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歯科医院の人手不足問題

はじめまして、ワラッテ歯科衛生士トレーニングアカデミー 歯科衛生士のNORIKOです。
昭和、平成、令和と、多くの歯科医院を見てきました。
気がつけば、先生方より年上になってしまいました。笑

現在、未経験の歯科助手さんに向けて、「歯科助手応援チャンネル」なるyoutube
チャンネルを開設しています。
なんで、こんなチャンネルを始めたのかと言ったら、

*人手不足だから、未経験でもいいから、採用する!
*採用したけど、人手不足だから新人教育は、できない。
*「見て覚えて!」とか、「歯科は、同じことの繰り返しだから・・・」と、ざっくりとした説明しかしない。
*  新人は、わからないことを、質問すると、「この前、教えたよね。」と、放り出される。
*他のスタッフは、自分で動いた方が早いから、教えない。
*「教える時間がありません。」が、常套句。
*歯科医院の人間関係に疲弊し、辞めていく。
こんな状況を何とかしたいと、思ったからです。

結局、採用しても新人教育をする余裕がないから、新人は仕事を覚える前に、ストレスを抱えて、辞めていくことの繰り返しになります。
常に人手不足だから、スタッフも疲れて、ギスギスして、いらぬトラブルが起きたりして、ちっとも楽しくない職場となります。

笑顔のないスタッフのいる歯科医院に、患者さんは寄ってきません。
都内の歯科医院の乱立する地域でも、予約は2週間待ちなんて、驚くような歯科医院は、あります。
そんな歯科医院を観察すると、スタッフは皆んな笑顔で、長く勤務しています。
一旦辞めても、戻ってきます。

2024年は、新人教育のお役に立てるような情報を、ドンドン発信していきます。
youtubeチャンネルはもちろんのこと、このnoteも参考にして、
スタッフの手を煩わすことなく、新人教育をして頂きたいと思っています。
2024年は、人手不足問題に、ピリオドを打ちましょう!



求人広告を出す前に、スタッフと確認すること

必要なのは、どんな仕事をしてくれる人なのか?

新人スタッフを採用しようと、院長先生が決めたところまでは、良いのですが、
どんな仕事をしてくれるスタッフが必要なのかが、院長先生と現場のスタッフで考え方が違うことが、よくあります。
先生は、「歯科衛生士、歯科衛生士!」と、歯科衛生士採用に乗り出します。
ところが、スタッフにしてみたら、
細かい雑用をこなしてくれるスタッフが欲しい・・・と、思っていたりします。
極端なことを言えば、洗浄消毒滅菌さえ、やってくれる人がいたらいいとか。

こんなふうに書くと、歯科衛生士は雑用をしないように感じるかもしれませんが、
そう言うことではありません。
そもそも、「雑用に力を入れます!」という意欲を持った歯科衛生士がいますか?
と、言う話です。

中には、採用面接で、
「うちは、歯科衛生士にも受付も雑用も、何でもやってもらいます!」と、
宣言する歯科医院もあります。
もちろん、これが悪いわけではありません。
しかし、仕事の比重が、気がつけば雑用に傾いてきた場合、
または、歯科衛生士一人で何でもかんでもこなさなければならなくなった時に、
こんなはずではなかった・・・と、離職につながります。

だから、今現在、どんな仕事をしてくれる人が必要なのかを、スタッフも含めて確認することが、とても大切です。

どんな人がいいのか?

どんな人を希望しているのかも、確認する事が大切です。
若い人がいいのか、近所に住んでる子育て中の人がいいのか、歯科医院によって希望するイメージは、様々です。

とにかく!今いるスタッフと、仲良く仕事をして頂く事が、大前提です。

例えば、テキパキチャカチャカと働くスタッフばかりの職場に、落ち着いたどちらかというと、ゆっくり丁寧に仕事する人が入ると、「のろま」と言う評価になり、
周りは、イライラすると言い出したりします。

