《「天安門事件の死者は1万人」 英公文書を公開》(AFP):vsこぞって「フェイクニュース」を翻訳して流した日本のマスメディアの体たらく

◎《「天安門事件の死者は1万人」 英公文書を公開》(AFP)

これはわたしの友人である香港のネットメディア記者たちがイギリスで、先月公開された大量の公文献を自分たちで調べて書いたスクープが元ネタです。香港では20日に記事として出ましたが、その日のうちに取り下げられてしまいました。しかし、同ネットメディア関係者たちがその原稿コピーをネットでシェアし合い、その日の夜には爆発的に読まれていました。わたしもパソコンで打ったままみたいな原稿が流れてきて驚きました。

当該ネットメディアが記事を取り下げた理由は、昨今の香港メディアに対して強まっている中国政府の規制によるものだと見られています。その下でこうした、大量の歴史資料に埋もれた資料を掘り起こした記者たち(まだ20代)と、記事を消されてもシェアしあって情報を流していくメディア人のガッツを褒めてやりたい。

参考記事:産経《香港ネットメディアが天安門事件めぐり自主規制か 「無差別攻撃」「射殺」などの表現消えた修正記事掲載

しかし、上記記事を流した産経新聞と自社ロンドン支局で精査をして流した朝日新聞以外、共同通信及び時事通信を含むほとんどの日本メディアは香港紙「明報」がその後出した「死者が1000人〜3000人であることがわかった」という記事を情報源に記事を書いていますね。一方でこのAFP記事や他の英字メディアは香港ネットメディアの名前は出していませんが、「10000人説」記事を出している。

これは日付から見て、たぶん香港のネットで流れた記事を外字紙が手に入れてすぐにロンドンで公開文書を確認した上で独自記事として書いたのでしょう。

一方で、日本メディアは「ネットより紙」の信仰がまだ強く、長年リベラル紙として知られてきた「明報」を重視したわけですが、明報はリベラルだっただけに中国当局の監視はとくにひどく、ここ数年古参の編集者たちが次々にクビになっています。そういうメディア魂の塊たちが新興ネットメディアに流れ込んでいるんですけど、こうした変化に日本メディアは気づいていないようで…

日本メディアの情報取得及び精査能力の低さが明らかになった例となりました。


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