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日本美術はロックとともに!奇想の絵師を楽しむためのプレイリスト

みなさんこんにちは。今話題のバンクシーをついついバクシーシと言い間違えてしまい、若いスタッフの失笑をかっているセバスチャン高木です。のっけからそんな間違いをするやつの日本美術談義なんて聞きたくないとお思いのみなさん、ジャスタモーメンツ。あと10行だけでも後生ですからおつきあいください。

だって、私、15年以上和樂の編集をしておりましたが、日本美術の専門家ではないんです。では何者かというと、普通の大学を卒業し、コミックの編集を志望していたのにファッション誌に配属され、その後和樂に異動したサラリーマン編集者なんです。

ですが、日本美術や日本文化をテーマとする雑誌の編集者として心がけていることがあります。それは、日本美術の専門家ではなく、日本美術を楽しむための専門家であろうということです。

北斎はニルヴァーナとともに

もちろん、日本美術の展覧会でイヤホンガイドを聞きながら鑑賞することはすごく楽しいことです。ですが、日本美術の楽しみ方はもっといろいろあっていいよね。その楽しみ方の一つが、美術展を好きな音楽を聴きながら観てみない?という提案です。

たとえば世界で一番名前が知られている日本人とも言われる葛飾北斎。彼の絵を観るとき、私はニルヴァーナを聴きながら、もちろん音量は控えめにしてですよ、楽しんでいます。

北斎の富士山の絵や、滝の絵、最晩年の90歳のころに描いた肉筆などを名曲「Smells Like Teen Spirit」とともに観ると、なんかまったく違うものに見えてくるんですよ。

天才の名をほしいままにしながら若くして自ら命を絶ったカート・コバーン,一方北斎は90歳でこの世を去るまで「あと5年あれば真の絵師になれるのに」と言い、生き続け描き続けることにこだわりました。まったく正反対のように思われる二人の天才ですが、その底にある狂気には共通するものがあり、狂気と狂気がぶつかりあって北斎の絵の新たな一面が浮かび上がってくるように思えるのです。

▼ Nirvana - Smells Like Teen Spirit

▼葛飾北斎


奇想の絵師たちの名作はこの音楽で!

上野の東京都美術館ではじまった、今年最強の展覧会とも目される「奇想の系譜展」。近年ブームとなった江戸絵画を牽引する8人の絵師の名作がこれでもか!とばかりに展観されています。これらの名作、私ならどんな曲を聴きながら見たいかな?と思い、そのプレイリストを王道中の王道から作ってみました。

1.伊藤若冲×クイーン「ボヘミアン・ラプソディ」

奇想の絵師の代表格である伊藤若冲。あらゆるテクニックを駆使し、まったく新しい江戸絵画の世界を私たちに見せてくれる若冲は、映画の大ヒットで再注目を集めるクイーンの代表作「ボヘミアン・ラプソディ」 。ロックとオペラを融合したサイケデリックな曲は、若冲の代表作である動植綵絵(どうしょくさいえ)に通ずるところがあります。

▼Queen - Bohemian Rhapsody (Official Video)

▼伊藤若冲 動植綵絵(どうしょくさいえ)

2.歌川国芳×セックス・ピストルズ「アナーキー・イン・ザ・U.K.」

風刺画で庶民から大人気の絵師歌川国芳は、絶えず当局からマークされ始末書を書きつつも反抗の姿勢をつらぬきました。その姿はまるで国や企業に反抗的な歌を歌い続けたセックス・ピストルズのよう。曲は「アナーキー・イン・ザ・U.K.」しかないでしょう。

▼Sex Pistols - Anarchy In The UK

▼歌川国芳

3.白隠慧鶴×ボブ・ディラン「ライク・ア・ローリング・ストーンズ」

ユーモラスで軽妙な書画を書き続けた禅僧白隠慧鶴(はくいんえかく)。決して超絶にうまいわけではないのに心を打つ絵の数々は、日本美術界のボブ・ディラン。70代、80代まで仏の教えを伝え続けたその姿がローリングストーンズ!

▼Bob Dylan - Like A Rolling Stone

▼白隠慧鶴

4.岩佐又兵衛×プライマル・スクリーム「ROCKS」

戦国大名の子として生まれながら数奇な人生を辿った岩佐又兵衛の絵は妖気がムンムン、絢爛にして野卑(和樂2月号より)。これはプライマル・スクリームしかいないでしょう。代表曲「ROCKS」は隠語で野卑な言葉を叫びながら、その姿には高貴ささえ感じてしまいます。又兵衛の「山中常磐絵巻」にぴったりです。

▼Primal Scream - Rocks

▼岩佐又兵衛

5.曾我蕭白×ステッペンウルフ「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」

水死体のように青ざめて腹を出した仙人が美人に耳垢をとらせる。あまりにワイルドすぎる絵を描いた曾我簫白(そがしょうはく)は、ザ・ナックとともに世界有数の一発屋として知られるステッペン・ウルフ(実際は全然一発屋じゃないんですよね)の「ボーン・トゥ・ビー・ワイルド」。仙人がハーレーに乗って出てきそうです。

▼Steppenwolf - Born To Be Wild

▼曾我簫白(そがしょうはく)

6.狩野山雪×オアシス「ホワットエヴァー」

桃山を席巻した狩野永徳の流れを汲みながら異端への道を進んだ山雪(さんせつ)は、正統派ブリティッシュロックの後継者でありながら自由すぎて話題をまきちらすオアシスでいかがでしょう。江戸に行った狩野派と常にくらべられるところも、常にブラーと比較されるオアシスにそっくり。

▼Oasis - Whatever

▼狩野山雪

7.長沢蘆雪×ディープパープル「ハイウェイ・スター」

円山応挙に比肩する才能を持ちながら、破天荒に生き、最後は大坂で毒殺されたと言われる長沢蘆雪。その人生は「高速道路の星」!です。あ、ディープパープルは2018年50周年を迎えて、蘆雪の人生より長いバンド人生を送っています。

▼Deep Purple - Highway Star

▼長沢蘆雪

8.鈴木其一×U2「ゲット・アウト・オブ・ユア・オウン・ウェイ」

さて、最後は江戸絵画のオシャレ番長其一(きいつ)です。師匠の酒井抱一(さかいほういつ)とともに江戸琳派の中心的存在を担った其一の絵は、琳派の優美さを継承しつつ斬新でモダン。ここはロック界のオシャレ番長、いや、私にとってはですよ、U2にご登場いただきましょう。曲は「ゲット・アウト・オブ・ユア・オウン・ウェイ」。師匠抱一の殻、琳派の殻、自分の殻を破った其一に捧げます。

▼U2 - Get Out Of Your Own Way

▼鈴木其一

奇想の絵師たちの名作を楽しむためのプレイリストいかがでしたか?みなさんもぜひ、ご自身のプレイリストで楽しんでみてくださいね。ふぅ、音楽の勉強もっとしなくては!

奇想の絵師たちの名作を観ながら聴きたいプレイリストは下記のURLからどうぞ。
https://open.spotify.com/user/ydrbbhdizj59xq4e6nit32a3i/playlist/7jeztBWmeKNWcfGOgy56PL?si=P1889GIoRtiiSSizac4vVg







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和樂web編集部

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セバスチャン高木の編集後記

雑誌を卒業し、50前にしてウェブメディアと商品開発担当となった編集長のセバスチャン高木が暑苦しく編集後記やつぶやきを更新します。
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