J1第6節 vs神戸 マッチレビュー 『松本に訪れた春  「らしさ」で掴んだ勝ち点3』

こんにちは。

レビューを書き始めたこのタイミングで、小松蓮(金沢)が今季3点目。嬉しいですね。これからの活躍にも期待です。と、いきなり話が脱線してしまいました。レビュー行きますか。

3月のリーグ戦を1勝3敗で終えた松本山雅。公式戦4連敗と厳しい状況の中で、今節はホームにヴィッセル神戸を迎えました。

ヴィッセル神戸といえばあの方々。イニエスタやらポドルスキやらビジャやら世界のビッグスターを集めている事で話題のチームです。今季は開幕でセレッソに敗れたものの、ここまでの1ヶ月強を総じて見れば良いスタートを切ったと言えるでしょう。前節はガンバとの壮絶な打ち合いを制し、勢いを持ってアルウィンに乗り込んできました。

公式戦4連敗中の松本と、公式戦6戦負け無し(リーグ:3勝1分 ルヴァン:2分)の神戸。今節J1で最も遅く始まった一戦。ゆっくりじっくり振り返りましょう。

基本システム

まずはホーム松本。連敗中という事もあり、前節から2枚を変更。シャドーの一角に入った中美慶哉、CBに入った飯田真輝は共に今季リーグ戦初先発。前節デビューとなったペレイラも引き続きスタメン。

一方、スタメンを外れたセルジーニョ、エドゥアルドはメンバー外に。ベンチ入り争いにもかなりの競争が起こっている事が伺える。怪我人が多発している状況で、これだけの競争が発生しているのは好評価できるのでは。

アウェイの神戸。前節からの変更は1枚。ポドルスキに代わって、タマこと三田啓貴が右WGに入る。メンバー外となったポドルスキはもも裏に違和感ありとの事。そしてウェリントンが今季初のメンバー入りとなった。これが厄介だったのは後ほど。

古橋亨梧、大崎玲央の『J2が育てた組』もいつも通りスタメン入り。古橋なんて去年のGWには飯田真輝から掻っ攫って長良川で点取ってたのだが。大出世である。

松本のシンプルな狙い

前節、ガンバ大阪と壮絶な打ち合いを演じた神戸。結果として4-3で劇的な勝利を手にした一方で、チームの大きな弱点を露呈することにもなってしまった。対カウンターの弱さである。

G大阪戦で初スタメンとなったセルジ・サンペール。山口蛍とイニエスタの後ろ、アンカーのポジションでプレーした。攻撃面ではある程度の存在感を発揮したが、守備面には問題あり。どうやら機動力に難ありらしく、攻→守のトランジションでは脆さを見せた。「山口蛍との2ボランチのがいいのでは....」といった意見もチラホラ。

また、チーム全体の切り替えの遅さも指摘されていた。押し込んでボールを握る事をスタイルとする戦術に対して、ネガトラの遅さは致命的。同じようなスタイルを志向する川崎が、ネガトラの速さを生命線としている事からも明らか。

こうなると松本の狙いはただ1つ、奪ってからの素早いカウンターである。特に狙うのはDFラインの後ろ。押し込まれているという事はそこには広大なスペースが広がっている。『DFライン裏のスペースを愛する男』こと前田大然にはもってこいのシチュエーションだ。

いつも以上に裏への意識が強い松本。1点目のFK獲得へ繋がったプレーはその典型例。

自陣ペナ角付近で守田からのパスを受ける高橋諒。簡単に蛍を外すと素早く前を向き、CB-SB間を通しSB裏を突くお手本のようなスルーパスを見せた。結果としてこの流れから手にしたFKで先制。狙い通りの形だったのでは。


反町流『11人全員撤退守備』

この試合、松本のボール支配率は32.7%。押し込まれる展開になるのは予想通りで、この数字も想定内である。2点を先行した事で後半は全く想定外の流れになったが、それは後ほど。ここでは前半の神戸に対する守備対応について触れたい。

この形になる事が非常に多かった。ような気がする。

まずは3トップ。3バックと『1vs1×3』の状況が発生するのは自然なこと。

次に両SB。左の初瀬亮は高い位置を取ることが多く、隼磨が捕まえる時間が長かった。右の西大伍は相変わらず嫌な位置取り。ただ、高橋と中美で上手く受け渡せていたような気がする。

