【ぶんぶくちゃいな】レポート:それぞれの「香港ドリーム」 香港中国人人材はなにを思う

9月16日から11月15日までの2ヶ月間、香港バプティスト大学コミュニケーション学院傘下ジャーナリズム社会学研究所のジャーナリストフェローシップに参加した。集まったフェローは全部で9人、インド、パキスタン、バングラデシュ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、中国、香港、そして日本のわたし。わたしにとってはこれまでまったく触れたことのない文化を持つ国からの人がほとんどで、しかし彼らの活動から現地のメディアと社会の問題を知ることができる、大変興味深い滞在となった。

その最終日にはフェロー全員がそれぞれ研究報告を行い、わたしは、滞在中のインタビューをもとに香港で働く中国人高級人材たちの声を報告した。

これまでもお伝えしてきたとおり、香港において「中国」のキーワードに関わるすべてのことがさまざま非議を呼んでいるが、その一方で香港で学んだり、働く高級人材は増えている。この街に来るたびに以前はなかった中国的な要素が香港でも普通に目にすることができるようになり、大きな変化をもたらしていることがうかがえる。こうしたさまざまな形での「見慣れぬ文化」が香港人の一部を苛立たせているのも事実だ。

しかし、香港に来るたびに出会う友人はここ数年、「北京語圏」の人が増えている。わずか1週間ほどの滞在で広東語は殆ど使わなかった、という例もあるほどだ。そうやって香港に巻き起こる波風の中、中国本土からやってきた彼らにそれが影響を与えないはずがない。だが、彼らはやってくる。その彼らが香港という場所をいかに捉えているのか、香港には合法的に連続7年間暮らすと居住権が取れるという制度もあり、それに対して何を思っているのか。それらはわたしが見る限り、香港メディアも十把一絡げにするばかりであまり取り上げておらず、わたしはわたしの友人たちのような一人ひとりのストーリーを聞きたいと思った。

サンプル対象者は主に香港で暮らす知り合いを通じて、発表時は個人が特定出来ない形での匿名を条件に、インタビューに応じてくれる人を探した。その際、まだ将来設計が出来ていない学生ではなく、「香港で働く」ことを一旦選んだ職業人を対象に、またその対象から自分自身よりも自分が見聞きした他者の話をしてしまいがちなメディア関係者を排除した。 

発表時点でのインタビューサンプル数は12人。ただ、そのうち、あまりインタビュー効果がなかったケースなどを除いて、報告発表に採用した意見は9人分とした。まとめた研究報告の全文(英語)は別途香港バプティスト大学ジャーナリストフェロー計画のページで公開される予定になっている。以下は、主に11月14日に同学院内で行ったレポート概要プレゼンテーション資料を日本語に翻訳したものである。

(レポート全体については改めて発表の場を考える予定。)

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