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和レゲエ数珠繋ぎ-第31回- 大穴ロス

東京都 大穴ロス
アーティスト名 北沢麻衣 
曲名 なぐさめて
発売年 1988年


大穴ロスと申します。
東京でアバい。というノンジャンル・アーバン・イベントを月1レギュラーでやっています。拙い文章ですが、よろしくお付き合いくださいませ。
和モノでリズムがしっかり打ってる盤であれば節操なくなんでもdigって集めている次第でありますが、和レゲエもその一つでございまして、今回ご紹介するのはこの一枚です。
OSK出身、北沢麻衣の3枚目のシングルのB面、個人的お水レゲエの決定盤!「なぐさめて」です。これはたしか大阪dig旅行中に発見してすぐさま抜いたことを記憶しております。
イントロのサックスとシンセからただよう水商売感!歌い出しから「なにもかも なくしたの〜♪」えー!?それはめちゃ大変!
「ママ〜、今日はボトル入れちゃおっかな♡」ってな話になるじゃないですか。ジャケもどことなく幸薄そうなチーママのオフの日ファッション。最高であります。ちなみに以前レコードフリマでこれのダブりを出したところ、目ざといDJが光の速さで抜いて行きました。隠れた名盤であります。
わたしはこういうほんのりお水っぽさを感じるアレンジの効いた音がレゲエに関わらず大好物でして、レゲエお水の相性って最高なんじゃないかな、って常日頃思っているんですが、はっきりした理由はまだわかってません。哀愁ってキーワードとホーンとシンセやエレピの絡みなんかにキュンとくるポイントがありそうです…。いつかスナックでイベントをやりたいなと思っているんですが、いずれその日がきたらこれは絶対外せません。
ちなみにアレンジャーは若草恵。この方は哀愁のあるアレンジでおなじみですよね。(ディスコも得意なのでクレジットで「お、なんか匂うぞ!」ってなることが結構多いです。)
和レゲエの中のお水レゲエっていうジャンルを勝手に主張させてもらうならば、岩城徳栄愚痴ともだち」とか伊東ゆかりRoom No.1929」、上田正樹ちゃんとやりたい」、田中義剛お前が一番」なんかもそういうカテゴリーになりますでしょうか。岩城徳栄だと東京で言えば新小岩、伊東ゆかりが歌うと銀座って感じがしますよね。そして男性が歌うとやっぱり客(ヒモ?)目線な歌詞ですね。
以上、お水レゲエのお話でした。

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大穴ロスさん、ありがとうございました!
お水レゲエの解説が秀逸すぎてほぼ入門書や。

というわけで入門書を頼りに私も自宅内を探してみました。

見つけた楽曲は82年発売のアルバム「桃井かおり / おもしろ遊戯」の1曲目「口説いてくれて」です。なんとなく雰囲気がそれっぽいような?と引っ張りだしアレンジャーを見ると若草恵で納得。そもそもこのアルバムの収録曲は全て若草恵の編曲でした。

※「口説いてくれて」は7インチもリリースされています。歌い出し「あなたは紳士ね〜」のワンフレーズでPow!

♨︎

これはたしかに匂う……と、若草の他の編曲作品や、その経歴について調べました。

読み方は若草恵→わかくさけい

若草は、クラシックやジャズの経験を背景に演歌や歌謡曲でヒットしたコンポーザー(作曲家) / アレンジャー(編曲家)。キャリアのスタート時には、ヤマハの音楽スクールにて渡辺貞夫からジャズ理論を学んでいたそう。日本レコード大賞編曲賞3回、作曲賞1回を受賞した実績を持っています。

代表作は山ほどありますが「美空ひばり / 愛燦燦」「欧陽菲菲 / ラヴ・イズ・オーヴァー」あたりがメジャーな編曲仕事。


そこに和レゲエ目線を加えて、他の楽曲等も見ていきましょう。

ちなみに若草の父親は演歌の作曲家。若草が師と仰ぐ中山大三郎も演歌 / 歌謡曲の作曲家。そんな事前情報を片手に、Wikipediaの「主な編曲作品」の項を眺めます。目についたタイトルはラガ演歌クラシック「坂本冬美 / 蛍の提灯

※先日の第29回レゲエ演歌がキーワードでした。

次に気になったのは、80年代のテレビドラマ「ハングマン」シリーズの音楽にコンポーザー、アレンジャーとして大きく関与している点。

ハングマンの第4シリーズのエンディング曲は第15回にも登場した和レゲエクラシック「KAJA & JAMMIN' / ありがたや節」です楽曲製作のサウンド面に若草が直接関与しているわけではありませんが、全くの無関係とも言い難い。

さらには、「桃井かおり / おもしろ遊戯」と同様に若草が全曲アレンジャーを務めるアルバムを探してみると「久保田早紀 / ネフェルティティ」が見つかりました。

聞いてみるとここにも本気系の和レゲエを発見、タイトルは「肌寒い午後の日」これもお水レゲエかも。

spotifyにありLPもあり7はなし?


これらを時系列に並びかえると

ハングマンのスタート 80年
桃井かおり / 口説いてくれて 82年
久保田早紀 / 肌寒い午後の日 83年
ハングマンの第4シリーズ 84年
北沢麻衣 / なぐさめて 88年
坂本冬美 / 蛍の提灯 96年

極端にかいつまんでここだけを見ても、若草は少なくとも和レゲエ15年選手。レゲエアレンジが当時のトレンドであった可能性を差し引いても、若草レゲエの接点は否めない。

となると、若草の仕事量から考えて同様の作品がまだあるはず。皆さまもご存知のお水レゲエ及び関連情報があればコメント欄にでも書いてもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです。探検は続きます。

今週もありがとうございました!

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