そうかと思えば、テキパキのあまりいい加減な仕事ぶりだと、
「ゆっくりでいいから、丁寧に仕事して!」と言う評価になります。

これは、歯科医院の雰囲気や院長先生やスタッフの考え方に、よるわけです。

この辺りも、しっかりと確認する必要がありますよね。

なぜ、こんな確認が必要なのかというと、
ピントのズレた採用をすると、せっかく採用しても、人間関係がうまくいかずに、
あっという間に、辞めていくからです。
そりゃあそうです。
雑用をこなす人材が欲しいのに、優秀な歯科衛生士が採用され、
ユニット1台、30分に1名患者さんをこなしていたら、
雑用が増えるだけで、何の解決にもなりません。
それどころか、今いるスタッフの仕事は確実に増えますよね。

だから、こんな仕事をこんなふうにこなしてくれる人材が欲しいと言う確認が、必要です。

採用したら、新人教育

新人教育をするには、まず今いるスタッフ教育が大切。

なぜ、今いるスタッフ教育なのか・・・というと、
いくら、新人にばかり教育をしたところで、他のスタッフが、
自分には関係ありませんとばかりに、知らん顔する光景をたくさん見てきたからです。

先生が、今回の新人にはしっかりと教育しよう!と、頑張っても、
隣で、「私は、私のやり方でやりまーす。」と、マイペースなスタッフがいると、
新人教育は水の泡となります。

よくあるんですよ、
「あー先生がそう言ったんだーでも、本当はこうやるのね。」なんて、
違うことを教えていること。
これを、スタッフ皆んなが言い始めると、
確実に新人は混乱します。

この先どうなるかというと、
新人は、あっちでもこっちでも怒られるという現象が起こります。
新人という立場上、反論はできませんから、ドンドン落ち込んでいきます。
愚痴をこぼす相手もいないし、一人でストレスを抱え、数ヶ月で辞めていきます。

だから、今いるスタッフ教育をしっかりとする事が、大切なんです。
特に、クセの強いスタッフがいるのなら、尚更です。
ここは、院長先生のがんばりどころです。

マニュアル作りは、必須!

ここは、特に声を大にして言いたいことです。
「マニュアルは、必須」です。

なぜ、マニュアルは必須なのかというと、
例えば、ある器具をワゴンの引き出し上から2段目に片付けると、します。
ある日、その器具を使おうと探したけれど、2段目にありません。
あっちこっち開けると、4段目に入っていました。

しかし、慣れたスタッフの中に、4段目に入れると思い込んでいるスタッフがいるとすると、
この器具は、2段目に入っていたのを、4段目に移動させていることも考えられます。

さて、正解は、2段目でしょうか?4段目でしょうか?

これ、マニュアルがないと、どっちが正解と言えなくなる可能性があります。
長い間、うやむやにしたままにしていると、
新人は、覚えの悪いスタッフのレッテルを貼られることにも、なりかねません。

実にくだらない話ですが、
歯科医院の中で起こるトラブルの多くは、このようなくだらないことの積み重ねです。

だから、人の記憶に頼るのではなく、正解を記したマニュアルが必要なんです。
正解は、マニュアルですから、新人はマニュアルを確認して、覚えればいいんです。

そうでないと、強いスタッフの気分で置き場所が変わる・・・なんて、信じられないような状況になります。

時間をかけて育てるくらいの気持ちで挑む。

皆んなで育てるという気持ちを、共有する。

なぜスタッフを採用したのかって、
人手不足だから・・・ですよね。
だとしたら、わからないことはドンドン質問してもらって、
何回でも教えて、早く覚えてもらうのがいいと、私は思うのですが、
世の中には、1回しか教えないという、驚くような歯科医院がたくさんあります。

「あとは、見て覚えてください。」とか、
「この間、教えましたよね。」とか。
「私が教えるのは、3回までです。」と、胸を張って言われたこともあります。

何でそんな出し惜しみするんですか?
と、いうか、皆んなそんなに、1回で覚えたほど優秀だったんですかね?

