世界は砂糖に群がる蟻の群れ

■本音と建前
 トランプ前大統領の時代は、急激に中国共産党とアメリカの対立が悪化した。トランプ前大統領は政治・経済・軍事で中国を包囲する動きを見せている。トランプ前大統領は、中国共産党によるチベット人・ウイグル人・香港人などへの人権弾圧を認識し、人権法を成立させた。

 さらにトランプ前大統領は、中国共産党員や中国企業への経済制裁を実行。さらにイギリス・フランス・ドイツ・オランダ・オーストラリアなどの軍隊を、日本付近に集める土台を作る。

 アメリカ海軍とイギリス海軍の空母打撃群が南シナ海を航行し、人民解放軍海軍から制海権を奪うことに成功している。だがトランプ前大統領はアメリカ大統領選挙で敗北し、バイデン大統領に変わる。

 バイデン大統領になると、建前では中国共産党との対立は継承した。だがトランプ前大統領が作った中国包囲網は崩れ、中国共産党との融和路線に変わり始めている。これでチベット人・ウイグル人・香港人への人権問題は、バイデン大統領は問題視しないことが明らかになり始めた。

■見た目は制裁
 バイデン大統領になっても、トランプ前大統領が作った反中国路線は受け継いでいる。実際に最近でも、中国企業への制裁は追加されている。ウイグル人への強制労働は人権を無視しているから、関わる中国企業を制裁対象にしているのは事実。

米、中国8社を投資禁止対象に追加へ ウイグル人監視巡り=FT
https://jp.reuters.com/article/usa-china-blacklist-idJPKBN2IU0C4

 だが、経済制裁で中国経済は困窮していないし、破綻した中国企業を聞いたことが無い。人権問題で中国共産党と対立している様に見えても、実際は迂回路や逃げ道が多いので無意味な状態。

 端的に言えば、「バイデン大統領は本気で中国と対立していない」ことは明らか。何故なら、外交は軍事を背景に行うのが国際社会の現実。バイデン大統領の外交を見ていると、軍事を見せないで外交だけで対応している。それどころか、段階的に中国共産党への軍事的圧力を減少させている。

 トランプ前大統領時代に、欧米軍を日本付近に集めることに成功。これは中国共産党への軍事的圧力になり、人民解放軍の軍事演習が減少。軍事演習は敵が居ないだけの戦闘で、継続的に行うことで。仮想敵国への恫喝になる。

 平時における軍事演習の増減は、軍事的には制空権・制海権の獲得だが、政治的には覇権争奪の道具になる。欧米軍の軍事演習が増加し、人民解放軍の軍事演習は減少。これは政治的に、中国共産党の覇権減少。

 ならば、覇権獲得を外交カードに使うのは政治の基本。南シナ海・東シナ海に欧米軍を展開させ、同時に中国共産党に対して人権問題で追い詰める。さらに中国共産党・中国企業への制裁を行えば、中国共産党は逃げ場を失う。はず、だった。

■中国共産党との融和路線
 核兵器は火力の権化。だがアメリカは、核軍縮で中国共産党との融和路線に切り替えている。真に中国共産党と対立するならば、南シナ海・東シナ海に軍隊を展開させ、強硬に譲歩を押し付ける。だがアメリカから、中国共産党に譲歩する動きを見せている。

米、中国との核軍縮対話「近く」始まると期待=国務省高官
https://jp.reuters.com/article/usa-china-nuclear-idJPKBN2IV2FV

 ウイグル人への強制労働が人権問題ならば、軍事を背景に外交を行うのが基本。そこで人権法案・経済制裁で圧力を加え、核兵器で脅すなら効果が有る。だがアメリカは融和路線だから、軍事から対話を選ぶと、中国共産党としては人権問題が除外されたことになる。

■外交ボイコットと全面ボイコット
 来年には北京冬季オリンピックが開催される。アメリカは外交ボイコットを宣言したのは事実。だが茶番であり、習近平には困らない。何故なら外交ボイコットは、選手は参加するが、全面ボイコットは選手が参加しない。

外交ボイコット:選手は参加する
全面ボイコット:選手は参加しない

 ボイコットだから習近平の面子が潰れると思うのは大間違い。アメリカは建前で外交ボイコットを使い、中国共産党に対して強気だと思わせた。実際は中国共産党への譲歩であり、選手を参加することで習近平の面子を保つようにした。

 真に習近平潰しが目的ならば、全面ボイコットを宣言。さらに軍事を背景に人権問題を宣伝させ、中国人テニスプレイヤー・ウイグル人への強制労働で騒いだはずだ。バイデン大統領を見ると、外交ボイコット後は、人権問題で中国共産党と対立する動きを見せていない。

■残された策
 金の力は偉大だ。中国共産党によるチベット人への人権問題が明らかにされても、世界は黙認した。ウイグル人への強制労働が明らかになっても、世界は中国経済との関わりを捨てない。

 中国共産党は金の力で親中派の育成に成功。人権問題が明らかになっても、世界の企業の多くがウイグル人への強制労働を知りつつ取引している。利益のためなら、人権問題な黙認する。だから金の力は偉大だ。

 人権問題から、ウイグル人への強制労働に関わる企業製品の不買運動が発生した。だが効果は無いに等しく、経営者の多くは安価で良質な原料が手に入れば良いのだ。これなら自社製品も利益が出る。だからウイグル人への強制労働で得た原料は金の成る木。ならば中国共産党との関係を止められない。

 そうなれば、不買運動では中国共産党と関係する企業は困らない。残された策は、ウイグル人への強制労働で得た原料を買う、経営者を人権の罪で訴えることだ。経営者の多くは不買運動を他人事としている。

 だが経営者が、人権の罪で訴えられたら?しかも直接人権の罪で訴えられたら、個人の名誉・印象・地位が低下する。さらに直接公の場で対応することになるので、精神的なダメージは大きい。

 今ではウイグル人への強制労働は認知された。だから世界で中国共産党への嫌悪感が増加した。世界の主要メディアは中国共産党に従うが、経営者は己が人権の罪で訴えられたらどうするだろう?

 中国共産党の金で反撃するのは明らかだが、人権の罪で裁かれるなら、秘密にはできない。必ず報道しなければならないから、経営者を直接訴えることは有効だと思われる。親分の目の前で子分を虐める。無視すれば、子分は親分を信用しない。

 親分が子分を助ければ、親分と子分の関係が明らかにされる。経営者は犯罪者として生きていないから、中国共産党が直接助けに入ると、ウイグル人への強制労働に直接関係することを世界に示す。だから、不買運動ではなく、経営者を裁判所に呼ぶ策が好ましい。

 起訴費用問題だが、チベット・ウイグル・香港などの団体が協力すれば?さらにクラウドファンディングで資金を集めれば?個人単位で起訴するのではなく、中国共産党と戦う団体が一つになり、経営者を起訴するなら実現性が高くなる。

私は貴方のサポートを待っています。