【ぶんぶくちゃいな】エチオピア機墜落事件「女子大生は二度死んだ」

3月10日、現地時間の午前8時30分(日本時間午後2時過ぎ)過ぎにエチオピアの首都アディスアベバの空港を飛び立ったエチオピア航空302便(ET302)が、離陸から6分後に墜落した。目撃者によると、飛行機は地面に衝突した後爆発を起こし、その結果、乗員乗客合わせて157人全員が亡くなった。

わたしはまず中国語と英語メディアを元にした報道でこの事件を知って、その後日本メディアではわざわざ第一報を確認しなかったのだが、たぶんきっと第一報では「日本人は搭乗していなかったということです」と付け加えられていただろう。

一方、残念なことに同機には中国人8人(香港人1人を含む)が搭乗しており、一般の中国人にとってそれほど親しみのある存在でもないエチオピアという国で彼らがなにをしていたのかに注目が集まった。

この墜落したボーイング737Max8機は昨年11月に初めて導入されたばかりの新品であること、また大変恐ろしいことに昨年10月末にインドネシアのライオン航空所有の同型機が、やはりジャカルタ空港を離陸してわずか13分後に墜落事故を起こしていたことと関連付けて報道され始めた。

インドネシアと米国の関連機関による共同事故調査委員会によると、ライオン航空機の事故の引き金となったのは、気流内での翼の角度を感知する迎角センサーに「インプットミス」が起こり、それが機体全体の機能不全を引き起こしたとされる。それを受けて、機体メーカーのボーイングを管轄する米国連邦航空局は昨年11月に各航空会社に対して同型モデル機の飛行マニュアルを書き換え、同様の事故が起きないように求める通告を行ったとされていた。

ボーイングの人気シリーズ737型機は現在Max7、Max8、Max9、Max10の4モデルが販売されており、ボーイングによると、目下のところ全シリーズ5011機を受注、すでに350機が引き渡されている。Max8型機は中型で燃費が良いため、主に廉価航空会社(LCC)に採用されているという。墜落したエチオピア航空とライオン航空はどちらもMax8モデルだった。

これを受けて航空業界にショックが走っている。中国メディア「財新網」によると、中国国内でも合計71機のB737 Maxシリーズが飛んでいるという。その内訳は、中国国際航空が14機、東方航空13機、南方航空16機、アモイ(厦門)航空9機、海南航空7機、山東航空6機、深セン航空5機、さらに広州市を拠点とするLCCの九元航空が1機所有している。中国民用航空局は事態が明らかになり始めた3月11日、真っ先にこれらの航空機の飛行一時休止を航空会社に通告。米連邦航空局とボーイングからの安全な飛行のための正式な通知を待つとした。

シンガポールも12日に同型機の運用と同国空港への海外からの飛来を一時中止。またオーストラリアも航空会社はB737 Maxシリーズは所有していないものの、海外航空会社が運営する同型機の飛来中止を宣言した。続けてインドが国内を行き交う11機のMax8の運行をストップ、韓国もLCCイースタジェットが所有する同型機8機の運行を取り止め、モンゴル、エチオピア、ブラジル、アルゼンチン、ケイマン、メキシコなどと次々と運行見合わせが広がった。

日本は? 

NHKの報道によると、現時点では日本の航空会社には同型機は導入されておらず、全日空が再来年から順次30機を導入する予定になっているだけだという。また、シンガポールと中国から同型機が乗り入れているが、前述したとおり、両国はすでに同型機の運用を停止しており、暫時日本に飛んでくることはないはずだ。

●「勇敢」な「一帯一路」の先駆者たち

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