2シャドーの過労働っぷりは相変わらず。前述の通りSBをケアする事もあれば、中の数的優位確保に回る事もしばしば。ブラック企業として訴えられてもおかしくない労働量である。

そして特筆すべきはペレイラの位置取り。松本の1トップといえば1人寂しく最前線に残っている形が多かったが、彼は割と落ちてくる。彼自身のプレースタイルなのか、川崎・神戸とポゼッションを志向する2チームに対しての戦術なのかは不明。ただし、この試合ではこれが非常に効いていた。

図を見て頂ければ分かる通り、ペレイラはアンカーに入るサンペールのところに蓋をする。こうする事で、2シャドーはSBのケアにも行きやすくなり、ボランチ2枚もイニエスタ・山口のIHに集中出来る。

考えれば考えるほど、反町流の神戸対策に思えてきた。『まだ完全にフィットしていないブラジリアンにここまで守備戦術を仕込むか?』と思ったが、あの反町康治である。やって当然ぐらいで仕込んで来そうだ。

ただしこの形には欠点もある。ペレイラがこの位置という事は、当然前には誰もいない。川崎戦ではここに苦労した。前に人が居ないから繋ぐしかない。が、川崎相手にそれは無茶だった。ボールを奪っても無限に回収される、vs川崎における定番の苦しみ方をしてしまった訳である。

ただし今節は違った。まず第一に、神戸は川崎ほどガツガツ来ない。多少ゆとりを持って奪ったボールをマイボールにする事が出来た。そして、シンプルにDFラインの裏に蹴る機会が増えた。これは前述の通りである。となれば、ペレイラのあの位置取りも可能になる。

こうして反町康治流『11人全員撤退守備』が完成したのだ。

質的優位に頼り過ぎた神戸

前述の通り、11人でキッチリ守る松本。神戸は中々ゴールを脅かす所まで行けない。こうなると神戸に必要となるのは、『変化』である。

両SBが高い位置を取ると、5トップのような格好になる神戸。ただし松本も5バックである。普通にやれば常に数的同数。勿論、個の質には差があるので、質的優位で殴る事も出来たかもしれない。ただ、この試合では出来なかった。サイドの攻防では初瀬にも西にも自由を与えなかったし、中央では1人1人の我慢強い対応と飯田真輝を中心としたラインコントロールが冴え渡っていた。これに関しては松本の選手を褒めるしかない。大拍手である。神戸としては、質的優位で殴れないならば、数的優位を作るしかない。

ここが上手くいかなかった。というより、質的優位に頼り過ぎてしまった。ように見えた。中盤3枚でボールを持ち、前5枚がそれぞれの動き出しでボールを引き出そうとするが、その関係だけ。シンプルに中盤が裏に飛び出したりすれば面白かったような気するが、それもほぼ無し。神戸としてはオフェンスの完成度に課題を残した形となった。

戦術・ウェリントン

2点ビハインドで後半を迎えた神戸。当然何らかの変化が必要である。

この変化について、我らが反町康治が非常に端的でわかりやすい表現をしていたので引用する。

「神戸も後半は全く違うスタイルでやってきて、どこのチームも理想と現実とを踏まえて必死なんだなと感じました。我々はそれ以上に必死にやらないといけないと学ばされたゲームでもありました。ウェリントンが出てきたことで、まるで当時彼が在籍していたときのアビスパ福岡さんと試合をしているみたいでしたね(笑)。 」                 ( https://www.yamaga-fc.com/match/detail/2019-j1-match6 より)

全く容赦の無い男である。バルセロナを目指して楽天が何十億も注ぎ込んだクラブを、J2クラブに例えてしまった。

本題に戻ろう。神戸は後半立ち上がりから、シンプルにウェリントンの強さを活かすサッカーに変えてきた。プライドを捨てて、我々の土俵に入って来たとも言える。それも露骨に。

我々の土俵に入って来たことで、守りやすくなるのでは。そう感じた方も多いと思う。筆者もそう感じた1人だ。ただ、そう上手くはいかなかった。

まず、この日の3バックは『松本らしくない面子』だった。開幕からエドゥ・橋内・服部の「ディフェンスリーダーを巨人で挟む」システムだったが、この日は橋内・飯田・今井の「巨人を俊足で挟むシステム」。J有数のフィジカルモンスター・ウェリントンを抑えるには些か不安な面子だった。失点シーンも『ウェリントンvs今井智基』というミスマッチから。

