イランは濃縮ウランを交渉材料にした

■イランからの条件
 イランは低濃縮ウランの基準を破った。これは交渉材料にするか、核兵器を製造する高濃縮ウランへの道。イランは危機を煽ると同時に、濃縮ウランを交渉材料にした。交渉材料が無ければ作れば良い。イランは濃縮ウランを交渉材料に、ヨーロッパに対して譲歩を求めている。

核合意の「制限破り」撤回に条件 イラン、仏に書簡
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/核合意の「制限破り」撤回に条件-イラン、仏に書簡/ar-AAF05VJ

■交渉材料を作る
 イラン核合意はアメリカが一方的に離脱。さらにアメリカがイランに経済制裁を行ったことで、イランは交渉材料を持たなかった。アメリカから一方的に譲歩を求められ、交渉すら行えない。そこでイランは交渉材料を作り出すことで対応した。

コラム:イランの外交交渉
https://note.mu/war2600/n/n375a51d52ae8

 交渉材料が無いなら作れば良い。私は上記コラムで予測したが、イランは濃縮ウランを交渉材料にした。イランは意図的に低濃縮ウランの保有量を超えさせ、超えた量を交渉材料にしたのだ。

「外国と交渉するには交渉材料が必用。取引や譲歩にしても交渉材料が無ければ行えない。そこでイランは、濃縮ウランを用いて交渉材料を作っている可能生が有る。

 例えば、基準量は200kgだが全体で500kgを作った。この場合の超過量は300kg。この時交渉相手が、「超過量300kgを提出すれば経済制裁を解除する」と言う可能生が有る。」

 私は上記の様に予測した。現段階では予測は正しかった。イランはフランスに条件を伝えているが、これは間接的にアメリカへのメッセージだと思われる。何故なら直接アメリカへ伝えれば拒絶される可能性が有る。そこでフランスを中継すれば拒絶されにくい。

■選択肢
 イランは濃縮ウランを交渉材料にすることで選択肢が増えた。濃縮ウランの超過量を交渉材料にしたので、欧米は交渉に応じやすくなった。欧米が穏便に終わらせるなら好都合。濃縮ウランの超過量さえ無ければ核兵器保有の道を閉ざす。イランとしては核兵器保有の意思を持たないことを世界に宣伝でき、欧米はイランから核兵器への道を奪うことができる。

 イランが交渉材料を出すことで、双方が得をする選択肢になった。問題なのはトランプ大統領。トランプ大統領が拒絶すると穏便解決は不可能になる。

予測結果1:欧米はイランの条件を受け入れる。
予測結果2:ヨーロッパは受け入れるがアメリカは拒絶。
予測結果3:欧米は拒絶。

 今後の予測は三択。予測1は欧米がイランの条件を受け入れ、穏便解決の道になる。予測2は最も可能性が高い。ヨーロッパはイランの条件を受け入れアメリカが拒絶する。イランはヨーロッパと貿易をすることで生き残る。

 ヨーロッパはアメリカの覇権から抜け出し、ヨーロッパの覇権を擴大することが可能。だから予測2はヨーロッパが得る旨味が多い。これはイランとヨーロッパが望む結果だ。

 予測3は最悪の結果。この場合のホルムズ海峡はイランにより封鎖される。この選択はイランの瀬戸際外交になり、最悪の場合は戦争に擴大する。

■石油タンカー拿捕
 次の交渉材料は石油タンカー。イギリスとイランは石油タンカーをお互いに拿捕している。これは船員解放と石油タンカー解放の二つが条件になる。だから交渉材料が増えているので、交渉するなら濃縮ウランの交渉成功が鍵になる。

 何故なら濃縮ウランの交渉が成功すれば、イランとヨーロッパは貿易可能になる。すると石油タンカー拿捕も連動して貿易可能になる。イランの石油タンカーがシリアではなく、ヨーロッパに輸出するなら違反には該当しない。

 今回イギリスはシリア向け石油タンカーだから拿捕した。そこで濃縮ウラン交渉で貿易が可能になれば、シリア向け石油タンカーからヨーロッパ向けに変えれば輸出は正当になる。おそらくイランとヨーロッパは、水面下でこのことを交渉していると思われる。

■トランプ大統領が鍵
 イランが濃縮ウランを用いて交渉材料にした。見た目はイランが悪いが、イランが悪役になることで穏便解決の道を拓いたのだ。つまり見た目はイランの押し売りだが、中身はイランの譲歩。問題になるのはトランプ大統領。トランプ大統領がイランの条件を拒絶すれば長期化する。

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