【ぶんぶくちゃいな】「急げ、急げ、もっと急げ」…恒大グループ崩壊危機が意味するものは?

9月17日、ロイターやブルームバーグなどが一斉に資金難に陥っている不動産開発業者「中国恒大グループ」の取引銀行が、「貸倒引当金を設定したり、返済に猶予を与えたりしている」ことがわかったと伝えた。記事によると、同グループは3050億米ドル近くの負債を抱えており、関連銀行が同グループの資金繰り対応を始めたという情報は初めてだとしている。

続いて、18日午後に恒大グループ自ら、グループ及びその傘下の不動産会社の幹部ら計44人が手持ちの同社関連金融商品を期限前に売却し、現金化していたと明らかにした。うちグループのトップ管理層6人に対し、全額をすべて会社に返済するよう求め、ルール違反の期限前現金化を厳しく処罰すると発表している。しかし、その管理職とは誰なのか、またいかなる措置がとられるのかについては、同社の声明は明らかにしていない(ネットではすでに証拠書類付きであちこちで実名で流れている)。

これより先、9月10日に開かれた金融企業「恒大財富」に関するグループ会議の席で、恒大グループの創業者である許家印・董事会主席は、「幹部が期限より前に現金化したなどということはありえない。わたしが丸裸になっても、恒大財富の投資家を一文無しにさせるわけにはいかない」と強調していた。

だが同時に、グループが前代未聞の巨大な困難に直面していることも同主席は認めた。それでも、「会社の基本面は変わらず、全国で大量の優良な開発予定地や再開発プロジェクトを進めている事実は変わらない」とし、「工事や不動産開発の再開を進めて物件の引き渡しに最大の努力を注ぎ、できるだけ早く正常な経営を回復していきたい」と語った。

だが、9月14日にはグループの子会社2社が予定されていた第三者発行金融商品合計9.34億元(約159億円)の保証義務を果たせないことが明らかになる。また、香港で進めている香港の同社ビルの売却を進めているものの、予定期間内には完了しないことを明らかにした(内部情報によると、接触者はいるものの「提示価格が安すぎると主席が受け入れない」とのこと)。

恒大グループによると、今年6、7、8月期の不動産契約額はそれぞれ716.3億元(約1兆2200億円)、437.8億元(約7400億円)、380.8億元(約6500億円)と顕著な減少傾向にあるという。9月は一般に中国の不動産販売ハイシーズンだが、経営難のニュースがますます同グループを追い詰めることになるだろうと予想されている。

恒大グループといえば、わずか数年前までは人気サッカーチームを有し、人気サッカーチーム「レアル・マドリード」と提携したり、米経済誌「フォーブス」が選ぶ「世界トップ500企業」152位(2020年)にまでつけたという華々しいイメージが強い。また、許家印主席自身も中国の富豪ランキング上位の常連で、2017年には中国トップ富豪に選ばれたし、IT大手「阿里巴巴 Alibaba」(以下、アリババ)の馬雲(ジャック・マー)と常にランキングを争ってきた。

しかし、昨年9月、その恒大グループの債務危機が突然伝えられ、恒大に向けられる目が一変した。

●新エネ車造りの資金調達からわずか1年


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