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介護とBTSなんです  3D論争とは

3Dの歌詞内容が論争になっている件。
ご説明するまでもないことですが、ジョングク氏とコラボしたJack Harlow
氏のラップ部分にアジア人女性への差別的な文言が含まれているという件です。
私は日本語ネイティブ。ジョングク氏の2曲はどちらも全編英語なので、歌詞は翻訳者の方のを拝見しております。
本当は自分でも辞書片手に訳すぐらいの努力はするべきなのでしょうが、
生きてる英語はスラングも多いし、ニュアンスとなるともう・・・本当にすみません。

3Dに関してはMVの表現についても色々な意見がありますが、歌詞に限って言えば、まず問題となったのはAsian Baby Girlsの頭文字をとったとされる「ABGs」というワード。頭文字をとって短く表現するということは、多用されているということですよね。私、初めて知りました。
皆さまと同様、私もネットで調べてみましたが、正否2つの解釈があるようです。
検索トップはやはりアジア系の女性に対する差別的表現。
次が、その差別的表現から進化して、今はむしろポジティブな表現として使われているという説。派手なメイクでセクシーでありながらキュートさ、そして強さも持ち合わせている、いわゆるガールクラッシュ的な。つまり差別的表現を逆手にとって「そうですよ、Asianですけど何か問題でも?」みたいな感じなのかな。
いや勉強になります。でも結局分からない。
そこで私、息子がつい最近までアメリカに留学してたという友人に「どうなん?」て聞いてもらいました。
そしたら「アジア系の女の子は可愛く見える」という直訳みたいな返答。にプラスして「向こうの人は、コイツならヤレる、と思うんだって」と返ってきました。
息子君は幸か不幸か?そのワードが使われている現場に居合わせたことがなく実際のところは分からないらしい。ですが男性目線では差別的な意味合いが強いことは間違いなさそうです。

BTSのアメリカ進出のきっかけを作ったのはアジア系のファンだったと聞いたことがあります。ラジオに何度も何度もリクエストして楽曲が流れる機会を増やしたとか、ストリーミング再生を色んな手を使って伸ばしたとか、ビルボードのランキングに影響する部分で色々言われたこともあったようですが、とにかく世に出したいという熱心なファンのお蔭もあって、今の立ち位置があります。
そんなファンたちを差別的に扱うようなワードをなぜ使う必要があったんでしょうか。
今のところ事務所からの公式的な見解はないようで、そのくせしれっとラップ無しver.も上げているという、ね。

ただ今回の件で思ったんですが、ジョングク氏、なんで英語の楽曲を出したんでしょうか。

現在グループ活動は休止中。メンバーそれぞれがソロ曲を出していますよね。それぞれに異なった色があって「ああ、こういうことがしたかったんだ」と感じたファンの方も多かったと思います。
そしてジョングク氏。もう26歳のいい大人ではありますが、グループの中で言えばどこまで行ってもマンネです。そんな彼が2025年の完全体までという有限の時間の中で「BTSのジョングク」ではなく「ソロシンガーとしてのジョングク」あるいは「マンネじゃないジョングク」として活動できるのが、今現在の期間だと思うんです。めちゃ語弊のある例えですが、学校で言う授業と授業の間の休み時間、というか放課後みたいな自由時間。
で、その自由時間に何をしたかったかというと、純粋にシンガーとしての自分の実力を試してみたかった。兄たちの「庇護」から離れて、ひとりの独立した人間としての色を出したかった。
実力を試すとなると、当然ローカルな韓国語ではなくグローバル言語の英語になりますし、舞台はエンタメの最高峰アメリカ、ということになります。

あくまで私個人の印象ですが、兄たちのソロは、10年間のグループ活動の中で積もりに積もってきた各個人の思いが形になったもの、という感じがします。しかしジョングク氏の場合そういった「思い」というのは特になく、「歌うこと」そのものに自分の全てを捧げてきたのかなと思うのです。こう書くとジョングク氏はこの10年、何も考えてないのか、と言われそうですが、決してそういう意味ではありません。念のため。

ただ、うーん英語か・・とは思うのです。
例えばsevenの大人ver.? exprict ver.どころかdirty ver.とすら言われていますが、果たしてジョングク氏は全く同じ内容を母国語で歌えたのかなと思うのです。

何が言いたいかというと、
BTSはその時々の自分たちの状況を歌ってきた、つまり歌詞を大切にしてきたグループだと思うんです。故にグローバルな存在になっても基本、歌詞は韓国語。
そしてジョングク氏はそういった兄たちの背中を見ながら成長してきました。パフォーマンスのスキルだけでなく、内面も磨かれてきたと思います。
で、それをふまえてのソロになる訳ですが、
決して決して否定している訳ではないことをご理解頂きたいのですが、
「え? 歌詞これなん?」
というのがsevenであり、3Dの印象なんです。
結構攻めてます。エロいですよね。

ジョングク氏は「僕はもう大人です。色々なことを知っています」と言っています。いつまでも可愛いマンネじゃないよ、ひとりの成人男性として見て欲しい、と。
26歳は普通に成人男性ですよね。でも少年の頃からファンの前に立ってきて、10年経った今でもマンネのイメージがまとわりついている、それがしんどい、と彼自身が感じているなら、ジョングク氏の「大人です」アピールは、彼にとって本当に切実なことなのだと思います。
その気持ちと、グローバルな舞台で勝負したいという野心で出来上がったのが今回の楽曲なのではないでしょうか。

