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Sol総会講演:ピーター・スカフィッシュ「非人間知性の概念とは;擬人化とオントロジー(存在論)について」

他の登壇者からよく「ギャリーとピーター」と呼ばれている「ギャリー」はギャリー・ノーランで、「ピーター」はこのピーター・スカフィッシュ Peter Skafish のことである。

SOL設立の中心人物であるピーター・スカフィッシュ博士は、社会文化人類学者であり、UAP研究における哲学的考察を担当している。 また、SOLの研究部門で、UAP が提起する法律、政治、環境問題を解決するための真に民主的な「社会全体」のアプローチに関する広範な提言を行っているという。

カリフォルニア大学バークレー校で人類学の博士号を取得し、コレージュ・ド・フランス校、マギル大学、 ワイマールのバウハウス大学でも学んだ。国立科学財団、アンドリュー・W・メロン人文科学財団、フィッセン財団などの団体からの資金提供を受けている。

『Rough Metaphysics: The Speculative Thought and Mediumship of Jane Roberts(粗い形而上学: ジェーン・ロバーツの推測的思考と霊媒)』という著作がある。哲学者カトリーヌ・マラブーの『ハイデガーの変化:哲学における幻想について』の訳者でもある。

前述のとおりスカフィッシュ博士はギャリー・ノーランと共にSOLの創設者であり、そのビジョン推進に不可欠な存在となっている。

発言要旨:

シューマー開示修正案の公表は、UAP (未確認航空現象) とNHI(非人間知性)に関する真剣な議論を促し、従来の理解に疑問を投げかけ、存在論的疑問を提起した。

UAP とNHIに関する問題は、既存のパラダイムに疑問を呈し、基本的な概念と思考のカテゴリーを再考する必要があることを明らかにしている。

特に現代思想における擬人化は、人間の概念を他の存在に投影することで、人間以外の知性の理解を妨げるおそれがある。

テクノロジーの概念にのみ関心を集中することで、 UAP と NHI の理解を制限し、テクノロジー以外の側面、意識や精神に関するより広い側面を見落とす可能性がある。

テクノロジーの探求に偏ること、また超自然的な観点で先入観をもって臨むことは、UAP と NHI の理解を制限し、陳腐な擬人化につながる。

アニミズム(生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っているという考え方)などの代替的存在論を探求すると、UAPとNHIに関する新たな視点が得られ、現代のパラダイムに挑戦し、理解が広がりうる。

アニミズム的なの存在論の観点から見れば、不活性物質としての現実という概念に疑問が生じ、意識と知性についてのより広範な理解が可能になる。

アニミズムの視点を通して UAP と NHI を考えることは、人間以外の知性を想像するための出発点を提供し、意識の具体化の多様な形態への理解につながる。

アニミズムの存在論から UAPの事例を調査すると、人間以外の存在との非対称的な遭遇と相互交流の可能性が明らかになる。それは伝統的な宗教的観点への挑戦でもある。

豊かで多様な自己意識が存在する世界を受け入れることで、NHI についての普遍的な概念とさまざまな考え方が可能になり、その性質や起源についての時期尚早な判断を避けることができる。

                                以上

閑話休題:

昨日紹介したダイアナ・パスルカの講演で言及されていたジョン・E・マックの邦訳本『エイリアン・アブダクションの深層 意識の変容と霊性の進化に向けて 』(ナチュラル・スピリット社)を電子書籍で購入して読み始めている。

自分は「アブダクション」というだけで拒絶反応があるため(エイリアンに誘拐されて人体実験されたりチップを埋め込まれたりとか想像するだけで悍ましい)、これまでなら決して手に取らなかった本だが、ダイアナ・パスルカが肯定的に評価しているのと、翻訳者の大野龍一氏がインドの哲学者J.クリシュナムルティの本「既知からの自由」の訳者でもあり、それはなかなかよかったので信用できると思い読んでみようと思った(大野龍一氏はこの本を訳してからまもなく亡くなったと知った。ご冥福を祈る)。

読み始めたら、中身は「アブダクション本」というよりは、接近遭遇事例の主観的な側面を掘り下げた内容であり、確かに古典の名に値する本だと思った(まだ途中だが)。

UFO/UAP現象についてはどうしても物理的現象やテクノロジーの側面が強調されがちだが(そういうのを「ボルト・アンド・ナッツ式」というらしい)、ダイアナ・パスルカのような宗教学的アプローチや、このピーター・スカフィッシュのような哲学的なアプローチの方が自分には関心がある。

SOLファウンデーションの取り組みは総合的なアプローチを指向しているので、今後の発展を期待を持って見守りたいと思っている。

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