【ぶんぶくちゃいな】中米貿易戦争の負け組は…日本かも?!

実のことを言うと、今週号は早くから中国政府の機構改革について触れようと決めていた。中国政府や共産党周りの話は日頃、伝統的中国専門家や新聞に任せているが、全国人民代表大会全体会議(以下、「全人代」)で発表されたいわゆる「政府機構改革」とやらに驚かされたからだ。

だが、23日未明に米トランプ大統領が鉄鋼・アルミニウム製品の輸入制限を開始したことに中国メディアも即座に反応し、大きな話題になっている。もちろん、その全てが中国政府の意向というわけではないが、さまざまな論者が今の中国の「コマ」について触れている点が非常に興味深い。

なので、今号の後半は「すわ、中米貿易戦争勃発か」に対する中国側の反応を拾ってみることにした。

ということで、まずは政府機構改革と高層人事だ。中国メディアが最も取り上げているのが、先週の「中国NewsClip」で取り上げた、中国銀行業監督管理委員会(以下、銀監会)と「中国保険監督管理委員会」(以下、「保監会」)の合併によって誕生する「中国銀行保険監督管理委員会」(以下、「銀保監会」)である。

この改革によって、旧体制下の銀監会と保監会が行使していたそれぞれの業界法起草機能と管理制度審査機能を中央銀行である中国人民銀行に手渡され、合併後新設される銀保監会は純粋に管理監督機関としての役割を果たすことになる。余談だが、経済メディア「財新網」によると、銀監会、保監会はもともと、北京・金融街にある鑫茂ビルのサウスタワー、ノースタワーに並んで入居しており、今回の合併でビル全体が銀保監会本部となる。

中国において保険を含む金融業界は、最も公開管理されているといえよう。一つは政府が人民元の世界通貨化を目指しているため、ネックとなる外国からの信頼を得ようと管理体制の整備が進んでいること。もう一つは、それが直接中国の金融市場、ひいては証券市場などその他の業界への信頼感増大につながり、政府首脳がたびたび公言する「開かれた中国」のイメージ作りの一歩であること。もちろん、それでもまだ世界的な信頼を勝ち得ているとはいい難いが、それに応えようという姿勢は見せているという点はとても重要だ(つまり、不十分でもやらないよりやるほうがいいに決まっている)。

そして、もちろん国内に対する政府の姿勢を示す意味もある。経済の根っこになる銀行業と保険業、そして今回の機構改革は及ばなかった証券業界も、経済政策上の大事な屋台骨だ。2001年のWTO加盟以来15年以上、中央銀行である中国人民銀行の舵取りをしてきた周小川氏はその安定にずっと力を注いできた。現実には昨年4月に保監会の項俊波・元総裁が紀律違反で下野しており、それ以来保監会主席職は空席が続いていた。今回の合併はある意味、この機構改革に合わせて人民銀行総裁職を下りる周氏が主役だった第一幕から、中国経済改革第二幕へのバトンタッチとしてもちょうど良いタイミングとなった。

シャドーバンキングや国有資産(の民間への転換)流出など、まだまだ難題は多い中国の金融業界ではあるが、それでも監督体制の整備は他の業界に比べてかなり順調に、また安定して進められていることを思わせる動きである。

だが、今回の機構改革は金融管理体制ほど前向きに語られるものばかりではなかった。逆に言えば、銀保監会誕生が最もメディアに取り上げられた機構改革案件となったのは、そこが政府にとって最も「自信作」であり、広く取り上げてほしかったからだ。裏では同じく改革対象となったにも関わらず、明らかにメディアがそれを話題にすることがはばかられていると思われる分野もある。

その一つが、メディアと出版管理だ。

●政府直属から共産党管理に移されたメディアと出版

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