そして歌詞です。
成人男性アピールがテーマですから、今まで歌ってきたラブソングよりちょっと、というか、かなり大胆になります。大胆になったあまり男性目線がより顕著になります。ジョングク氏自身、マッチョへの憧れがあるのかも。逞しさ、能動的と言う男性性全開のエロさ、だけど英語だから歌えてしまう。
「Champagne confetti」=「シャンペンの花吹雪」が「射精」の隠語って初めて知りました。勉強になります。
母国語で「射精」って歌うのはかなり勇気が要りますけど「Champagne confetti」だったら堂々と歌えるんです。
私が「英語か・・・」と感じたのはそこなんです。

ネイティブ以外の言語ってある意味記号化されて聞こえます。要は何言ってるか分からない。
私が翻訳者の方に常々感謝の気持ちを持っているのは翻訳作業の困難さを想像するからなんです。単なる直訳ではなく、その歌詞を歌う人のバックグラウンドを考察し、そこから更に日本語として適切な言葉を選ぶ作業は大変なものだと思います。
そういった歌詞への切実感を今回ジョングク氏は翻訳者から伝えてもらったのでしょうか?
勿論「愛することとは性行為を行うこと。射精する達成感の中で愛を感じたいんだと、そういう気持ちをファンに伝えたいんだ」と言われれば、そうですか、としか言いようがないのですが。

一方で、
「いや今回は、過酷な生存競争が求められるアメリカ市場で、非ネイティブというハンデを背負って、かつBTSではなく、個人ジョングクとして打って出たんだ。その勇気を評価すべきだ」という見方もあるでしょう。その点は本当にそうだと思います。事実ジョングク氏は「世界的ポップスターになりたい」と言う願望を語っていますし、今回はそれへの挑戦だと思います。
ですが今回の3Dが論争にまでなってしまったのを見ると、BTSが韓国語にこだわる理由が分かるような気がするのです。

今回の楽曲に携わったスタッフは多分アメリカ人の方々が殆どでしょう。ジョングク氏の発音がいかにナチュラルに聞こえるか、いかにアメリカ受けするするか、には心を砕いたと思いますが、歌詞についてはナチュラルな発音ほどには心を砕かなかったのかな、と感じます。ジョングクが大人アピールしたがってる。じゃあちょっと過激に行ってみる? むしろアメリカではこれぐらいの内容でも全然普通、みたいな。歌詞よりもノリの方が大事、みたいな。(あくまで個人の想像です)
ジョングク氏が3DをRM氏とSUGA氏に聴かせたとき、2人は「ジョングク、本当にポップスターになったんだね」と言ったとか。聞きようによっては、そうとしか言いようがなかったのかな、と。勿論2人は褒めてるんですけど。

事実、今回のソロ活動でジョングク氏はひとつのピークに到達したと思います。その声、その歌唱力、ダンスパフォーマンス、本当に素晴らしいです。
でも世界的ポップスターになることとは、韓国人の彼にとっては非ネイティブ、すなわちグローバル言語である英語で歌うということになります。
人権意識の高い欧米の言語である英語で歌うというリスク、非ネイティブであるがゆえにニュアンスが伝わりにくいというリスクを背負ってのことになります。
今回の「ABGs」と言うワード。ネイティブであるHarlow氏及びアメリカ人スタッフが問題意識を持たなかったため、非ネイティブであるジョングク氏が気づくはずもなかったと思います。ただ気づかなかったからといってファンにスルーされることはありませんでした。
その意味で、今回の論争は今後BTSのメンバーとして活動していく上で、またポップスターとしての夢を叶えていく上でも、あって良かったのではないかと思います。
世界的ポップスターになる以上は聴き手を感動させてほしい。声でも、歌唱力でも、ダンスでも、そして歌詞でも。
ジョングク氏のこれからのパフォーマンス、そして生き方にもたくさん期待しています。


最後までお読み下さった方は本当にありがとうございました。
この文を書くにあたって色々とネット検索したんですが、まあ出てくること、出てくること。

「3Dは、RMが過去の過ちから学び、真摯にジェンダー問題に取り組んできた成果を全て台無しにした」と言う厳しいものから、
「ABGsは現在では差別用語ではない。過剰に反応しすぎだ」と言う擁護論、
「ジョングクは一生懸命にやってる、いちゃもんつけるなら聴くな」という全肯定まで、本当に色々な方がコメントされています。
また、BTSに対してあまりに品行方正を求めすぎでは、というコメントもありました。確かにタバコを喫ってたというだけで大騒ぎになるぐらいですから「タバコぐらい自由に喫わせたって」と本当に思います。
要はジョングク氏はそれだけ注目され、意見の食い違いがあったとしても、結局は多くの人たちに愛されているということなんですよね。
勿論アンチもいるし、プライバシーすら蹂躙されている。
それでもニコニコと笑顔を絶やさない彼を見ていると、大きな愛で包まれながら日々過ごしていってほしいと心から願います。











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