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J1第9節 vsFC東京 マッチレビュー 『首位に挑むということ』

こんにちは。わらびです。

まず、前節のマッチレビューを勝手にお休みさせて頂いた事をお詫び申し上げます。本当に時間が無くて....。また頑張ります。

さて、今節は首位FC東京と対戦した松本山雅。平成最後のJリーグ。味の素スタジアムでの一戦を振り返りましょう。

基本システム

まずは松本。前節と全く同じ11人でのスタート。ルヴァンはいつも通りの完全ターンオーバーだったので、コンディションは万全。のはず。

ベンチもドンミン→田中謙吾以外は変更無し。固定されてきた感のある面子だ。ルヴァン組の良アピールによる更なる競争に期待したい。


一方の東京。ルヴァンで室屋成が負傷。戦前の予想通り小川諒也が右へ、左は太田宏介が今季リーグ戦初先発となった。

CBはチャンヒョンスに代えて渡辺剛。中央大学卒のルーキー。期待の存在である。山梨学院大附属卒ということで大然の1つ先輩にあたる。

久保建英もスタメン復帰。筆者と同じ01年生まれで、他には松岡大起(鳥栖)、斉藤光毅(横浜FC)など。オリンピックで言えば2024パリ五輪世代にあたる。『高校生Jリーガー』として活躍する彼らが、5年後どのレベルに達しているのか楽しみでならない。

松本のボール保持と東京の狙い

3バックvs4バック、基本的にはズレが生じる噛み合わせである。まずは前半のそれぞれのボール保持の形を確認したい。

と言っても松本はいつも通り。基本システム通りの3-4-2-1でボールを持つ。『松本のCB3枚×東京の2トップ』という形になるが、東京はSHが前に出るやり方で対応してきた。

特に顕著だったのは右SHの久保。というより東はほぼ出てこなかった。久保が橋内に出て、右SBの小川が高橋をケアする。いわば対3バックの定番の形である。

数的同数になって行き詰まる松本のビルドアップ。ただし、大して困ることは無かった。何故なら繋がないから。

ここで1つデータを。今季ここまでのボール支配率の平均。松本の39.2%は、ダントツでリーグ最低の数字である(次点の広島は43.6%)。簡単に言えば、「ボールを持たない」チーム。そんなチームにとって、ビルドアップで数的同数を作られる事は問題ではない。この日の松本もいつも通り、ペレイラへのロングボールを起点として攻撃を作っていった。

東京のボール保持・流動性

続いて東京のボール保持。実はこのチームもあまりボールを持ちたがらない。長谷川健太監督の下で「ファストブレイク」を掲げ、『前で奪って素早く攻める』スタイルを志向する東京。こちらのボール支配率もここまで平均で44.8%と、リーグ4番目の少なさである。

そんな東京がどうボールを握るかは、この試合の流れを大きく左右したと思う。目に付いたいくつかの形を紹介したい。


まず1つ。ボランチ落としの形。

Jリーグでも定番となりつつあるこのシステム。高萩か橋本がCBの間に落ちることで、SBが高い位置を取りSHが絞る。

ここで厄介なのは両SH。久保と東。松本側が捕まえにくいハーフスペースを基本として、とにかく自由。東なんか右まで流れる事もしばしば。このポジションに中で仕事が出来るこの2人を起用している効果はここか。システムを数字で表すとすれば、「3-3-2-2」のような感じになる。久保と東がインテリオールのように振る舞うことで、松本の守備陣に常に判断を迫らせていた。


続いて、シンプルな4-4-2の形。

噛み合わないのならそのまま攻めるべし。SHが外で仕事をする。ただし、これは松本としても想定内の形。ボールサイドのWBが前に出る『擬似的4バック』とでも言うような形で対応した。これは松本が対4バックでよくやる方法。逆サイドのシャドーが落ちて、ハッキリと4-4-2のようになる形も多かった。


そしてラスト。

東京のボランチは、縦関係になりがちである。明確な役割分けは無いようだが、主に橋本が落ちて高萩が前に出る。4-4-2の状態から高萩が前に出た4-1-3-2のような形が厄介だった。

相変わらず厄介なのは両SH。高萩を中心として2列目に3枚並ぶ事で、松本の2ボランチに対して数的優位を作ってしまった。押し込まれればSBも上がってくるので、シャドーがボランチ脇をケアせざるを得ない状況に。これがキツい。


以上3つを織り交ぜて押し込んで来た前半の東京。しかし、中々ゴールに迫るシーンは作り出せない。「塩試合量産機」こと松本の守備陣相手に苦戦したまま折り返しか。と思われた44分。永井謙佑のゴールで東京が先制する。

