が、国内小都市の投資でこんな落とし穴の悲劇に見舞われようとは!」
「やはり一旦海外に出たら帰っちゃダメだ。どうしても帰国せざるをえないなら、北京、上海、深センのほかはどんなに良い条件を提示されても起業なんて考えちゃダメだ…

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【ぶんぶくちゃいな】ポストBAT:中国スタートアップ界の話題の顔ぶれ

先週、中国のニュース情報サイトに、「『趣店』がニューヨークで上場!」という記事が並んだ。

あちこちのサイトがそれをプッシュしてきたからそれなりに注目されるニュースであることはわかった。

報道によると、オンライン消費ローンサイト「趣店」が米国時間の10月18日にニューヨークの株式取引所で、中国の金融関連テクノロジー業界として3者目の上場を果たした。初日の市場は一時40%以上の値上がりを見せたが、

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【ぶんぶくちゃいな】広州か杭州か:習近平新体制が選んだ中国第3の都市

NewsClipでピックアップした、「『4大トップ都市』記念切手から広州が落選」というニュースはちっぽけ(なよう)で、日本を含め海外のメディアが取り上げた様子はないものの、ピックアップした後もずっと気になっていた。

というのも、中国で「大都市」「トップ都市」といえば、中国人の頭にはすでに「北京、上海、広州」の3都市がインプットされている。そこに文脈と必要に応じて重慶(直轄市)や深圳(経済特区)な

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【ぶんぶくちゃいな】富徳楼「香港オルタナティブの培養基」主宰者に聞く

【ぶんぶくちゃいな】富徳楼「香港オルタナティブの培養基」主宰者に聞く

香港のワンチャイ(湾仔)は「香港の下町」と呼んでいい場所だと思う。この地に皇帝がましましたという歴史はないが、西に政治の中心地であるアドミラルティ(金鐘)、そして経済の中心地であるセントラル(中環)が、そして東に香港随一のショッピングエリア、コーズウェイベイ(銅鑼湾)に隣接し、それらに挟まれるように位置する庶民の街だからだ。アッパーではないが、ロウワーでもない、地に足がついた人たちが暮らす地域、そ

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【ぶんぶくちゃいな】日本語専攻学生のプライドに見る日中関係の5年間

突然だが、5年前の今頃、日本と中国はどんな状態だったか覚えているだろうか?

5年前…2012年…そう、2012年9月に起きた日中国交回復後最大級といわれた反日デモの直後だ。ここまでいえば思い出すだろう、当時の日本では連日、「破壊行為」だとか「暴力的なデモ」だとかがワイドショーで取り上げられ、対中感情が戦後最悪なレベルに陥っていた。

その一方で、日本のニュースメディアのほとんどは衝撃的な反日デモ

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【ぶんぶくちゃいな】フェイクニュースはマスメディアが作る

2011年に始めたメルマガ「§ 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな」が200号を突破してふと振り返ると、長年中国の事情を日本に向けて伝える立場から見て、偏見(または潜在意識)あるいは情報不足による「中途半端な分析」が今、一番の敵だと感じている。

特に昨年、アメリカ大統領選挙期間中にフェイクニュースが事実を超えるほど猛威を振るい、結局選挙結果を揺るがすほどの影響を与えたとされる。報道や情

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【ぶんぶくちゃいな】「香港独立」に揺さぶられるキャンパス

先日ふと気がついたのだが、昨年の今頃、香港は月初めに行われたばかりの立法会選挙で、2014年以降に出現した「民主自決派」と「香港自決派」と呼ばれる若い政治勢力から6人の候補者が当選したことでちょっとした興奮状態にあったんだった。

初当選した顔ぶれのうち、「民主自決派」に属する「香港衆志」主席の羅冠聡(ネイザン・ロー)さんは24歳で歴代最年少の立法議員となり、同じく初当選した朱凱迪(エディー・チュ

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