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フランスとイギリスが模索する覇権回復

■過去の栄光
 フランスとイギリスは世界の中心だった歴史を持つ。だが国力を失い世界の中心になることは難しい。世界の中心とは、今の平和のルールを作る国。他の国は自国が作った平和に従う。

 今のフランスとイギリスは過去の栄光を取り戻そうとしている。フランスとイギリスはそのために軍隊を海外に派遣している。何故なら軍隊を派遣できる範囲が覇権になるからだ。

■国家区分
 世界の国は覇権国・保護国・属国に区分できる。これは国力や政治家の意志で変化し、時代が変わると地位も変わる場合がある。

覇権国:軍事力を背景とした外交を行う。
保護国:外交権と軍事権を覇権国に依存している。
属国 :覇権下の国。

国家戦略=外交×軍事

 国際社会では軍事を背景にした外交が基本。だから軍事力で劣る国は保護国か属国になる。もしくは軍事力が有っても政治家が意志を持たなければ保護国か属国になる。保護国と属国の地位は低く、覇権国の要求に従うだけ。

■国際社会のマナー
 白人世界では外国の戦争を悪用して火事場を行う国が在った。戦争後は火事場をした国は報復を受ける。すると報復された国が報復を行う。報復合戦で白人世界は疲弊。白人世界も馬鹿ではなく、経験から無駄な戦争を回避することを模索した。

 世界には常に強国が存在するから、強国が今の平和のルールを作る。そして強国が平和維持目的で各国に軍隊覇権派遣を要請すれば、要請を受けた国は軍隊を派遣することがマナーになった。

 軍隊派遣は自国が「火事場ではない」ことを示す意味であり、参加することで今の平和を認めることになった。これが集団的自衛権のルーツ。

 集団的自衛権で参加した国が信用されるのは、この様な理由が有る。だから軍隊を派遣しない国は火事場だと警戒される。そして自己中心的な国だと嫌われる。だが参加する国には権利が与えられる特典が有る。

 それは軍隊を派遣すると、後に外交の場で発言権が得られる。これは義務と権利の契約関係と同じで、参加することで外交発言を獲得する。だから各国は発言権を得るために軍隊を派遣する。

■フランスとイギリスの戦略
 フランスとイギリスは強国に戻りたい。だが今の強国はアメリカで、今の国力では挑戦権すら無い。そこで現実的なのは強国ではなく覇権国に戻ること。世界の中心ではないが、強国と肩を並べる国。これがフランスとイギリスが選んだ道。

 中国は別の道を選んだ。中国はアメリカに変わり強国になる道を選んだ。今の平和はアメリカに都合が良いルールだから、中国は平和の書き換えを目指している。だから中国とアメリカは対立する。

 フランスとイギリスは覇権国に戻るが、中国の様に今の平和を否定しない。つまりアメリカの平和を認めながら覇権国に戻る道を選んだ。それはアメリカが軍隊派遣を要請すれば、フランスとイギリスは軍隊を派遣する道。これならアメリカから敵視されることなく覇権国に戻れる。

■フランス空母はインド西部沖にいる
 アメリカはイランを攻撃するため空母打撃群をイランに向かわせている。偶然にもインド西部沖には、フランス海軍がインド海軍と合同軍事演習をするためにいる。しかも印仏合同軍事演習では過去最大規模で、フランス海軍の空母も参加している。

 偶然にも過去最大規模の艦隊戦力をインド西部沖に存在させ、偶然にも空母が参加している。仮にアメリカからイラン攻撃要請がフランスに有れば、フランス政府は即座に空母艦隊をペルシャ湾に派遣できる。

 フランスがアメリカの要請で空母艦隊をペルシャ湾に派遣することは、フランスの覇権がペルシャ湾に置かれることになる。しかもアメリカの平和を肯定するからアメリカから敵視されない。

 フランス政府には好都合で、軍隊を派遣するだけでフランスの覇権回復が可能になる。フランスも国際社会のマナーを知っているので、アメリカ政府から要請が有れば空母艦隊を派遣するだろう。

■漁夫の利
 フランスはアメリカの平和を認めているから中国のように敵視されない。フランスは苦々しい思いだとしても、覇権国に戻るには安全な道を選んだ。フランス単独で軍隊を派遣するとアメリカに警戒される。だがアメリカの要請で動けば安全に覇権回復できる。

 フランスはアメリカが軍隊を派遣している付近に展開し、多くの場合フランス海軍を参加させた。この地道な活動は全てフランスの栄光のため。フランスの政治家は栄光を追い求めているが、日本の政治家は栄光を求めていない様だ。

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