そしてもう1つ。神戸の両サイドからとにかく良いクロスが上がる。右から西大伍・古橋亨梧が、左から田中順也・初瀬亮が、とにかくクロスを上げまくるのだ。その真ん中にはウェリントン。厄介の極みである。

こうして流れを持っていかれた松本。今季最も長く感じる45分であったのは間違いない。

高橋諒の存在感と強み

結果として決勝点となった2点目。飯田真輝ドンピシャのクロスを上げたのは、左WBの高橋諒。今季ここまでリーグ全試合でスタメン出場中。2.3月のチーム内MVP(ファン投票)にも選ばれた。

中高は名門・国見育ち。ちなみに高校時は柴田隆太郎の一個下、下川陽太の二個上である。卒業後は明治大学に進学。代表常連となった室屋成との両翼が存在感を発揮した。明治での同期は和泉竜司(名古屋)、瀬川祐輔(柏)、山越康平(大宮)など。中々に豪華な世代である。

大学卒業後は名古屋グランパスへ加入。小倉体制下でルーキーながら10試合に先発するも、チームはJ2降格。翌年、風間八宏体制になって出番を失ってしまった。17年夏に湘南に移籍し、1年半で16試合出場2ゴール。18年鳥栖戦で決めたシャレオツなヒールは話題となったので憶えている方も多いのでは。

彼の特徴は両足の精度。キックだけでなくドリブルにその精度が表れるのが特筆すべき点だろう。名古屋加入時のインタビューでこんな事を語っていた。

「ドリブルの時によく右足を使うので、あまり左利きっぽくないと言われるのですが、キックの精度が高いのは左です。」( https://www.soccer-king.jp/sk_column/article/393177.html より)

本当に右利きのような独特の持ち方をする。あれは相手ディフェンスもやりづらいだろう。

第2節大分戦の永井のゴールも高橋のクロスからなので、リーグ全4ゴールの内2ゴールに絡んでいることに。彼の両足から更なるアシストが、そしてゴールが生まれる事に期待したい。

中美慶哉のゴールが見たい話

加入2年目の中美。昨季はシャドーで22試合に出場するも先発は7試合に留まり、ノーゴールに終わっていた。今季はルヴァン杯で左WBとして先発。新境地を見出しつつある。そんな中で今節はシャドーでリーグ初先発。

相変わらず良いフィジカルを持っている。簡単に当たり負けない強さは、他のシャドー陣にはない持ち味。走行距離もこの試合トップ。あとは得点だけ。最初の1点が来ればケチャップの如くドバドバと取ってくれる気がする。気がするだけで根拠は無いが。

高橋諒が大活躍中とはいえ左WBの層が薄い事実に変わりはないし、得点力不足も相変わらずの課題である。彼の覚醒を待ち望んでいるファンも多いのでは。勿論、筆者もその1人である。

雑感

勝ちました。嬉しいです。以上。

本当にこれだけですね。判定がどうこうなんて知りません。いやまぁ気になりはしますが。勝った事実に変わりはないのでね。手放しで喜んで良いかと思いますよ。

個人的にすごく大事な一戦であると位置付けていました。理由を聞かれても困りますが。ここで負けるとメンタル的に辛いものがあったなと。勝てたから言える話ですね(笑)。

湘南戦へ向けて

また厳しい試合になりそうです。アウェイでの湘南ベルマーレ戦。リーグ戦ではこれまで8戦やって4分4敗。過去5試合以上対戦したチームで勝ちが無いのは湘南だけ

なんとしても連勝が欲しいこの状況。アウェイとはいえ、今節同様「らしさ」を見せ付けて勝ち点3を掴みとりたいところです。

ルヴァンもあるよ

水曜日にはルヴァンもあります。磐田をホームに迎えてのゲーム。

リーグの方に大きくメンバーの変更があったので、こちらも前2試合とは違うチームになることが想定されます。ここでアピールに成功した選手がリーグでチャンスを手にしているのを見ると、また熱い試合が期待できそうです。

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今回は以上です。かなりのボリュームとなってしまいました。文字だらけのつまらないレビューとなってしまった事をお詫び申し上げます。

もっと図解みたいのを増やせれば良いんですけどね。ボチボチ頑張ります。

それではこの辺で。最後までお読み頂きありがとうございました。





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わらび

松本山雅FC[2019]

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