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不思議なスコアの正確な位置 ~2018.11.3 ラグビー日本代表対オールブラックス戦の個人的雑感~

まずはラグビー日本代表の健闘を称えようではないか。なんと、2016年以降でオールブラックスから30点以上取ったチームは3つしかないのだ(✳16年11月対アイルランド・●36ー40、17年8月対豪州・○54ー34点、18年9月対南アフリカ・●34ー36点)。トライを取るだけで一苦労のオールブラックスから、奪った数はなんと5本。これは大いなる成果と言えるだろう。

だが、その一方で大いに反省しなければならない。オールブラックスから69もの失点を喫した。同じくこれほどやられたチームは2つしかない(16年11月対イタリア・○68ー10、対サモア・○78ー0)。

さて、このスコアを一体全体、どう評価すれば良いのだろうか?
各種報道からファンの呟きに至るまで、このゲームの評価は真っ二つに分かれている。「よくやった!」と「全然ダメ!」がこれほど共存する試合というのも、当方のラグビーファン生活において初めての経験である。

なぜここまで評価の軸がぶれるのだろうか? 理由を挙げるならば、現在の日本代表を「強い(強かった)」と捉えているか、「弱い(もっと強くすべき)」と捉えているかの差だと考えている。
前者の立場ならば「エディ時代のようなティア1へのジャイキリがまだ無い」というところに収束するだろう。確かに、ウェールズやイタリアの撃破、マオリ・オールブラックスとの接戦は「日本代表が進化している!」というのを分かりやすく伝えてくれた側面がある。しかも、会場は日本国内だ。それらと比較すると、ジェイミージャパンはまだホームで結果を残していない(アウェーでは頑張っているのだが、いかんせん次のワールドカップは…)。また、今回のオールブラックス戦は若手主体のメンバーだったこともあり、「接戦に持ち込むチャンスがあったのでは?」という側面も不満を増殖させる一因となっている。

一方で、この試合を評価する見方は「日本代表はまだまだである」という立ち位置にあるのではないだろうか? 長い目で見れば、95年や11年W杯の惨敗、完敗を大きく乗り越える内容である。また、13年のテストマッチでは1トライも奪えなかった。それと比べれば…ということである。

以上を踏まえた上で、僕はこの試合をどう評価しているか。改めてスコアボードを見ながら考えてみた。
そこで気がついたことがひとつある。「ずいぶん落ち着きの無い試合だ」と。
そりゃそうだ。両チーム合わせて15トライ。日本がラッキーな先制トライを奪えば、オールブラックスも殴り返す。でも、こっちだってやれヘンリーやらラファエレやらが派手に奪う。ならば相手も…そんな時間が80分間続いた。

ゲームの中でスコアが10分以上動かない時間がどれくらいあったか。この試合の場合だと、なんと「後半30分のラファエレのトライ以降」しか無かったのである。7ー83で負けた11年W杯でも後半22分から37分の間で15分間の小休止があったのに。試合終了後にどっと疲れてしまったのは、この目まぐるしい展開が原因だったんだな!

そう、日本代表もオールブラックスも、80分間全力で戦ったのだ。そして、少なくとも後者が80分間休まずに、パンチを繰り出してくれたのはこの試合が初めてだったのでは? と思うのである。
試合中に力の差が歴然とすると、強いものは力を入れずに戦う時間帯もある。だが、緊張感が維持され続ければ、手を抜いて戦うことはない。
スコアが示す通り、日本代表とオールブラックスには歴然とした差があった。だが、スコアボードがどのように得点を刻んでいったのかを振り返れば、オールブラックスは日本代表を舐めていなかった、と結論付けることもできるだろう。

なので、僕の評価は下記の通りだ。この試合におけるゲームプランやらの細かい戦法部分での評価は低い。欧州遠征に向けて速やかに修正しなければならない。でも、日本代表が積み重ねて来た評価は、間違いなくここ数十年では最も高い。その点は卑下することはない。そして、この積み重ねを崩さないためにも、目の前の試合がやっぱり大事になってくる、ということだ

どうもです。このサポートの力を僕の馬券術でウン倍にしてやるぜ(してやるとは言っていない)