私は、短大生の頃に、未経験で歯科医院で歯科助手のアルバイトを始めたのが、
この世界に入ったきっかけです。
だから、未経験でこの世界に入る大変さは、よくわかります。
1回で、覚えるなんて、無理です。
質問もできないなんて、確認すらできないじゃないですか。

長く歯科医師や歯科衛生士をしている人にとっては、
何ということのない同じことの繰り返しですが、
はじめて歯科助手になった人にとっては、わからないことばかりです。

だから、優しい気持ちで、皆んなで教える!が基本です。

未経験の歯科助手は、患者さんと同じレベルと理解する。

私は、未経験で歯科助手としてこの世界に入りましたと、お伝えしました。
だからこそ、よくわかるのですが、
未経験歯科助手は、ほぼ患者さんです。

先生方もスタッフも、患者さんには、患者さんに理解できる言葉を使って、
説明しますよね。
それなのに、未経験の歯科助手には、専門用語満載で話しませんか?

何でですか?

先生方は、『新人歯科衛生士、歯科助手マニュアル』と書かれた本を、
「これ読んで、覚えてきて下さい。」と、渡していませんか?

ある歯科医院に未経験歯科助手として採用されたスタッフが、私に、
「この本を渡された時に、こんな難しいことをいつまでに覚えなくちゃいけないのか、一瞬辞めたくなりました・・・。」と、話してくれました。

考えてみれば、新人歯科衛生士と、未経験歯科助手では、大きな差があります。
だって、新人歯科衛生士は、ある程度の仕事ができて当然です。
3年間も勉強しているわけだし、臨床実習だって経験しているし。

しかし、未経験歯科助手は、あくまでも未経験なわけですよね。
それなのに、同じレベルで本を読む・・・って、変ですよね。

だから、ぜひ未経験歯科助手さんには、特に優しく教えてあげて欲しいと思ったりするわけです。
そもそも、何がわからないかが、わからないのですから。

これは、新人教育をされるスタッフの皆様にお願いしたいです。

できるならば、一人多めに採用する。

急なお休みが出ても、「お互い様」と思える余裕を持つ。

多くの歯科医院を見てきて、例えお休みの人が出ても、
「大丈夫!何とかなるよー」と、声をかけられる歯科医院は、
1人多く採用しています。
実際、意識して採用していると、聞きます。

特に、スタッフの年齢が子育て世代になった頃、
子供の体調によってお休みするスタッフが出ることを考慮して、
採用人数を1人増やしたと、言います。

皆んながお互い様と、思えるような雰囲気を作ることで、
遠慮なく「お休みしたい。」と、言える空気を作ります。

私にも経験がありますが、
子育てが終わると、親の介護が待っています。
もちろん、忙しい日々が続けば、体調を崩すことだってあります。
だから、お互い様なんです。

ところが、1人お休みの連絡が入ると途端に、
ギスギスする歯科医院があります。
皆んなで、ため息ついて、お大事にと言いながら、ちょっぴり嫌味なLINEを送ったりして。
そんなLINEをもらった人は、一生忘れないです。
体調が悪い時に、これか〜と、落ち込みます。

どんな状況でも、気持ちよくお休みさせてくれる歯科医院のスタッフは、
辞めません。
だって、気持ちよく休ませてくれる歯科医院が、どれだけ居心地がいいかわかっているからです。

今年は、ぜひそんなところを、考えてみて下さい。

新人の孤立を防ぐ。

もし、余裕があるなら、思い切って2人雇うのはどうでしょう。
1人だと、どうしても孤立します。
わからないことを、共有できる人がいるのといないのとでは、
心の余裕が違います。

お互いに教え合うことだってできます。
同期って、年齢が違っても仲良くなるものですし、
支え合うことだってできます。

デメリットといえば、
二人でつるんで、おしゃべりしてしまうことでしょうか?
それだって、二人一緒に怒られれば、反省もしますよね。

まとめ

それでは、まとめです。

歯科医院のスタッフの人数のほとんどが、ほんの数人です。
だからこそ、笑顔で働くことのできる環境を、皆んなで作ることが大切です。

一人一人が、自分の感情をコントロールして、笑顔で働くことができれば、いうことありませんね。

そんな歯科医院を、ぜひ作り上げて頂きたいです。



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