一瞬の隙

当ブログでは珍しく、ゴールシーンを詳しく扱ってみる。

まずこのシーン。東京がかなり押し込んでいるところから始まる。東は右まで流れているし、高萩も割と高い位置。

ここで、カウンターのチャンスを手にするのは松本。良い形でボールを奪ってカウンター。になりかけた所で、渡辺の良いディフェンスが入る。

渡辺のディフェンスの後、高萩とパウロでつつき合って久保が回収するのだが、この時ボランチのと後ろの間にスペースが生まれていた。カウンターに行こうとしていたのもあるし、宮阪が簡単に交わされてしまったのもある。これが良くなかった。

当然フリーで運ぶ久保。選択肢としてはシュートもあっただろう。この状況について永井のコメントがこちら。

永井謙佑「渡辺選手がボールを奪ったあとに、久保選手がボールを持った。パスが来なくても自分が動き出すことで久保選手がシュートを打つこともできると思ったので、2つのパターンを想定して準備していた。」

久保にあの形を作られた時点でアウトだったような気がする。勿論永井の抜け方は流石だったし、今井の対応にも問題はあった。が、一瞬の隙をついてバイタルに侵入した久保のプレーが素晴らしかったように感じる。

シャドーの人選

1点ビハインドで迎えた後半。基本的にやる事は変えずにスタートした。気がする。

多少オープンな展開になって迎えた60分、2枚替えに踏み切る。実はこの交代の早さは結構珍しい。

「soccerD.B.」に『平均交代時間』というデータがある。その監督が平均して何分に交代枠を使っているかというデータだ。ここまで9試合、我らが反町康治の『平均交代時間』は76.6分。川崎・鬼木監督と並んでトップタイの遅さである。

そんな監督の60分での2枚替え。シャドーの2枚を入れ替えてきた。投入されたのは杉本太郎と永井龍。点を取る交代カードである。

シャドー・永井龍は第7節湘南戦で見せた形。これについてはそのレビューで触れているのでこちらも是非。

この2人の出来について感じ方は色々あると思う。監督コメントを引用する。

反町監督「攻撃面については途中から湘南戦と同じような形になりましたけど、そこで活性化されたということもあって同時に投入しました。当然ながらリズムは変わるのは当たり前なんですけど、それが決定打に繋がったかというとそうでもないと。」

永井も杉本も、決定的な仕事が出来るタイプである。求められるのはペナ内での働き。まだまだ足りないとも感じる。

が、ここ数試合この2人が途中交代で存在感を示しているのも事実である。中美や大然の仕事ぶりに不満は無いが、満足はしていない。次節以降のシャドーの人選に注目したい。

久保建英が巧い話

17歳。筆者と同い年.....。

ここまで散々書いて来たが、この試合最も松本を苦しめたのはなんと言っても東京の両SHである。東慶悟と久保建英。ゲームメイク型の2人が外でも中でもバランスよく絡んでくる。このスタイルが首位東京の生命線である。

右SHの久保は17歳。彼を知らないサッカーファンはいない。将来を嘱望された逸材である。

本当に「巧い」。ボールタッチの「上手さ」は相変わらず。だが、それ以上に試合を読んで戦う「巧さ」を感じさせた。

去就については色々話が出ているが、個人的にはもう少しJで見たい。今季いっぱいぐらいは東京に居ても...。今季いっぱい居てくれるのなら東京を優勝候補にあげたいところだ。

雑感

負けました。完敗ですね。今季負け無しは伊達じゃないです。強いです。

松本としては受け取り方の難しい試合となってしまいました。ただ、これで4月は2勝1分2敗。まずまずの出来ではないでしょうか。

ルヴァンで中々に良い試合を見せた事もあり、若手の台頭にも期待が掛かります。まずはベンチ入りを目指して頑張って欲しいところです。

セレッソ戦へ向けて

毎回、ここで次節の戦前情報を軽く紹介していました。が、ここの役割はTwitterに切り替えたいと思います。その方が直前に公開出来ますし。

将来的にはプレビュー記事も上げれたりすると良いんですけどね。今の状況では時間が圧倒的に足りてないです...。

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今回は以上です。意識的に図解を増やしてみました。いかがだったでしょうか。

令和最初の試合はセレッソを迎えての試合です。柿谷のスーパーボレーに泣いた16年の初対戦もGWでしたね。あれの再来は避けたいところ。

それでは今回はこの辺で。最後までお読みいただきありがとうございました。



《データ参照・コメント引用元》

「松本山雅FC公式HP-試合詳細」( https://www.yamaga-fc.com/match/detail/2019-j1-match9 )

「FC東京公式HP-試合結果」( https://www.fctokyo.co.jp/game/2019042802 )

「soccerD.B.」( https://soccer-db.net )

「Football-LAB」( http://www.football-lab.jp )








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