【ぶんぶくちゃいな】「お父さんもおじいちゃんも支店長」発言にいきり立つ大人たち

「大きくなったら、ぼくは中国農業発展銀行の支店長になってお父さんの跡を継ぐ。ぼくのおじいちゃんは農業発展銀行の支店長だったし、お母さんも副支店長だ。だから、ぼくは我が家の家督を相続したい」

これは中国安徽省の小学校の授業で、「大きくなったら〇〇したい。だって◇◇だから」という文脈で文章を作るという課題に対するある生徒の回答である。あなたが先生なら、どんなふうにこの生徒を指導するだろうか。

まず、支店長では「跡を継ぐ」ことは無理。銀行オーナーなら「跡を継ぐ」ことは可能かもしれないが、支店長になっても「跡を継ぐ」ことにはならないし、だいたい中国農業発展銀行は国営銀行だから、当然「跡を継ぐ」とはいえない。

多分、この小学生は「跡を継ぐ」の意味がよくわかっていない。そこを先生は指摘して、その意味を教える必要があるだろう。

また、銀行の資産は「家督」ではないから、たとえ銀行の頭取に就任しても「家督を相続」することにはならない。そのところも彼はまだよくわかっていないのだろう。

こんな子どもたちを相手に毎日奮闘している先生は大変だろうが、第三者からすればなかなか微笑ましい光景でもある。

ただ気になったのは、なんで日常の授業の一コマが動画になってるのか?だった。さらになんでそれが我われ外部の人間の目にも触れる形でネットに流れているんだ?

この動画を引き合いにしているサイトのどこを探してもその疑問に対する答えは見つけられなかったが、このまっすぐカメラに向かって答えた生徒の動画は中国のネットで大論争を巻き起こした。

「支店長の『跡を継ぐ』だと?!」

「いったいどこの家の子供だ!」

「親は本当に支店長なのか?」

「祖父も父親も母親も支店長だ?」

筆者が気づいたときには、すでに中国農業発展銀行内部でも「各支店ですぐにこれがどの家の子どもかを調査し、本日(4月3日)の終業時にその調査結果を報告するように」との通知が本部から下りていると伝えられていた。

正直、年端もいかない子どもの、小学校での授業風景から国営銀行が上から下までこれほどの大騒ぎをする必要があるのか。だが、「事件」はある種の社会現象といえるほどの騒ぎに発展した。


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