うーん、今朝NHKでアフリカ豚コレラの説明してたんだが、「海外の観光客が」「海外から加熱不十分な加工肉を持ち込み」「公園などでそれを食べ」「残りをゴミ箱に捨て」「それをカラスとかが運び」「養豚場に感染した」て、仮定仮定で原因決めつけてた。これらの仮定が重なって結果が起こる倍率ってどれくらいなんだろう。問題はその倍率すら明らかでない仮定で、専門家が海外の観光客が悪いと言ってると視聴者にイメージづけられることだ。

（3月22日午後6時まで、上記リンク先で件の放送部分聞けます。）

水際作戦で外国人観光客が加工肉食品を持ち込もうとしてストップされる事態が起きているのは事実だが、これは「原因」ではなく「予防」。なのに公共放送的なNHKで事態と深刻さを強調しつつ、責任を外国人観光客に仮定✕仮定✕仮定✕…の掛け算論理で、ただ一つの理由として外国人観光客ケースだけを取り上げるのは不適切。

これじゃあ、日本本来の予防体制は万全で一分のスキもなかったが、海外観光客が日本の法律を無視したのが原因と言っているに等しい。だがその後専門家は明らかに日本の対策対応が後手後手になってることも指摘している。昨年から警戒が始まっていたはずなのにその調子で、つまり日本の側にもたくさん落ち度があるわけだ。なのになぜ外国人観光客だけを原因と言い切れるんだ？

観光大国化と言いつつ、すぐにこういう言い方で外来客に責任をなすりつけて知らん顔。これじゃ日本人はただの世界の田舎もんだよ。公共メディアですらそういう発言に切り込まずにダダ漏れさせている。聞いた人はそれを事実だと信じてしまうし、そういう言をしていいんだと思い込む。これじゃメディアはただのヘイトの土管じゃねえか。

NHKのような公共放送が、あるいはメディアが豚コレラ事情を伝えるのは、なんのため？ 仮定で塗り固めて「外来者」のせいにして日本人を安心させるのが目的なの？ だったら、もしかしたら感染に関わったかもしれない日本国内の問題から人々が目をそらすことになり、それがおざなりにされる可能性もある。これじゃ中国でよく目にした責任転嫁論そっくりだ。

あの時、NHKのアナウンサーは専門家に一方的に話させるのではなく、「それは仮定ですよね。他にどんな可能性が考えられますか？」と斬り込むべきだった。でもそういう素養もないのだ、日本の公共放送のアナウンサーは。またそういうヘイトのダダ漏れが公共放送から流れてしまった。

「『〜と想像されます』と言いましたよね？ それが原因と取る聞き手のほうがおかしい」という言い訳は通用しない。メディア、特に公共放送的な色合いが強いNHKの増幅力は大きい。そのことを意識しさえすれば、きちんとその瞬間に情報の是正をすべきだった。斬り込んで「注意書き」をすべきだった。だが、残念ながら日本のメディアの現場にいる人たちは自分たちの報道の一言一句が社会に与える影響に対して、あまり頓着していない。「スクープ」は大好きなくせに。

不安を煽って、責任を転嫁して、安心させる。狭い範囲でしか使われていない言葉にを使った報道であることにあぐらをかき、無意識にナショナリスティックな報道をして知らん顔しているのが、この国の報道。

マジ頭悪すぎる。そのスキに本当の原因は見逃され、是正されないまま。このまま、仮定のままで外国人観光客に責任を押し付けて、ヘイトを煽って、一方で本当の原因を自分で知らずに作っているかもしれない人に注意喚起をせず、問題は拡大し続ける。その拡大をまた、観光大国化で増え続ける観光客のせいだと思わせる。誰得なの、これ？

もうヤダ、この国の報道。

こういうことやっても他のメディアはそれを批判、問題視すらしないし。結局会社員、業界員的な仲間意識強すぎる「会社員ジャーナリズム」がやってることは、中国の報道そっくりだよ。だが、中国のジャーナリズムを規制しているのは中国共産党の規制だ。だが日本は業界の仲間意識。最低だよ。あんな排他的な言論垂れ流したまんま知らん顔してるメディアに反吐が出る。